タヌキつき  小橋おばせ  11 


むかし、むかし おじいさんと、おばあさんが、山里に住んでいました。おじいさんは魚をとりにいくのが、仕事しごとでした。その日は、おばあさんが、かぜをひいてねているので、おばあさんのかわりに、山にしばかりにいきました。すると、山道に黒いものがころがっていました。おじいさんはなんだろうとよく見ると、タヌキのミイラでした。今年の冬は寒さきびしかったので、えさがなくておなかを、すかして死んだのだろう、かわいそうにと、タヌキをだいて山をくだり海へながしてやりました。

 それからは、おじいさんは、山へしばかりに行っても、 弁当べんとうのごはんを食べないで、大豆ばかり、バリバリ食べたのです。いつもごはんがのこるので、おばあさんは「これはおかしい。」と、お寺の 和尚おしょうさんの所へいき話しをしました。和尚さんは、数珠じゅずをすり合わながら、口の中でぶつぶつと、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、おきょうをあげました。「こらぁ タヌキがついている、タヌキのしりょうをとりのぞかんとあかん。」おしょうさんは「いぬところがない、いぬところがない、とタヌキがいっているそうや」とつぶやく。おじいさんが、いつだったか、タヌキのミイラを海に流したことがありました。そのタヌキのれいが、いきつくとがこなく海の上を、あっちこっち、さまよっていて、おじいさんについたのにちかいない、こんなことが長いあいだつづいた。かわいそうに、おじいさんは体がほそってミイラみたいになって死んでしもうた。
 それからというものは、山でタヌキのミイラに出会ったら、穴をほってそこにうずめ、南無阿弥陀仏、言ったらなんともないと古老たちは口をそろえていっている。

BC8000年 三浜アンジャ島・石斧出土
AD 200年 古墳時代横穴式古墳
天然記念物 オオミズナギシドリの繁殖地 冠島
天然記念物 三浜海蔵寺のシイ林