6-9月の豆知識(社寺建築の話)

能勢一級建築設計事務所
株式会社 能勢工務店

今月の豆知識
5月の豆知識(基礎の話)
3,4月の豆知識(木材の種類)

2000,9,8
《社寺建築の話》

その5

箕甲がつく部分でも一番大工と屋根屋が悩むのが縋破風(すがるはふ)部分の箕甲です
縋破風は屋根軒の出幅の違う部分に付く破風板のことです



直線の屋根であればあまり問題はないのですが、反り屋根の場合、向拝など軒の出が違うと、長く伸びた方の軒先の屋根勾配が緩くなりすぎる恐れがあります
この為、屋根の反り具合に差をつけます
反りに差が付くと当然平地の高さに違いが生まれますから、縋破風の箕甲に於いては破風板と平地の段差と、平地どうしの段差の両方の解決が必要となります
ここを滑らかに美しく処理していくことが建物の美しさを決めるおおきなポイントになります

写真はいずれも当社施工
...続く

以下次回


2000,8,13
《社寺建築の話》

その4

しばらくごぶさたをしておりました

前回、唐破風の写真を載せましたから、もう一つ良く使われる飾り屋根を紹介しておきましょう
下の写真の部分は千鳥破風といいます



社寺建築にとって施工者の力量の大半が注がれるのが屋根です
屋根についてもう少し詳しく見ていきましょう

〔箕甲〕
千鳥破風や他の破風板の上、丸みを帯びたところがあります
社寺の屋根で一般の屋根と違う最も特徴的な部分は、「箕甲(みのこ)」と呼ばれる部分です
箕甲は反り屋根において平地の反りと破風板の反りが違う事から、この段差を処理するために作られる部分です
大工と屋根屋が一番労力を使う所です

瓦屋根の場合は利根丸という段差のある瓦を使用して処理していきます
瓦葺の箕甲


銅板葺や柿(こけら)葺、桧皮(ひわだ)葺の場合は曲線にして処理します
銅板葺の箕甲

柿葺の箕甲

この曲線の出し方が苦労する所です
また、その地方や棟梁の好みによっても線の在り方が違います
非常に緩やかな曲線を好む棟梁もいれば、ぐっとおでこの張った曲線を作る人もいます

大工や屋根屋がここをみると「えらい張ってるな」とか「ちょっとべちゃやな」などと言いながら見ています
自分がつくるならどんな風にするか、つい考えてしまいます
みなさんも、そういう目でも見てみると面白いですよ

写真はいずれも当社施工
...続く

以下次回


2000,7,3
《社寺建築の話》

その3

そもそも切妻、入母屋とはなんぞやというご質問がありましたので
とりあえずその話から
いずれも屋根の形をいうのですが
次の写真を見て下さい
切妻屋根 入母屋屋根


さて、神社の基本的な形のつぎは各部の名称に行きましょう
まず、建物の名前ですが、ごくあたりまえのことから再確認していきましょう
(福知山市・御霊神社)
写真の一番後方に見える御神体が納められている建物を”本殿(ほんでん)”といいます
一番手前の拝礼する建物、これは”拝殿(はいでん)”と呼びます


そして拝殿と本殿を繋ぐ建物があり、これは”幣殿(へいでん)”といいます

本殿や拝殿で屋根の一部が前方に突き出し、拝礼の場所となっているところを”向拝(こうはい又はごはい)”といいます

この向拝に付く飾り屋根、唐破風(からはふ)です
唐破風には大唐破風(おおからはふ)と軒唐破風(のきからはふ)の2種類がありますが
写真は大唐破風です

写真はいずれも当社施工
...続く

以下次回


2000,6,19
《社寺建築の話》

その2

前回書いた流れ造りの写真です
前の図はちょっとわかりにくかったみたいです
前の方に長く屋根が伸びていますね
それが特徴です
神社の形式はほとんど屋根のかたちによって区別されています
流れ造り −福知山市 (当社施工)−

たくさんの人が、流れ造りの次に思い浮かべるであろう形が”神明造り”です
平面長方形、切妻直線の屋根で平入りの形です
伊勢神宮の本殿がその典型ですが、この伊勢神宮の形そのものは”唯一神明造り”と呼ばれ、その他の神明造りと区別しています
神明造り −大江町 (当社施工)−

神明造りの切妻平入りに対して、切妻妻入りの形式をとるのが”大社造り”、”住吉造り”です
”大社造り”はいうまでもなく出雲大社の形、平面正方形の前後切妻妻入りです
大社造り

”住吉造り”は平面長方形の前後切妻妻入りの形です
住吉造り

春日造りは正面入母屋後面切妻妻入り向拝付のかたちです
この頃から、屋根に反りがついてきます
春日造り

これ以降のかたちは、バリエーションといってよいと思います
流れ造り、切妻、入母屋に向拝の組み合わせがどんどん複雑になっていきます

図はいずれも「神社建築構造法」より
...続く

以下次回


2000,6,12
《社寺建築の話》

その1

今月は社寺建築について書くことにします
まずは基本的な形から覚えましょう

神社の場合、私の手元に大正9年発行の斎藤亀吉先生の”神社建築構造法”という本がありますが、
これによると斎藤氏は神社の建築形式をおおむね10に分けて分類しておられます
(余談ですが最近出ている社寺関係の本、この本からの受売りが結構あります)
奈良時代以前の神社形式として”大社造り”、”神明造り”、”住吉造り”
平安から室町時代に生まれた形式として”春日造り”、”流れ造り”、”日吉造り”、”八幡造り”、”伽藍造り”
豊臣期から江戸時代のものとして”権現造り”、”八ツ棟造り”

この中で、多分お宮さんとして多くの人が一般的に思い浮かべる形が”流れ造り”です

この形よく見ますよね

...続く

以下次回


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