大工の独り言

株式会社 能勢工務店

今月の独り言
10,11,12月の独り言
6,7月の独り言
5月の独り言
3,4月の独り言

2000,9,30

いま、ある御屋敷の庭にある門の屋根の修理をしています
切妻の小さな門です。、屋根が杉皮で葺いてあります
昔は杉皮を屋根下地によく使いましたが、いまでは滅多に使う事がありません。
屋根葺は山南町から専門の職人さんが来ています。やはり「桧皮(ひわだ)や柿(こけら)は使う事があっても杉皮はほとんど無い」と言っていました
杉皮や桧皮など樹皮をつかった屋根は、耐用年数として25年くらいでしょうか。
葺き上がりはとても落ち着いてよいのですが、この耐用年数が難点といえます。
こうした屋根を葺く職人さんも本当に限られた人達になってきました
ただ、文化財関係で仕事自体は確保されているようで、結構若い職人さんも育ってきているのがうれしいことです


2000,9,23

大工見習のK君、「墨付け」の手伝いをしています
墨付けは、木材の加工にあたってどこにどのような細工をするか印を付けていく作業です
大工はしるされた墨のとおりに穴を掘ったりホゾをつけたりしていきますから、間違いがあってはならず、建物全体のことを理解していなければ墨はつけられません
おかしなところに穴をあけたり、短く切ってしまったりしたらその材料はおしまいですから、こちらも真剣です
つい、「なにしとんや!ちゃうやろ!」と罵声が飛んだりします
今日はK君かなりへこんでいました
でも、これはそうやって覚えていくものと理解してください
ただ腹立ち紛れに言ってるのではないのですよ

仕事を終ってからいつも一生懸命に鉋や鑿の刃を砥いでいるK君
君の熱心さはよくわかっています
でも、鉋や鑿など道具さえ扱えれば一人前になれると思っていたのは
甘かったねえ


2000,9,15

「北京都住まいの改善ネットワーク研究会(準)」
9/13 夜の会合がありました
この日は福知山市の介護保険の担当者である I さんと Oさんから、介護保険及び住宅改修への補助金の手続きの説明をうけました
説明はとても分かり易くよかったのですが、参加している福祉関係者の問題意識はもう少し突っ込んだところにありました
実際に住宅改修の現場で、ケアマネージャーの立場と役割が施工者、被保険者にあまり理解されずにいることや、手続きの煩雑さなどこの制度を活用していく上で改善されなければならないことがたくさんあります
関係者のボランティアだけでは解決できない事はいっぱいあり、行政担当者に意見を伝える機会がもっと必要だと痛感しました

それにしても、住宅改修に対するケアマネージャーの「理由書」作成等の行為が、保険上全くの無報酬として扱われているのは少し驚きでした


2000,9,10

昨日の土曜日、建築士会の見学会で京都東山、知恩院にいってきました
蒸し暑いなか、とても中身の濃い見学会でした
改修工事の府庁文化財保護課の担当技師である菅澤氏と壁画復元の専門家出口氏が講師で、彩色の復元という点を切り口に説明を受けました

最初、見学した三門では二階まで昇らせて頂いて説明してもらいました
三門二階は、柱、虹梁等あらゆる所まで彩色がほどこされ、それが300年以上たった現在でも鮮やかに残っています

続いて見学した経堂は建物の修復とともに、内部の壁画、天井画の復元がなされました
ほとんどが剥落し見えなくなっている絵を、わずかな痕跡をたよりに復元していかれたそうです



絵の復元過程を実際のトレース画まで見せて頂いて解説してもらいました

やはり現場の担当者でなければできない見学会です
菅澤氏、出口氏ともにバリバリの現役ですからお話も具体的で、私などには一番うれしい講師でした

その後お二人の講師も含めて、四条高倉の居酒屋へ
いつもの如く盛り上がり話はつきないのですが、田舎に住む身
9時頃失礼し後ろ髪を引かれながらJRで帰ったのです


2000,9,3

今度、神戸で建てる家では一部に「拭き漆」を使ってみようと思います
幸い施主さんのご理解が頂けましたので(・・感謝・・)、玄関の上り框と下駄箱の天板に使用するつもりです
拭き漆は石川県で民家の建築にわりと一般的に使用されている技法で、使用する木材に漆を塗って拭き取るという工程を数回繰り返します
4回目くらいから艶がではじめ塗るごとに増していきます
6−7回は塗りたいと思っています
塗装見本を専門の塗師に送ってもらいましたがやはり塗り重ねていくと深みが出てきます
きっといいものができますよ


2000,8,27

「北京都住まいの改善ネットワーク研究会(準)」 −続き−
理学療法の体験においては、最初に右手右足におもりをつけ右半身不随に近い状態になってみて、歩行する、寝起きする、階段を上下するなどの動作を行いました
わたしは、「ほかの女性参加者などより力があるでしょう」と、さらに「膝も固定しましょう」ということになりました
以前、「ちょっとした段差ならスロープはかえって上下しにくい」と聞いていたので、実際に小さなスロープを作ってもらって試して見ました
一見スロープの方が楽なようですが、たしかに盤面が斜面であるということでバランスがとりにくいように思います
その後車椅子の体験もしましたが、車椅子での移動よりベッドから車椅子に乗り移る、車椅子からベッドにもどるという動作が結構力が必要で大変だなと感じました

障害を持つ人の為の住宅改修に於いて、実際にその方に合わせた改修をおこなうには本当に細かな気遣いが必要と思います


2000,8,20

18日の夜「北京都住まいの改善ネットワーク研究会(準)」の会合がありました
この日は、福知山駅の近くにある「ルネス病院」のリハビリルームで理学療法士(PT)さんと作業療法士(OT)さんから、それぞれの仕事の内容の説明を受け、実際にどのようなリハビリが行われているのか体験してみるというものでした
理学療法士は立つ、座る、歩くといった人間の基本動作の機能回復はかる。作業療法士はそこからさらに手足その他体を使った作業の機能回復をはかる仕事です
参加者は二組に分かれ、各療法士さんから指導をうけて実際のリハビリ作業をおこないました
作業を通して感じたのは、リハビリを行う人の意志、意欲を高めていくことがとても大切なことだということです
作業療法では箸を使う、ものを掴む、折り紙を折るなど作業の訓練をおこなうのですが、掴むという行為にもゲーム性をもたせるなど工夫がなされていました


2000,8,17

今日は、篠山までお宮さんの塀の修理のための下見にいってきました。
8Mほどの木製の塀ですが、土台が完全に腐っていました。

そのあと、来月からはじまる住宅新築工事の敷地を確認に神戸まで。
施主のHさんは五ヶ月ほど前に建築相談室にいらっしゃった方。
建てたい希望や好みが私達ととても合うようで、仕事をさせていただく事になりました。
やはり福知山からだと一時間半ほどかかります
ちょっと大変ですが、仕事があるだけありがたいこと。
しかも、今度は少しおもしろい仕事になりそうで楽しみです


2000,8,16

前回、耐震構造の事を書きましたが、今問題となっているのは従来の日本家屋の構造を力学的にどう評価していくかという事だと思います
現在の建築構造学においては、木造建築、特に通常の住宅建築についてはほとんど無視されてきたと言っていいのではないでしょうか
建築確認の実務においても唯一、木造三階建てにおいて構造計算が必要とされていますが、二階建てまでは簡単な壁量計算が必要とされているのみです
阪神淡路大震災以降、木造住宅の耐震構造についても検証される機会がふえましたが、木構造そのものに立入って研究しているものは少ないようです

日本の伝統的工法、たとえば込栓や鼻栓、あるいは貫、小舞壁などが実際にもっているはずの構造的意味はほとんど評価されていません
社寺建築などにおいては時々こうした研究がありますが、もしろ普通の家屋についてのもっと検証が必要だと思います
こうした本来の日本家屋が持っている力を、きちんと数字として明らかにして長所、短所をはっきりさせていく事が、これからの日本の木造建築にとってとても大事な事だと思います
前回最後に書いた近畿大学での小舞壁の実験も希少な試みのひとつと言えるでしょう

木構造について意見や情報をお持ちの方、おられましたら掲示板でお知らせ下さい


2000,8,8

6日の日曜日、京都の町屋再生現場を見に行きました

京町屋の見学会はずいぶんと盛況でたくさんの方が来ておられました
やはりみなさん改修に関心があるようで「この壁はなんですか」とか
「ここはどうなるんですか」など主催者に熱心に質問されている方がたくさんいらっしゃいました

いただいたパンフレットによれば、京都市による低利の資金融資の制度もあるようです

葭屋町の町屋は、南棟と北棟に分かれ、南棟は建築学園の校舎として
出来るだけ伝統的な工法や意匠に基づいてつくる
北棟は建築組合が一般の改修モデルとして廉価で仕上げる
と区別して工事されているそうです

建物としては耐震補強について随分考えてつくっておられるのが印象的でした
天井裏の小屋組には凄い数の筋交とブレスが取付けてありました
また、壁には何個所か面格子耐力壁が採用されていました
実際に工事しておられる建築組合の大工さんと話しましたが
構造設計上必要とされる補強を実際の建物にどう取り入れるかがたいへんであったようです
たとえば構造設計上は「9寸(270p)の足固めを切り欠かずに交差していれる」必要があるらしいですが、実際の床下は1尺5寸しかありません
交差する部分は結局5寸角を使用したらしいです
机上の計算を現地でどう生かすか、再生工事の場合の難しい所です

また壁は小舞壁、塗装は紅殻塗や漆塗といった伝統的なものにこだわってつくられておりました
やはり漆はいいですね。色に深みがあります

あと個人的な意見としては、建築学校の校舎にするんですから、もう少し冒険があってもよかったような気がします
とくに階段の位置は、関係者もおそらく悩まれたところだと思います
押入から二階に上がるのは町屋のパターンとしてはよくある形なんですが、私としてはどこか部屋を潰してもよかったんじゃないかという気がします
古民家や町屋の再生のときは、階段の位置を決めるのがとても大きなポイントになるんです
それで家のイメージが大半決まってしまいます
私が作るならこのへんかな、とか思いながら見ていました

現場の裏庭に、小舞壁のサンプルが何種類かつくってありました
なんでも、小舞壁の構造上の耐力を調べるために9月に近畿大学に運んで実験をするそうです
これ、すごく興味ありますね


2000,8,4

大工の世界にもことわざがあります
有名なのは
「屋根屋とうぐいすは谷でなく、大工とすずめは隅でなく」
これ、大工さんと屋根屋さんはよくわかりますよね
ほんと、よく泣かされるんです

なくといえば、よく口に出すのが
「あっ、と言わない大工がほしい」
これは棟梁の口癖になります
鉄骨なんかなら、短くなっても溶接すれば長く出来ますが
木材はそうはねえ・・・・