むかし、むかし、かわなべのお寺に一人のお坊さんが住んでいました。ある日お坊さんは村の安全のためにとおもって、石ノミでお地蔵さまをほろうとしました。かたい石なので、「コッン、コッン」と、一日に少しずつほっていきました。始めの内は、村人も食べ物をもって行きましたが、その内に、お坊さまのかみの毛も、ひげもぼうぼうにはえて、お風呂にも入らずに、いっしょうけんめいに、お地蔵さまをほりました。
あせと、よごれで、ものすごいにおいがしました。村人はだんだん、ちかよるのをさけるようになってしまいました。そして、いつのまにか、お坊さまは死んでしまいました。その内、村人もお坊さんのことはすっかりわすれてしまいました。石はいまでもそのままにおいてあり、その石の下には宝ものがあるそうです。今まで、こっそりとそれをぬすみだそうとした者があったがありましたが、だれもさがすことができずに、病気で早死してしまったそうです。
この神社のうらにあるやぐらの下には金の小判が埋めてあるといわれています。しかしその小判が、おとのさまのものであったのか、しょうやのものだったのかはわかりませんが、だか、村人の家が三軒になったら、ほりおこせといわれている。また、この石の上へあがるなら素足であがれ・・・と。