酒呑童子と大俣だいこ 43岡田上
むかし丹波の大江山おにども おおく こもりいて
都にでては人を食い金や宝をぬすみいく ・・・と子供の頃歌った
あれは、おにでなく、体の大きい
むかし丹波の大江山に
それでこの子を心配してお母さんは童子を、お寺にあずけたのです。寺で
ところが、村一番美しい娘が、童子に恋こがれ、むりやりに仲をさかれた悲しさに、とうとう池に身をなげ死んでしまいました。それからというもの、童子は、ほうばうの山をあるいて修業をしました。
いくら修業をつんでも、身なげして死んだ娘のことがわすれられませんでした。そんなある日、山をおりた童子は、あの死んだ娘とそっくりの村の女に出会ました。童子は、その女をさらって山へ逃げかえったのです。長いあいだの山くらしで、まっ黒、
それからの童子は、夜な夜な京の都へあらわれ、町のむすめ、
「酒呑童子いうて、大江山にすむ、二本の
そこでこのうわさを聞いた
頼光は
由良川を下り地頭で舟をおり、
頼光一行は、これこそ神のご
鬼の住む山だけあって、昼まだうすぐらく、小川には大岩が立ち並んでいた。川のよどむ所に娘が一人血のついた衣類を洗っていた。
頼光は娘に
岩かげから前方を見ると、どうくつがみえ、真赤な体をしたごつい頭の毛ぼうぼうの鬼が立つている頼光一行はさも困ったような、つかれた足を引きずってどうくつの所に行った。大手を開いた鬼は、「何しにきたのか」と割れんばかりの声でたずねたのです。
「私たちは道にまよってここまで来ました。京へ行きたいのですが、一夜の宿をお願いしたい。」
鬼のうしろには、沢山の鬼がいる。けものの毛皮を腰にまいている。しばらくすると、頭らしい鬼がやってきて、「一夜ならとめよう」といいました。
鬼にかこまれて
頼光の一行は頭をさげお礼をいいました。二百キロはあるだろう、頼光は持参した珍酒をさしだし、大将から順々についだ。鬼たちはおいしい酒だと次々に盃をかさねました。
一行は京おどり、山武士おどりを
しばらくすると横になり、すやすやとねむりはじめました。大将のイビキは大きく部屋中ひびきわたっています。
頼光たちは背負ってきた箱より、よろいかぶとを出して着こみ、
頼光は大将の顔をつついた。それと共に鬼は大きな目をあけ、口をひらいた。大きな二本のきば、真赤な口、火がふき出したようだ。頼光はひるまず刀を胸ぐらにさした。ドウーと血がふき出してのです。
鬼は立ちあがると大手を開いて頼光をつかもうとした。頼光は小刀で鬼ののどぶえをさしました。
一行はにげまどう鬼どもを次から次にやっつけました。最後に大将の首を切りとった。白衣につつんだが一人で持つ事ができぬほど重い。次の洞くつから、とらえられていた娘を助けだしました。
頼光はじめ五人のさむらいは、意気ようようと、娘たちをともなって、山をおりました。大俣にたどりついた一行は、大俣の人達に出迎えられて、村の人達は感謝をこめてもてなし、村里の平和を祈ってお祭りし、村の代表によるドンドコドンドコと大ダイコを鳴らし喜んだのです。その太鼓の音は大江山中鳴りひびきました。 頼光はじめ五人のさむらいは、太鼓の音を後にして都に向かったのです。