星の絆2



高く晴れ渡る空
揺れる竹 薄緑に透ける光 そよ吹く風
この世に二人だけのような錯覚

そして
初めてのくちづけ・・・

沖田さん あなたが好き
ゆっくりと歩み寄ってくれるあなたが好き
怯える私も 戸惑う私も はしゃぐ私も
すべて受け入れてくれるあなたがとても好き

「一緒に歩いてくれると嬉しい」
「一緒に歩いて行きたい」
私たちの道はずっと先まで続いていると
喜びとともに信じることが出来たあの瞬間

これからの永い道程
二人で並んで歩いて行きましょう
そして時には追いかけっこ
逃げようとする私を捕まえて
あなたが先を行くのなら
今度は私が追いかけましょう

お互いがお互いの心を暖かくできる
そんな存在でいられたら素敵

あなたの大切なもの
私の大切なもの
わかりあって生きていけたら素敵

生まれて初めて
心を繋いで生きたいと願った
ただひとりのあなた
この想いを大事に心に刻んで・・・


**********************


果南さん、あなたは私にとって日溜まりのような暖かさを持っている人なんだ。
だから、あなたを思い出すと私はとても優しくなれる。


果南との嵯峨野行きから数日、総司は精力的に隊務をこなしていた。自分では全く変わらないいつもの自分だと思っていたのだが……。

まず山南敬助にこう言われた。
「総司、君はどこか以前と変わったな」
「そうでしょうか」
怪訝に思って総司は聞き返す。
「遊び心というか余裕が出てきたな」

その言葉に、竹林の中で果南とおいかけっこをしたことを思い出していた。
意外だったが果南はとてもすばしっこくて、総司も多少本気を出さないと捕まえることができなかった。
子供を相手にしたおいかけっこは壬生寺でよくするが、果南相手では勝手が違う。
当たり前だが、彼女はもちろん子供ではなく、それどころか総司の好きな人だった。その人をこの腕に捕まえたとき……。

「どうかしたのか」
目の前にまだ山南がいるのを思い出した総司は慌てて、
「何でもありません」
と答えた。

次に原田佐之助が総司の顔を見たとたん、
「沖田、お前、前よりいい男になったねえ」
と背中をばんばんたたいてきた。
「いい男?」
わけがわからず問い返す。原田は全然総司の言う事を聞いてない。
「いやあ、水臭いね。女の事については俺に聞けって言ってただろう。それでどうだったんだ」
「どうだったと言われても」
総司が言葉を濁している間に、原田は一人で「いやあ、良かった。良かった」と向こうに行ってしまった。原田は何か勘違いをしているのではないだろうか。

総司は果南の唇の感触を思い出す。柔らかくてそして傷つきやすそうで……。自分の気持ちに負けてしまい、思わず口づけしてしまったことを。
あなたがとても大切だ、果南さん。この気持ちは自分でもとまどう程に大きい。

「何を考えているんだ。総さん」
いつの間にか斎藤一が総司の顔をしげしげと覗き込んでいた。
「その顔、女に惚れた顔だ」
斎藤はそれだけ言って、さっさと道場へ入っていく。

総司もそろそろ巡察に出なければならない。
それにしてもなぜ皆、揃いも揃って総司の変化に気づいたのだろう。

巡察の報告が終わった後、土方歳三の部屋に呼ばれた。
土方は総司にお光からの手紙を渡して寄越した。
「お前、姉さんに返事を書けよ」
果南にもそう言われたばかりだった。果南をいつか姉に紹介しようと総司は思っている。
それは将来に渡ってずっと果南とともにあろうとする総司の決意だった。
「総司」
土方がそう言ったので総司は経験上、身構える。
「あの娘と本気なんだな。相手は素人娘だぞ」
土方はいつのまにか総司と果南のことを知っていた。
「ええ、本気です」
総司の目をじっと見た土方は
「よし」と言った。
「お前のことだ。俺が言わなくても隊務には今まで以上に励むだろうよ」


壬生寺で遊ぶ子供の中に果南の弟、和吉がいる。
総司を見て、恨めしそうな顔になった。
「姉ちゃんと二人だけで出かけたんやろ」
「ごめん。和坊も今度いっしょに行こうか」
「うん。でも姉ちゃんは帰ってきてからお母ちゃんに怒られてる。ぼーっとしてるって」

「そうか」
総司は笑って、和吉の頭をなでた。
やがてここに果南が現れるだろう。


果南さん、あなたは知っているだろうか。私がどんなにあなたを好きか。

(終)



作・果南(詩)&磯宮(文)





[鴨川の散歩道]