●ホーム  
 
 
 
 
 
 
 

 

 






 
 
 
アリス=沙良・オットーのリサイタル

アリス=沙良・オットーのピアノ・リサイタルを聴いた。 曲目は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」とリストの「超絶技巧練習曲集」全曲。リストは、今年6月にハンブルグで録音されたCDがドイツ・グラモフォンレーベルで11月の下旬に発売になったばかりで、購入してもう試聴済み。(左の写真参照)それと同じ曲目が生で聴ける。CDは19歳の時の録音で、今回のリサイタルは20歳になったばかりだという。モーツアルトではないが、時々こういう天才は神がこの世に出現させるのであろうか。

「パガニーニ大練習曲」のCDは、ドイツでしか発売にならず、わざわざ本国から取り寄せた。この時の驚きは「未完の大器出現!」であった。それは未完成という意味ではなく、これから先どれほど大きくなるか分からないその無限の可能性に驚いたのである。
はたせるかな、今度の演奏会でもベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番では、放映になった「ワルトシュタイン」から大きく成長し、スケールの大きな見事な演奏であった。

リストの「超絶技巧練習曲集」は、その名の通り超絶的なテクニックがなくては到底弾きこなせるような曲ではないが、昔、リスト弾きと言われたあるピアニストには鼻持ちがならなかった。弾きながらチラリ、チラリと観客の方を見やる。技巧をひけらかされては曲どころではないのである。全12曲、第1曲はいきなりもの凄いアタック音で始まり、第12曲まで、どの曲も息もつかせない展開となる、しかし、第12曲の終曲「雪あらし」が止むと、長い沈黙があった。聴衆の息も止まった。聴衆が成熟していないと、1995年9月28日のブレンデルのリサイタルの時のようになる。待ってましたとばかりの拍手は音楽を台無しにする。音楽にどれほど沈黙が貴重なものか。

アリス=沙良・オットーのピアノは、何よりも「音が澄んでいてピュア」でありながら、非常に強靱でダイナミック、しかも繊細さを伴っていて決して濁らない。リストではそれが凄まじい勢いでわれわれに迫ってくる。会場で聴いた演奏をもう一度CDで聞き直してみる。REVOX B22で送り出して、QUAD22+IIからEMI711Aで聴くと、彼女でしかない音が確かにあって、それは将来ホロヴィッツでしかない、アファナシエフでしかない音や音楽となる予感がする。リストの曲は、これでもかこれでもかと異様にわれわれをどこかへ追い詰めてゆくような激しさがあるが、あるところに、ふと、えもいわれぬ美しいただすまいがある。特に、第11曲から第12曲にかけてがそうである。

リクエスト曲は、「パガニーニによる大練習曲」から第3曲嬰ト短調の「ラ・カンパネラ」。プッチーニの歌劇「トウランドット」のアリア「誰も寝てはならぬ」と同じく、この曲を知らない人は少ないだろうが、現在、彼女をおいてこれほど素晴らしく弾ける人は少ない。

さらに、ショパンの小さなワルツ。彼女がリストなど、どちらかというと超絶的な技巧を要する曲のイメージから先に紹介されたきらいがあるが、この短い曲を聴いて別の驚きがあった。その叙情性豊かなこと、香りすら漂ってくるような雰囲気にこれから先のショパン・プログラムのリサイタルやCDの発売が楽しみである。

(C)Takayoshi Mashimo December 28, 2008

 





HMV classica japan   tower records
         

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  KAYO-NET "Be gentle and be kind."