夢のある漂着物は、いいものですが、中にはとんでもないものがあります。
注射器もそのひとつです。 これは、世界のどこでも見られる漂着ですが、
とんでもない問題です。
謹啓、時節柄公務ご多忙のことと拝察致します。

 私たちは、京都府丹後半島にある鳴き砂で有名な琴引浜でこの貴重な鳴き砂を守るために保護活動を行っているものです。琴引浜は今年度、環境庁の「残したい日本の音風景百選」や「日本の渚百選」に選定された我が国を代表する美しい自然海岸であります。 私たちは、この浜の美観と環境を保つべく、昭和62年に「琴引浜の鳴り砂を守る会」を結成し海岸の清掃活動等の保護運動を継続して行ってきました。また、去る11月16、17日には、宮城県女川町において全国の鳴き砂に関係ある自治体や運動団体が一堂に会し開催された全国鳴き砂サミットにも参加し、鳴き砂保護や海岸に漂着するゴミの問題などについて意見交換も行いました。

 ご存じのとおり、浜辺に漂着するゴミは年々増加しつつありますが、琴引浜においては、守る会と協力して京都市東山高校地学部による漂着物調査が定期的に行われており、その実態が明らかになりつつあります。

 その調査の結果、最近になって、別紙資料のように感染性医療廃棄物の漂着が目立つようになりました。具体的に申し上げますと、針のついたままの注射器等が浜辺に打ち上げられるのです。これは公衆衛生にかかわる問題であることはもちろんのこと、海水浴をはじめとして自然を求めて浜辺で遊ぶ人々すべてにとって大変な脅威であります。特に、最近はHIVや肝炎など血液による病気感染の問題が大きく取り上げられている中で、血液や体液が付着したままの使用済みの注射器が国内や国外のどこかで捨てられているという事実は大問題と考えます。医療関係者に聞きますと、そのような廃棄物は使用した病院の責任で焼却処分しなければならないものであり、少なくとも医療機関からは出ないはずとのことです。としますと、医療機関から廃棄物処理業者へ行き処理される過程のどこかで、不法投棄されているものとしか考えられません。

全国の浜辺で同様のことが起こっているかどうかは不明ですが、全長1800mの琴引浜だけでもこれだけ漂着しているわけですから、全国的に見れば膨大な数の医療廃棄物が漂着しているものと考えられます。

 つきましては、事故が発生しないうちに何らかの対策をとることが必要であると思いますので、早速にも調査いただくとともに関係機関に注意を勧告いただきたくお願い申し上げる次第です。

また、国外からの投棄物も多く見られることから、関係国に対しての注意の喚起もあわせて行っていただきますようお願い致します。

 以上、よろしくご配慮賜りますようお願い申し上げます。

敬具
平成9年1月6日

厚生大臣 小泉 純一郎  様

京都府竹野郡網野町字掛津
琴引浜の鳴り砂を守る会
会長 松尾 庸介