大工の独り言(5月)

株式会社 能勢工務店

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2000,5,31

28日の日曜日、建築士会の国宝見学会で京都の醍醐寺に行ってきました
広い境内にたくさんの建物がありますが、やはり見ものは五重の搭
これはいいですね。 見ていても飽きません
人によって見る所はいろいろでしょうが、大工をしているとつい、この屋根の勾配では雨が心配だなとか
(なんと2寸2分5厘の勾配)
ここの取付は大変だったろうなとか
つい枝葉末節的なことに目が行ってしまいます
この点、後藤先生に歴史的な観点から建築様式の変化など説明していただいたのは勉強になりました

後藤先生は滋賀県と京都府の文化財保護課に長年席を置かれ、
数多くの文化財建造物の改修の監督にあたってこられた方です
父もこの方によくお世話になり、祖父はそのお父様にお世話になりました
先年退官されたあと、悠々自適かと思っていましたが、結構あちこちといそがしくされているようです

それにしても、こうした古い建物の見学会に、若い建築士さんや卵さんたちがたくさん参加されていたのはうれしいことでした


2000,5,23

また大阪で仕事をすることになりそうです
現場を下見に行ってきましたが丁度お祭りをやっていました
新大阪のすぐ近くのお宮さんの屋根の銅板の葺替の仕事です
銅板をめくって、下地がそれほど傷んでいなければ大工の仕事はあまりありません
ほとんど板金屋さんのお仕事です
水が廻って下地がかなり傷んでいると、これは大変
大仕事になってしまいます
出張仕事は好きですがちょっと疲れるんですよね


2000,5,18

私も大手ハウスメーカーの仕事をいくつかやったことがあります
私の町にある住宅展示場のモデルハウスのひとつも木工事は私がしました
しかし、私達地場の工務店とハウスメーカーさんとは、家についての考え方がちょつと違いますからやりにくい所があります
ハウスメーカーさんはやはり営業サイドが強いですから、営業さんが施主さんから指示されてくると、私達から見て「これはちょっと具合悪いですよ」ということでもそのままやらざるを得ません
プロとしての意見をはっきりと言える営業さんは少数です

私は、家は勿論施主さんがたてるものですが、施主と設計者と施工者が本当に協力してはじめて出来るものだとおもっています
三者それぞれが自分の考えや知識、経験をぶつけ、練り上げてよいものができあがっていきます
ハウスメーカーさんの場合、実際に施工するのは下請。メーカーにとっては指示どおりに仕事をしているかの検査と点検の対象です
「ここはこうしたほうがいいよ」という事があっても、それは御法度。
施工者にとって家を造る喜び、楽しみははっきり言ってありません


2000,5,9

私の住む田舎町でも、ハウスメーカーの住宅が増えてきました。
数年前に大手メーカー数社による住宅展示場ができてから、各メーカーの営業活動が盛んです。
メーカーのせいだけではないのでしょうが、地場の大工さん、工務店はユーザーからの直接受注が減り、どこも経営が苦しいようで、おおむね2つに分化していっています。

ひとつは、エアサイクル住宅など特色を打出して生き残りをはかる方向、もうひとつは、あえてメーカーの下請けに入って継続した仕事の確保をはかる方向。
下請けに入れば、とりあえず安く仕上げなければ食べていけませんし、独自路線で行くならとにかく宣伝と営業です。

以前のように、「いい仕事をしていれば次の仕事につながる。」というような時代ではなくなりました。
私どものように全員が現場で仕事をしているようでは、これから取り残されるのかもしれません。
今後、工務店はますます淘汰されていくように思えます。


2000,5,2

大阪から知人の大工さんがやってきました。
「龍の彫刻を頼まれたのだけれど別のお寺の仕事で時間がない」
ということでうちに仕事が廻ってきました。
この人は大工さんといってもかなり有名な人で、最近は講演会なども多く引き受けておられるようです。
宮大工は勿論、龍の絵を書いたり彫刻をしたりはたまた空手の師範であり、オールマイティの方です。
有名ですがとてもきさくな方で、話しているととても面白いのです。
博学というか雑学というかとにかくなんでも知っておられる。

「能勢くん、ワッショイって御神輿担ぐとき声かけるやろ。あれ、どんな字書くか知ってる?」
「いえ、漢字があるんですか。全然わかりません」
「和一処」
「へえ」
「関東のほうは、ソイヤとかセイヤとか言うやろ、あれは基一成」
「全然知りませんでした」
「字い見たら意味はわかるやろ」
「なるほど」
「龍に昇り龍と降り龍とあるやろ。あれどう違うかわかるか?」
「いいえ」
「龍いうもんはな−−−−−。」

この調子で次々とはなしが広がります。
とてもためになるのですが−−−−−。