お見苦しい点が多々あります。
                  これから更に充実を

夕陽が落ちる前に
  1) 謎の男ロッドマンを追え!!  1の1
  学校からの帰り道
 いつものように、話しながら学校の坂道を健次、綾、慎司の三人は家に向かって歩 いていた。
 三人は、小さい時からの大の仲良し、いつも一緒だ。組は違っていても、毎日一緒 に帰る。先にきたものが校門の所で待っていて、いつも三人で連れ立って帰る。
 今日は、綾が放送当番で、下校の放送をしなければいけないので、4時半ぎりぎり まで待っていたのだった。
 三人は、学校の坂道を下って、本通りを西に向かって歩いていた。本当は、三人の 家は南の方なのだが、綾がバトル鉛筆がほしいというので、山岡文具店に、買いに行 こうということになったのだ。
 学校下の信号の所にでたとき、チャパツの男が歩いていた。この辺りでは、見かけ ない男だ。チャパツだけでなく、男は半袖、半ズボンにスニ−カ−、そして、耳にも 鼻にもピアス。さらにやけに身長が高い。200センチはあるように見える。なにか 不思議な印象を与える男だ。
 三人は目で合図をした。どうやらその男をつけていこうというのだ。三人は好奇心 の固まりみたいな子どもたちだ。
 男は、ネタカ屋の前を通って、西に向かって歩いていたが、突然、道を横切り足速 に歩きだした。三人も同じように道を横切りかかったが、車が何台も通っていくので、 なかなか横切れない。
 やっと何台かの車をやり過ごして、道を渡った時には、男の姿は見えなくなっていた。

   問題1  謎の男を想像して描いてみよう



 1−2−1  そこはビックリハウス!!
「しまったな。なにかおもしろいことがおこりそうだったのになあ。」
と、健次が残念そうにいった。
 その時、綾は10メ−トル程前の空き家になにか人影をみたのだった。
「あれ、その家はだれもいないはずよ。だれかいる。」
「どこにいるんだよ。誰もいないはずだよ。綾、それは目の錯覚というものだよ。」
と、慎司がいった。
「おい、慎ちゃん、本当に誰かいるぞ」
と、今度は健次が言った。
 三人は、その空き家の前まで来た。
「おい、慎ちゃん、この家は、誰もいないはずだよ。おかしいじゃないか。」
「それもそうだね。このビックリハウスは、だれもすんでいないのね。」
と、綾もうなずく。
 このビックリハウスと子どもたちが呼んでいる家は、真っ黒な家である。そして、 窓は一つもなく、ときおり中から奇妙な音が聞こえる家であった。
「なにかおもしろいことが起きそうだな。ヤッホ−!!」
と、健次が胸をわくわくさせている。
「おい慎ちゃん、中にはいってみようぜ。」
と、健次がふざけて、慎司の肩を強くド−ンと押した。
 その勢いに、やせた慎司のからだは、ふっとばされドアに向けてぶつけられそうに なった。慎司が手をだした拍子にドアを押してしまった。
 すると、ドアがあき、慎司の体はビックリハウスの中に。いつもは開かないはずの ビックリハウスが、簡単に開いてしまったのだ。
 三人は、おそるおそる中をのぞいてみた。
 入ったすぐは大きな玄関らしかったが、中が暗いのであまり中の様子は見えない。 奥の方に、なにか明かりらしいものががついているのが見える。
 三人は、その明かりらしいものにひっぱられるようにさらに中に入った。三人が中 に入ったと同時に、「ギ−」という音ともに、なにかがおりて来た。

   1−2−2  そこはビックリハウス!!
「しまった。どうやら部屋にとじこめられたぞ。」
と、健次が辺りの壁を押しても動かない。
「恐い、あんたなんとかしてよ。慎ちゃん」
と、綾は少し楽しみながら言っている。
慎司は何やら考えこんでいる。

  問題2 綾、慎司、健次の三人、どんな顔をしている想像して描いてみよう



2−1 水だ!!
 そのうちになにか音がしだした。水が流れるような音だ。そして、足が何やら冷た くなってきた。
「水だ!!」
 どうやら三人は、大きな水槽みたいなものの中に入れられてしまったのだ。
 水はどんどん入ってくる。足首、膝と順々につかっていく。
「おい、慎ちゃん、どうすりゃいいのさ。」
と、健次はあくまでも明るい。それでもなんとかなると思っているのだ。
「水は、一分間に、・・・・ だから5分で、それで・・・」
と、慎司は、自分の時計のストップウオッチの機能を使いながら、なにかぶつぶつ といっている。
「慎司くん。どうでもいいから助けてよ。」
と、綾が泣きそうな声でいっている。
それでも慎司は、なにかぶつぶつと言っている。
 水はどんどん入ってき、もう腰までになった。
「ひらめいた!!」
慎司はいろいろ考えて、水の深さと、時間の関係を次のように頭のなかに思い浮べ たのだ。

時 間 (分)  1 2 3  
 
 5 6   8 9
水の深さ(p)  2 4 6 8  
 
  14    

 問題 3  慎司君がまだ入れていない所に数字を入れて完成させよう。


 補充問題 123


   まだ入れていない所に数字を入れて完成させよう。
時 間 (分) 1 2 3  4 5 6 7
水の深さ(p) 2 4 6  8101214



2−2 水だ!!
 水は徐々に入ってくる。もう腰の辺りになろうとしていた。けれども、慎司は冷静 だった。
「水と時間の関係はこうだ。」
と、慎司は言い出した。そして、
「これがはっきりとわかると、ここから抜け出せるかもしれないぞ。」
と、ぽつっといった。
「その関係てなんだ。水と時間にどんな関係があるのさ」
と、健次は、尋ねた。
「そうよ、そうよ。そんなことを考えて水がとまるの。それよりも、どっか弱いとこ ろを見つけて、足でみんなでけった方がいいよ」
と、綾も言う。
「よく考えてみて、時間が1分ふえると、水の深さは2センチふえるだろ。だから2 分では4センチ、3分では6センチ、4分ではでは8センチになるだろ。」
と、慎司は説明していく。
「わかった!!水の深さは、いつも時間の2倍になっているんだ!!」
と、綾が大声をあげた。
「そうか、時間が2倍になると、水の深さも2倍になるんだ。同じようにふえていく んだ。」
と、健次もようやくわかったようだ。
「つまり、ここでは決まった数だけふえているんだ。その決まった数はなんだ。」
と、慎司は冷静だ。
「決まった数?その数いくつなんだ。はっきりといえよ。ふ−ん、そんなのがある のか。」
と、健次は尋ねていく。
「ほら、1分の時2センチ、2分で4センチ、3分で6センチとなっていくだろう。 それで、2÷1=   4÷2=    6÷3=   と、みていくと、その商 (割算のこたえ)はいくつになっていくんだ。考えてみてよ」
と、説明していく。
「つまり、
  
×時間=水の深さなんだよ。」
「そうか、わかった。」 と、二人の話をきいていた。綾がうなずいた。
「時間と水が決まった数で変わっていく時、それは、比例しているという言葉で言う んだよ。」
と、慎司は難しく言った。
「ヒレイ?それはヒデエ−?ヒノレイ?恐いだろうな。なんかわからんけど、同じよ うに決まった数、変わっていくということだろう。」
「そしたら、決まった数かわらなかったら、それは比例とはいわないいんか」
「うんそうだ。変わり方が一つのほうが規則的に変わっているのに、もうひとつの方 は無茶苦茶に変わっていっとたらあかんのだよ。」
「どっちも規則的にかわらんとあかんのか。ふんそんなことあるんか。」
健次はめんどくさそうに言った。
「健ちゃん、問題どっちが比例している?」
と、慎司はからかってきた。

時 間 (分)  1  2  3   4  5  6 
水の深さ(p)  2  9 10  12 13 15 

時 間 (分)  1  2  3   4  5  6 
水の深さ(p)  4  8 12  16 20 24 

   問題 4 比例しているものは、どれでしょう。
「決まった数が見つかれば、どれくらいで水がいっぱいになるかわかっていって焦ら なくてもいいんだよ。」
「つまり、 決まった数 × 一方の値 = 他方の値 ということに
      他方の値 ÷ 一方の値 =決まった数 になるんだよ。」
と、慎司が説明してくれているが、健次の頭は混乱してきた。
「一方の値とか、他方の値とかいうからややこしくなるんだよ。答えと、かける数で は、だめか。水の時は、慎ちゃんの言う一方の値は時間だろ、他方の値というのは水 の深さのことだろ。簡単なことを難しくいいすぎだ。それは君の悪いくせだよ。」
と、健次は口をとがらせている。
 水は、どんどん入ってくる。
「この天井の高さが、180センチ、今、水は、100センチ、あと10分で、  え−と、○○○センチか。」
と、ぶつぶつ慎司は言いながらなにか計算している。
「ふせろ」
と、慎司が叫んだ。三人は水の中に、もぐった。その時、大きな鉄のかたまりみたい なものが「ドシ−ン」と落ちてきた。
 その力で、水がどっと流れだした。三人も流された。
 三人は、必死でその水の中を泳いでいる。しかし、なにかに向かって吸い込まれて いるようだ。その勢いはぐんぐん速くなっていく。
 綾は、意識がだんだん消えていこうとするのをこらえた。そして、何やら高いとこ ろにどんどん吸い上げられていくような、からだ浮いているような感じがしていく。 一番上の方にいったような感じがしたと思うと、「ド−ン」と、今度は、まっさかさ まに下の方に落ちていく感じ。
そして、そのまま意識がなくなっていた。
気がつくと、健次、慎司も自分の横にたおれていた。
「ここは、どこ?」
なにか、おかしなことがおこったらしい。倒れている二人を見た。

補充問題  空いているところをいれ、表を完成させ、決まった数を求めましょう。

 1
時 間 (分)
 一方の値
   1   2       4   
水の深さ(p)
 他方の値
   2       6    8  10
[決まった数]
 2
時 間 (分)
 一方の値
   1   2            5
水の深さ(p)
 他方の値
   8      24       40
[決まった数]
 3
時 間 (分)
 一方の値
   1   3        7    
水の深さ(p)
 他方の値
   3   9  15       27
[決まった数]
 4
時 間 (分)
 一方の値
   1   5  10       20
水の深さ(p)
 他方の値
   5      50   75    
[決まった数]

 2)ロッドマンの笑い声
 突然、笑い声が聞こえだした。
「ヒイヒイッヒイッヒヒ・・・・・」
その声は、いままで聞いたこともないような不気味な声だった。
「慎ちゃん起きてよ−」,「健ちゃんおきてよ−」
と、二人を揺り動かすが、二人ともなかなか気がつかない。どうやら相当なダメ−ジを うけているらしい。
 その不気味な声は、次第に大きくなってきた。
「ヒイヒイッツヒヒヒッ・・・・・」と、大きくなっていく。そして、耳をつんざくよ うな音になった。そして、・・・・・
 しかし、その次には、何もしなくなった。
 綾は、一層不安になってきた。そして、頭ががんがんしだした。その声の大きさは、 時間がたつにつれて大きくなっていき、消え、そしてまた聞こえだすのだ。
 今度は、突然闇のなかに、何か、光った点みたいなものが現われると、少しずつ大き くなってきた。
 2秒、3秒、時間がとても長く感じられる。しかし、確実に大きくなっていく。何や ら、時間と比例して大きくなってくるようだ。
 5秒、6秒、7秒、その姿も大きくなっていく。
 そして、「ヒヒッツヒッツ・・」という笑い声も大きくなっていく。
 「ロッドマンだ」,「ロッドマンがいる」
と、綾は思った。その姿がはっきりしてきた。ロッドマンが登場したのだ。
 茶色の髪の毛、首には、金のネックレスをし、はなひげを薄くのばし、腕には刺青を し、ランニングシャツには大きくUSA、スカイブル−の短パン、足にはブレスレット をして、そして、エア−マックスをはいてる姿はロッドマンだった。
ロッドマンがなにやら叫んでいる。しかし、聞こえない。
 突然その下に何やらメッセ−ジが現われた。どうやらスクリ−ンにロッドマンの映像 が映っているらしいのだ。
 さて、ここで、問題をしてみよう。
     ロッドマンの姿がだんだんと大きくなってきました。
     その身長を図にしてみると次のように変わっています。

ロッドマンの身長と時間
時間 0秒 1秒 2秒 3秒 4秒 5秒 6秒
身長(p) 20 40 60 80 100 120


  比例しているかどうか    ( している  していない )

  している場合は, 決まった数はいくら? (         )


問題1身長と時間は比例しているでしょうか。比例しているときは、 決まった数がいくつになるか見つけましょう。


   
補充問題

1 正方形の一辺の長さとまわりの長さ
一辺
周りのながさ              


  比例しているかどうか    ( している  していない )

  している場合は, 決まった数はいくら? (         )


2 正方形の一辺の長さと面積
一辺
面積              


  比例しているかどうか    ( している  していない )

  している場合は, 決まった数はいくら? (         )


3 1本60円の鉛筆を買うときの本数と代金
本数
代金              


  比例しているかどうか    ( している  していない )

  している場合は, 決まった数はいくら? (         )


4 分速70メートルで歩くとき、歩いた時間と距離
時間
距離              


  比例しているかどうか    ( している  していない )

  している場合は, 決まった数はいくら? (         )


 綾だけが意識が回復がしていたのでなく、慎司も健二も、実は気がついていたのだ った。
 うっすらと目をあけて、その様子を観察していたのだった。健二が突然立ち上がり、
「いくぞロッドマン」
と、叫びポケットにもっていた石をロッドマンめがけて投げた。
 その石はロッドマンの顔面に的中する。
すると、ロッドマンの顔に少しずつひびが広がっていき、そしてそれが全身へと拡大し ていった。
 「ザザ−ザザ−」という音ともに、ロッドマンの姿は見えなくなった。
 「綾ちゃん、大丈夫だったか」と、慎司も、健二も声をかけた。
 「何よ、あんたたち知らん顔して、わたしが起こしてやったのに」
と、綾は怒っているようだ。けれどもその顔は笑っている。


 あそびだよ。ロッドマンの顔、姿を想像して描いてみよう。














 
 
ずっと遠方に何か見える、どうやら今度は本当に光らしい。
「あそこまでいってみようか。」と健二がいうが、
「どうやら、僕らはビックリハウスに入ってしまったらしい。慎重に行動をし なければ、これから何がおこるかわからないぞ」
と、慎司は押しとどめた。
  パッと点の辺りが明るくなると、全体も明るくなってきた。
 光が見えていたのは、どうやら長い廊下、通路の先らしいのだ。
「通路の中に何かしかけがあるかもしれない」
と、慎司は感じた。

   3)ロッドマンの攻撃
 しかし、通路の中を通らなければでれそうもない。このままいると、ロッドマンの 第2の攻撃が来そうな気がしていた。
 ゆっくりしている余裕はない。3人は決断をした。3人みんな一度にいくのでなく、 一人一人行こうと。そうすれば、3人のうち誰かが、通過できるのではないかと考え た。
 まず第1にいく役は、健二に決定した。
 「よ−し、まずおれがかけぬけてやるぜ。」
と、健二が通路の中に飛び込んでいった。
 健二が、走っていく。通路の高さは2mほど、同じように高さも2mほどだった。
 通路の中に入った途端、何か冷たいものが足にかかってきた。
 「水だ。また水が入ってくる。どうやらトンネルの中に水を入れてきたらしいのだ」
 その水は、もうれつな勢いで増えている。
 「早く。早くかけぬけなければおぼれてしまう。」
 と、健二は必死に走る。
 水の深さと時間は次のようになっているらしい。  
1 時間と深さの関係の表
時間  (秒)  1  2       4  
水の深さ(p) 20       60    100 120


 @まずは、あいているところに数字を入れてみよう。
 健二は、走りながら必死に考えた。
 時間を秒、水の深さをpとして、比例する関係を式に表わしていくと水の深さ =20×時間ということになる。
  それを  と  を使った式であらわすと、
  水の深さが   で、え−と時間が   で それで
          =20× になる。
 と、健二は考えた。
 「ひらめいた。   = 決まった数×     だ。これでどんな問題も解いて いけるぞ。これが比例する関係を表わす式なんだ。」
 「つまりこの水は、10秒でいっぱいになるのだ。」
 もう胸の辺りまで水が来ている。健二の手が出口に届いた。そこに手をかけよじ登 って、向こう側にはいりこんだ。

補充問題
 1) 1本60円の鉛筆を買うときの本数と代金
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
本数(本)   1  2    4  
代金(円)        180    300   

    式        =       


 2) 分速70mで歩くとき、歩いた時間と道のり
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
時間  (分)  1  2   
道のり(m) 70       280        

     式       =   


 3) 1mあたり120グラムの針金の長さと重さ
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
針金の長さ (m)  1  1.5    3.5
重さ(グラム) 120    240    360   

     式        =


 4) 鉄の体積と重さ
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
鉄の体積( )  2  3  5
重さ(グラム) 15.6    31.2   

     式        =


 次は、綾だ。
 「綾ちゃん。水に気をつけろ。水で攻めてくるぞ。」
と、健二の声が遠くから響きながら聞こえる。
 「わたしは大丈夫よ、スイミングに今でもいっているよ。水の中なんか平気よ」
と、綾も通路のむかってとびだしていった。
 「シュウ−・シュウ−・シュウ−・・・・」、音がしだした。
 「そらきたわよ。水がきたね。何さこんなもの」
 しかし、どうも足もとが冷たくなってこない。それよりも、首のあたりが暖かくなっ てくる。
 「おかしい。水ではないぞ。どうやら、これは熱だ。熱の攻撃だ。」
 「熱い!!熱い!!急いでここを駆け抜けなければ。」と、綾は思った。
 「時間があまりない、この勢いで、熱を吹き込まれると、息ができなくなっ てしまう。」
 「何かいい解決策をみつけなければ、そのためには、まず第1に熱と時間の関係を 見抜くことだ。どれくらいの量が1秒間でているのか考えていくのだ」と、綾はすぐ に考えた。
 綾が見つけた時間と温度の関係は比例していた。それは次のように表に表わされ る。

 時間と温度の関係
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
時間(秒)  1     4    6
温度  5 10    20 25   

     式        =


 綾はその表をみていて気がついた。
 「そうだこれはグラフにしたらよくわかるわ。でも今はできないけどね。むこうにた どりついてからにしていこう。」
 綾は、口にハンカチをあてながら進んでいった。温度がだいぶあがってきている。も う40度をこえているようだ。熱い。でも出口までいかなければ。
 「綾ちゃん、頑張れ」という声が聞こえてくる。どうやら慎司の声らしい。
 「しんちゃん。熱いよ。これでは、丸焼きにされてしまうよ。」
 と、綾も応答しながら進んでいく。
 「頑張れ綾」と、健二のこえも聞こえてきた。どうもそっちのほうがずいぶん近い。
 「もうすぐだ。もうずぐででれる」と、綾は気力をだしていった。
 向こうに健二の姿が見えた。綾はそこ飛び込んでいこうとした。しかし、入れない。
透けているが壁がある。最後の力を振り絞り、その透けている壁を目がけて飛び込んだ。
 「やった−、あやちゃん。よかった!!よかった!!」と、健二が抱きついてきた。
 「何よあんた。エッチ。」綾は健二をにらみつけた。
 それから、さっき思いついたことを考えはじめた。
 「健ちゃん、さっき思いついたんだけど、比例の関係を表わすやり方でいい方法がある の思いついたのよ。」
 「それはどんなことだ。どうせ綾ちゃんの考えることだ。たいしたことないよな。」
 「しっかり聞いてよ。グラフをつくったらわかるじゃないかな。」
 「ふ−ん、グラフね。」と、健二も少しのってきた。

時間(秒)  1  2  4  6
温度  5 10 15 20 25 30

 「この表をグラフにしてみようか。そしたらよくわかるよ」
 「グラフはね、まず
  @ 横軸、縦軸をかく(人間でも軸がなかったらダメだもんね)
  A 横軸と縦軸の交わった点を0としていく。(0からの出発)
  B 横軸に  の値(数字)を、縦軸に  の値(数字)を、 1、2、3・・・・とめもっていく。
  C 対応する  、 の値の組を表わす点をとる。(点を書く) グラフのなかに。
 「ヘ−、難しいことをいったね。そんなややこしいことができるんか。」
と、健二は、いっている。横軸だ、縦軸だ。値だ。対応する。ということばがややこ しくくてそれだけでまいってしまうのだ。
 「頭のなかで考えていても、わからないじゃありませんか。わたしは、じっさい手 をうごかしてやってみたほうがよくわかるのであります。」
と、健二は少しふざけていっている。
 「そうね、最初から難しいことはできないわね。健ちゃんにはもう少しやさしい所 から出発したほうがよさそうね。」
 綾は、全部自分がわかっているかのようにいっている。

 (まず次のペ−ジでやさしくグラフをかくことをやってみよう。)
 問題
時間(秒)  1  2  4  6
温度     5 10 15 20 25 30

  グラフ

 

  補充問題
 1) 時間と水の深さ
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。

 0  1  3  5
cm  0  2  4  6      

    式       =

    グラフ

 2)時間と道のり
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。
時間(分)  1  2      
道のり(分) 20 40    60    120

   式       =

   グラフ

 

 3)長さと重さ
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。

長さ(m)  1        6
重さ(kg)  3               

   式        =

   グラフ

 

  4)時間と温度
  @ あいているところに数字を入れましょう。
  A 比例する関係を式で表わしましょう。

時間(秒)  1  2  4  6
温度    3.5  7          17.5    


      式         =

   グラフ

 綾もどうやら抜け出せた。残ったのは慎司だけになった。
 遠くのほうから
「しんちゃん、早く来い。待っているぞ」
と、健二や綾の声が聞こえる。
「ぼくは、秒速8mで走れる。あのトンネルをぬけるのには、ほぼ8秒もあれば通り ぬけていける。」
慎司は前方のトンネルをみすえた。
「あれ!目の錯覚?少しずつ縮んだり、のびたりしているのではないかな。おかしい ぞ」
 慎司は、じっとトンネルを見つめた。
 確かに、そのトンネルは動いているのだ。ギシギシギシと音をたて、だんだん小さ くなっていく。そして、その穴の入り口が点みたいになった時、「バ−ン」という音 をたてて、赤い光とともに大きくなっていくのだ。
 「なんていうことだ。こんなことがあるのか。」
 「もう一回じっくりみてみよう。何かわかることがあるかもしれない。」
 何回も何回も繰り返されることを慎司はみていた。
 穴が開いたときに、遠くから綾や健二の
「しんちゃん、早く来いよ。どうしたんだ」
と、少しイライラした声が聞こえる。
 「そんなこと言ったって、こんなの通れる筈がないよ。」
 「途中でするめどころか。うえから下から横から挟まれて、鹿のふんにされてしま うよ。どうしたらいいんだろう。」
 途方にくれていた慎司だが、幾度も幾度もその穴の「縮み、そして元通りになる」 という繰り返しをみていると、あることがわかってきた。
 それは、同じようなサイクルで運動しているようだ。
 「縮んでいく。1秒、2秒、3秒、4秒・・・・・・・・10秒・・25秒  バ−ン!!そして、元どおりだ。」
 「これがわかればしめたものだ。ぼくの足でも駆け抜けることができる。」
 「1秒で8m,2秒で16mそして、3秒で・・・・」
と、頭のなかで計算していった。どうやら通れなくなる前に抜けれることができるら しい。穴の長さは100mを少しこえた程度だ。
 慎司は決心をして、穴が大きくなったと同時に飛び込んでいった。
 慎司は無事に向こうまでいくことができるでしょうか。

   表、式、グラフでみてみよう。つくってみよう。

秒速8mの慎司の走りと距離
時間(秒)  1  2    4    6
距離  8    24    40   

    式         =

    グラフ

 補充問題  1  2  3   4



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