建築豆知識(3,4月)

能勢一級建築設計事務所
株式会社 能勢工務店

今月の豆知識
6−9月の豆知識(社寺建築の話)
5月の豆知識(基礎の話)

2000,4,26
《木材の種類》 9

松(まつ)の続き

昔は小屋裏の梁には必ず松の丸太が使われていました。
通常むくり勝手にして使いますが、雪の多い地方によっては荷重で桁が開くのを防ぐ為、逆勝手に使う所もあるようです。
この丸太に墨付けして刻むのは直線の材料と違ってちょっと技術がいります。
むくり具合を考え、取り合いを考えて加工していかなければなりません。
近年都会では、丸太梁を使う家が減ってきており、若い大工さんが覚える機会がなくなってきているのが心配されます。
アカマツは野縁、胴縁(下地に使われる小割材)などによく使われます。
化粧材としても安価で結構美しいものです。
クロマツ、アカマツはいわゆる松ですが、トドマツ、エゾマツ、カラマツなどは分類からいうと松ではありません。

2000,4,20
《木材の種類》 8

松(まつ)

ちょっと前までは国内産の松はとてもよく使われる木材でした。
比較的単価も安く、使いやすい材料です。
古い住宅や寺など梁、桁といった構造材はすべて松でした。
松はねばりがあって強く荷重をうける部分には適しています。
また、桧や杉より堅く縁甲板など床材としてもよいものです。
ただ、脂(やに)が多く、脂のひどいのにあたるとちょっとつらいものがあります。

しかし、今は松材を使うことが本当に少なくなってきています。
ひとつには、松枯れにより大きな松の木が極端に減ってしまったこと。
さらに、米松をはじめとする輸入材が代替材として数多く流通するようになったことによるようです。

一口に松といっても随分たくさんの種類があります。
−−−続く


2000,4,11
《木材の種類》 7

欅(けやき) 続き


欅の色合いですが、これも産地や地方によって違います。
関西の欅は比較的赤っぽい色のものが多いです。
市場によく出ているものとしては九州や関東産のものが多くありますが、やや黄色みが強い気がします。
今まで扱ったものできれいだなと思ったのは、解体復元した宮津のお宮さんのものでした。
欅というとひねくれた感じがしますが、これは木目がすっと通った性の良いもので、100年以上たったものでしたが、一鉋かけるとピンクに近い赤みの美しい木肌が現れました。
そんなに大きなお宮さんではありませんが、総欅造りでどれも美しい欅でした。
昔は、良い木がたくさんあったのでしょうね。
良い材料で仕事をするのはとても楽しいものです。
−−−続く

2000,4,4
《木材の種類》 6

欅(けやき)

桧、杉と書いてきて、やはり次は欅ですかね。
屋久杉ゃ神代杉のこととか、また床の間材の項で書きましょう。

社寺建築の歴史から言うと、欅は比較的近世になってから使われだした材料です。
欅の赤身は堅く腐りにくく社寺でも多く使われる良い材料なのですが、社寺で欅が多く使われだすのは室町後期から江戸時代になってからです。
それ以前はやはり桧がもっともポピュラーな材料でした。
伊勢神宮は20年ごとに建替えますが、ずっと遥か昔から桧をつかいます。
奈良の古い社寺も全て桧です。

しかし、近世になると欅が増えてきます。
これは、鉋(かんな)や鑿(のみ)など大工の道具が発達し、加工技術が進んだということが大きいと思います。
欅は堅いうえに、癖の強い木です。
孔を掘ったり削ったりするのも堅くて大変ですし、ちょっとひねくれた木など削っても削ってもすぐ曲ってしまいます。
ほんとに、削ってやっとまっすぐになったと思ったら、すぐまた曲ってしまうのです。
だから、あまり昔の人は使いたくなかったのでしょうね。
−−−続く


2000,3,30
《木材の種類》 5

杉(すぎ) 続きの続き

杉の化粧材にも色の違いがあります。赤、白、源平。
赤はもちろん赤味。白はしらた。源平は赤白のまじったもの。
杉や松は赤白のコントラストが大きいので色が割と気になります。
やはり赤味がよいですが、白も上手く合わせて使えば結構いいものです。
源平は落ち着きがなくあまり好まれません。
杉は産地や山によって、赤味の色あいが随分違います。
産地によっては、赤味のかなり黒っぽいものもあります。


2000,3,23
《木材の種類》 4

杉(すぎ) 続き

杉で名前の通ったものと言えば、まず床柱に使われる北山杉。京都北山で生産される美しい絞り丸太です。最近は床柱に絞り丸太ということが多くなってきました。
床柱には、絞り以外にも様々なものがあるのですが、じつは、床框、床板、落し掛、床柱と全体をバランスよく組み合わせていくのは、センスもいり経験もいり結構難しいものです。へたをするとやぼつたくなってしまったりしてしまいます。その点、絞りは比較的合わせやすい材料と言えるでしょう。大工が自分なりの個性を主張する場所も機会もあまりなくなってきているようです。
−−−続く

2000,3,15
《木材の種類》 3

杉(すぎ)

杉は、とても多く使われる木材です。
一等材(下地などに使う節ありの材料)として国産材としてはもっとも多く使われますし、上小無地(ほとんど節のないもの)の材料としては和室の造作材によく使われます。

杉の特徴としては、まず一般的に価格が安い事があげられます。
戦後日本の山のには杉がたくさん植林されました。建築用材として用途がおおいこと、比較的成長が早い事などが理由と思います。
杉を植林しておられる方にうかがうと、その結果、逆に価格が安く折角大きくなった木を売ってもひきあわないような状態だと聞きます。

それから加工するものからすると、杉はやわらかい材料であるといえます。
従って建築物においては、大きな荷重のかかるところには杉はあまり使いません。
一等材としては、屋根や壁の下地材として使われる事が多いものです。
化粧材としては和室の鴨居や長押、落し掛け(床の間の鴨居)などによく使います。
杉の造作材は前に述べた桧と違って全体に軽い感じに仕上がりますから通常の住宅としては杉の方が似合うようです。
−−−続く

2000,3,8
《木材の種類》 2

等級

前回、“上小・無地”と書きましたが、これは建築関係の人でないとわからないことでした。

木材の等級は大きく4段階に別れます。良いものから“無地”、“上小節”、“小節”、“一等”となります。細かくは“一等”でもさらに“特一等”とか区別がありますが、そこいらまではまあよろしい。

“無地”はそのまま無地、つまり節や傷がないことです。
“上小”とは、上小節の略、だいたい一つの面に小さな節が2−3個ある程度。
“小節”は、これがもう少し多いもの。
“一等”は、節のたくさんあるものということになります。

製材業の世界では“何ミリ以下の節が何個まで“とか規定があるらしいですが、節だけではなく色あいや目の細かさ、捻れや癖など木材の評価のポイントはほかにもたくさんありますから、大工としては単に等級だけでよしというわけにはいきません。
木を見る目の確かさが問われるということです。

私の祖父などはずいぶん山にも入り、立木の段階で木の善し悪しを見分けていたらしいですが、私などはとてもその域には達せないようです。

品物を買付ける側として見ていると、同じ上小節や小節といっても製材所によって随分違いがあるように思えます。「おいおい、これでも上小節かよ。」ということも時にはあります。

家全体の仕上がりで大事なことは、あまり等級の高いものや低いものをばらばらに使わない事です。
どんなに無節の良いものでもあまり他の材料と落差があるとまとまりのないものとなります。また、無節ばかりのなかに節ありの材料が混じると、小さな節でもひどくめだってしまいます。逆に一等材の節ありでも全体を同程度のものでまとめると感じのよいものになります。
たとえ限られた予算のなかで安い材料であってもそれをどう仕上げるか、そのあたりが大工の腕の見せ所でしょうか。

2000,2,29
《木材の種類》 1

建築に使う木材はいろいろあります。私達も見積書などで材種を書きますが、多くの一般の方にとってはなかなか判りづらいと思います。しかし、どんな木がどのように使われるかよく知っておくことは建築を考える上でとても大事な事です。

桧(ひのき)

建築用材として代表的なものとしてはやはり桧です。美しさ、耐久性、強さなど総合的に優れた用材です。桧は抗菌性、対腐食性に優れ、土台、柱などに適しています。

価格も、無地や上小節の良いものになると随分値が張りますが、節ありの一等材ではそんなに高いものではありません。
私どもの地元丹波でも比較的良い桧が安価で手に入りますが、桧の最高はなんといっても尾州・木曽桧でしょう。木目の詰まったつやのある美しさはやはり違います。しかし、それだけに価格もずいぶんと高いものです。尾州を使うとなるとかなりの贅沢普請ということになります。

和室の造作でも桧を使う事もありますが、長押や鴨居に桧を使うとちょっと堅い感じがして、格式ばった部屋でないとあわないようです。

社寺建築においては、桧は大きな部材が手に入りにくいという事がつらいところです。国内では大きく太い桧はほとんど残っていません。直径7寸(21p)・8寸(24p)位までのものならばまあありますが、1尺(30p)を超えるもので上小・無地になると、あっても目をむくほどの値段がします。
ひところは台湾桧が使われましたが、現在は台湾の輸出規制があるため入手するのが困難です。虹梁や桁など大きなものには最近ラオス桧やベトナム桧などが使われることがあります。しかし、色・つやなど国産の桧とは随分違うようです。

以下次回


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