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LUXMAN LX38 ultimate

以前に、有名な染織家のお使いになっていたものである。

LX38は、いわゆるプリメインアンプであるが、maranzのCD-34という時代物の古いCDプレイヤーと、これも譲り受けた北欧製のScanDynaというスピーカーをつないでいる。

ユニットは、英EMIだったろうか?CD-34には、和蘭フィリップス製のピックアップがついていて、当時、装置につなぐCDプレイヤーとしては初めての本格的なものだった。

ソプラノのシュワルツコップがピアノのジェフリ・パーソン氏とともに来日して、それがTV放映されたとき、三越にしか売っていなかった和蘭フィリップスのEL−3302というポータブルのカセットで録音し、これを装置につないで再生すると、見事なグランドピアノの音がでたので、驚嘆した。友人はそれを聴いてSONYのカセットを売り飛ばしてしまった。優秀なスペックのCDプレイヤーはそれ以後たくさん発売になったが、なかなか音楽会場のような響きで鳴るものにはお目にかかれない。

私はボーカルを聴くことが多いので、昨今のキャンキャン、ギャンギャンという音には疲れてしまい、どうもなじめない。この組合せは暖かくしっとりした音で鳴るので、仕事をしているときは「ヒンディー語の演歌」や「ギーター」などを、そして時には、マリア・カラスなどを聴いている。

LUXのアンプは、ステレオ初期の頃からSQ−38Fが有名で、愛用の方も多いであろう。LX38ultimateは、その最終モデルとなるもので上原 晋氏が音質面で回路から見直され当時200台限定で発売になったものである。パネルは明らかにマランツの7の影響を受けたであるが、昨今のプラスチックを多用したものとは違って、アンプ自体の重量もかなり重い。そういえは、最近の音楽・映像機器はなにもかも軽いが、それだけ音質も画像もこのあたりでよいか、と妥協した製品が多くなってきているからである。玉に瑕は、出力管の50CA10(NEC製)の入手が国内では困難で、あってもかなり高価である。

このアンプは、LPの時代の機器、CDも出たての頃の機器であるが、かえってデジタルの時代のものよりも音楽を聴くのには適しているのではなかろうか。

なにしろ保管に場所をとるので、LPを処分してしまい、CDオンリーにした友人も多いが最近、玉木正之氏は「ビデオもLD、CDもDVDもみんなパア」という非常におもしろい記事を書いておられる。(「オタマジャクシはバッハの子」 The Gold 11, 2000)

ゆきつけのオーディオ店でも聞いたが、これらは寿命が半永久的のように信じられているが、むしろ劣化はCDの方が早く、LPの方が持ちがいいのだそうだ。LPがなくなるからといって、同曲をCDで買い換えた友人もいるが、結果は、玉木正之氏と同じ嘆きとなる。

「劣化の始まる前に、バックアップを取る。」そうしても、またまた繰り返しとなり、同じものが倍できるだけである。

1970年代に取りためたベータ・ビデオ・テープも大半はカビが生えたり、再生不能に陥っているものが少なくない。どうしても、聴いたり、見たりしたいものは、「或る時」、「その時だけ」、聴いたり見たりできたらそれでいいではないか。残しておこうとすると大量の燃えないゴミをつくるだけである。

玉木氏は増えてきたCDやLDのために専用棚をつくられて満足しておられたそうであるが、この事実を知って愕然とされたそうである。

「鳴呼!現代のコンピューター文明とは、いったい何なのか!大量に消費し、瞬時に燃え尽きるだけの存在なのか!」(玉木正之氏「オタマジャクシはバッハの子」 ”諸行無常のひびきあり”より The Gold 11, 2000)

LX38ultimateの音を聴いていると、技術の進歩とはなにか、それほど変わったであろうか、とふと考えさせられる。

(C) Takayoshi Mashimo 2000

 


 

 

 

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