鬼のツボ   小橋 おばせ


 むかし、 みなもと頼光らいこうさんが 四天王寺してんのうじをおともに、京の都で、 大暴おおあばれをするオニ、 大江山洒呑童子おおえやましゅてんどうじという、オニのたいしょうを、[ おにころしというさけ]を飲ませてたいじしたそうや。そのけらいのオニたちは、あちらこちらに、にげたそうや、その中の九匹が、にげて、にげて、この小橋おばせまで、 げこんだそうや。ものすごい顔に、大きな体で頭の毛や顔に毛がぼうぼうにはえておってな。村の女の子はもちろん、村人はえらいこっちゃと 大騒おおさわぎしたそうな。

 このままほっておけば、食いころされるかもしれないと、村人はみんなで相談したそうな。村のしょうやの家にオニたちを、まねきむすめたちが、オニに、山海のこぢそうを食べさせ、お酒を飲ませたそうや。オニは大いに食べおさけを飲んだんや、今まで大暴れしていたので、つかれが出たのか、みんな赤い顔や青い顔してぐうぐうねてしもたんや、村人たちは力をあわせて、竹やりや、くわ、かま、いのししとりのやりを持ち、オニを次から次にやっつけてたんや。「ぎゃー」と大せな口をあけ立ちあがるものもおったそうや。血がとび、くるしさに肉をかきみだすオニもおったそうな。

 しかし一匹のオニが、とっとと走り浜辺の方に走っていったそうや。村人たちはおどろいて、やりや、かまを持っておいかけたんや、お酒とつかれでこのオニも砂浜でぐったりたおれてしまったや。村のわかい力のあるもの四、五人がそろりそろりと近ずてな、竹でつついたがびくともせんかった、それで、イノシシつきのやりで体を「ぐさー」とさした、血がくじらのしおふくようにとびあがったんや。オニは立ちあがり、こっちをじっとにらみつけたんやって、村人はびっくりして体をふせた、こわごわ顔をあげたらオニにはひざをついたまま、両手を砂浜についてうごかんかったんや。村人はかわいそうになってな、オニのれいをなぐさめるために浜にオニのおはかをつくってやったんや。この浜を 「九鬼くきが浜」というんや。それから村人は自分の家のお墓もここに作るようになったんやって。 ここにはオニのツボという穴があるんや・・・・。 おしまい

BC8000年 三浜アンジャ島・石斧出土
AD  200年 古墳時代横穴式古墳

 天然記念物 オオミズナギドリの繁殖地 冠島

  

          オオミズナギドリ                  冠 島

                    参考資料  舞鶴の文化財