関西のお笑いといえば何といっても藤山寛美の松竹新喜劇という時代があった。もう再び見ることは不可能だろうとあきらめていたが、竹書房から出ていた「十快笑」と「新・十快笑」(主だった作品がビデオ20本にまとめられている。収録作品は、ページ下段の註を参照。)や、別の大作「桂春団冶」などをまとまった形で見ると今さらながらこの劇団の芸の深さには驚かされる。
不世出の喜劇役者藤山寛美だけでなく、伴心平、大津十詩子、四条栄美、酒井光子、中川雅夫、小島慶四郎、高田次郎、千葉蝶三郎、小島秀哉、月城小夜子など、誰が欠けてもこの劇団の魅力が半減するほどそれぞれの役者の個性が凄い。
TVで放映されていた当時は、まだビデオが普及していなかった時代なので、「十快笑」と「新・十快笑」の20作品は、その記憶を頼りに思い出しながら見たが、収録されているものはそれよりも新しい年代のものである。だから、曽我廼家十吾、曽我廼家鶴蝶、千葉蝶三郎、小島秀哉などが出る作品は少ない。
その中にあって、松竹新喜劇きっての美人役者の四条栄美の「八人の幽霊」(上の写真は、「十快笑」に収録されいるもの)は、地球環境保護団体が見たら泣いて喜ぶ(?)出し物で、お嬢さん役や花魁役の多かった四条栄美にこんな一面があったのかと驚かされた。
近頃、これほど笑った作品は少ない。「お種と仙太郎」でも、姑にいびられる若妻を演じるが、こちらもはまり役だし、なんといってもこの人の声の通りが良く、セリフはクリヤに客席にまで飛んでくるという感じだ。また、日舞などもかなり出来る人らしく、月城小夜子と踊る場面を見たが、喜劇の基礎にこうした日本の古典・伝統的な基礎がしっかり入っていることがうかがえる。だから、喜劇といっても昨今のドタバタ的なものとは一線を画すものが松竹新喜劇であった。
これらの作品は、現在ビデオで入手できるが、DVD化も望みたいものだ。
(C) Takayoshi Mashimo August 30, 2005
【参考資料】
●「十快笑」収録作品
1. お種と仙太郎
2. 色気噺お伊勢帰り
3. 駕や捕物帳
4. 八人の幽霊
5. 浪花の鯉の物語
6. 花ざくろ
7. 大阪ぎらい物語
8. 下積みの石
9. 愚兄・愚弟
10. 人生双六
●「新・十快笑」」収録作品
1. 大当り高津の富くじ
2. 左甚五郎噂双紙
3. 阿呆と舞扇
4. 夜明けのスモッグ
5. アットン婆さん
6. 親バカ子バカ
7. 一姫二太郎三かぼちゃ
8. 阿呆の歌声
9. 笑説 吉野狐
10. はなの六兵衛
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