幻の大地「凡海郷(オオシアマ)」

「昔、大穴持(おおなむち)、少彦名(すくなひこな)の二神がこの地にこられ、小さい島を寄せ集めて、大地をこしらえられた。これを凡海郷という。ところが大宝元年(701)3月、大地震が三日つづき、この郷は、一夜のうちに青い海にもどってしまった。高い山の二つの峯が海上にのこり、常世島(とこよじま)となる。俗には、冠島・男島女島(おしまめしま)といい、この島に、天火明(あめのほあかり)神、目子郎女(めこいらつめ)神を祭る。海部直(あまべのあたい)と凡海連(おおしあまのむらじ)の祖神である。」(『 丹後風土記』より)
 この消え去った大地、凡海郷は、10世紀の百科辞典『和名抄』の中に、加佐郡内に実在した郷として名があり、「続日本紀」には、大宝元年の項に「丹波国大地震三日続く」と記しています。

当時の郷(里) 50戸で一郷 おそらくこの地であろう?
白楽里(志楽郷)シラク 志楽川・朝来川・河辺川流域
椋橋郷(倉橋郷)クラハシ 与保呂川・祖母谷川流域
大内郷 オオウチ 伊佐津川右岸・池内川流域
田辺郷 タナベ 高野川・福井川流域
凡海郷 オオシアマ 大浦半島北部・由良川河口流域
志託郷 シタカ 由良川下流域
有道郷 アリチ 大江町有路地区
川守郷 コウモリ 大江町河守周辺地区
余部郷 アマルベ 中舞鶴地区