NEON GENESIS EVANGELION at19
  NEON GENESIS EVANGELION Fanfiction Storys


No.00



- Prologue -


 爆発音がけたたましく聞こえる。

 彼の瞳には、’これでもか’という程のミサイルが発射され、飛んで行く映像が映し出されている。

 そして、彼の視界の中心には、両腕と首を無くした赤い巨人が立っていた。

 後ろからは、避難に走る人々の悲鳴が聞こえてきた。

 時折、その方向から僕に対して大声をかけられた・・気がする。

 何もかもが絶望的な光景であった。

 しかし、まだ彼は、この惨劇を受け止められないでいた。

 その時、ふと隣から声をかけられて彼は意識を現実に戻す。

 なぜなら、それは知っている声だったから・・・・・・・・。






「シンジ君じゃないか?」
                                       


『・・・・・加持さん!?』




 意外な場面ででくわしたのは不精ひげの優男、加持リョウジ。

 アスカの憧れの人であり、彼自身、気の許せる’唯一’の’大人’の男の人であった。



 いつの間に隣にいたんだろうか。

 いや、隣に立ったのは彼であろうか。

 よくよく見ると、そのヒトはこの非常時にも関わらずじょうろを手に持ち、水を巻いている。

 その姿は目の前で起きている惨事に対して’大きなギャップ’であり、滑稽でさえある。

 下を見ると以前より成長し、程良い大きさとなったスイカが実っていた。






『こんな所でなにやってるんですか!?』


「それはこっちのセリフだよシンジ君。君こそ、こんな所で何してるんだ?」



 突然、加持の声が鋭くなる。責めるかの様な言葉に、彼は戸惑いながらもなんとか答えを返す。



『!!、・・・・・・・僕は、・・・もう、エヴァに乗らないと決めたから。

 そう、決めたから・・・・・・』




 彼の言葉を黙って聞いた加持は、声を和らげて答えを返す。




「・・・そうか、俺はアルバイトが公になってね。

 現場に俺の居場所は無くなっちまった。以来、俺はここで水をまいている。」



『こんな時にですか!?』



 信じられない、といった表情の少年を横目で流し、彼は質問に答える。



「”こんな時”だからだよ。こんな時だからこそ、ここで水を巻いているんだよシンジ君。

 どうせ死ぬなら、葛城の胸の中もいいが、やはり・・ここで死にたいからな。」



『死ぬ・・・・・・』



「そうだ、ここの地下に眠るアダムに使徒が接触すると人類は滅びると言われる。

 サードインパクトが引き起こされてしまうことによってな。

 それを止められるのは、使徒と同じ力を持つ、エヴァンゲリオンだけだ。」



『・・・・・・・・・・・・・・』




 その時、ジオフロント上に零号機が現れる。

 片腕のその姿にシンジは息を飲む。


(綾波、あんな姿で・・ライフルも持たずに、・・・・あれはN2地雷!?)





 残った右腕に抱えられたN2地雷は決意の証。

 アスカをも数瞬で倒した最強の使徒に玉砕覚悟で猛然とダッシュする。

 
『・・・・綾波っ!!』


 猛然と突撃する零号機。

 寸での所で、強力なATフィールドに阻まれる。

 しかし、阻まれながらもATフィールドに侵食し、零号機はなおも直進を続ける。


(綾波、綾波!、なんで・・・・・・)


 シンジの思いなども関係なく、未だ玉砕突撃を続けようとする零号機。

 ついにATフィールドを突き破り、そのコアに直撃しようかとするその時、




 コクピットにいた彼女は、驚愕の表情を漏らした。



「?、・・・・・・・!!!」



 いかなる状況下であっても無表情だった彼女でさえ絶望に満ちた驚きをその顔にもらす。

 成功を確信した瞬間に現れた、コアの防壁。


 辺りは、目も開けられない閃光が包み、数瞬送れて大爆発が起きた。






 ・・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・






 次の瞬間に爆風があたりを包み込む。

 眩く、目が潰れそうな程の光と熱風に、シンジは目を開かせられなかった。



 暫くしてそっと目を開くと、辺りの色が全て赤いオレンジに染まり、熱風が辺りを包み込む。

揺らめく爆音の中、誰もが彼女の姿を確認しようと爆心地を凝視した・・・・・・その時、
 




       ・・・・シュルルルルルルル、ザシュッ!・・・・・




 爆煙ではっきりとした情景を確認する事はできなかったが、カッターにも似たムチの様な使徒の腕が、瞬間、零号機の頭を確かに、確実に貫いているのを確認できた。



『!!、・・・・・・綾波ッ!!』



 その場で顔から血を流して倒れこむ零号機。ピクリとも動かない。


 
 スイカ畑でその一部始終を全て見届けていた少年は、目の前で起きている惨劇に只、只唖然とし、自分の頭の中で、ぐるぐると何かが駆け巡ってきているのを感じていた。





 (アダム・・・・人類の滅亡・・・・・・・・・エヴァ・・・)






 彼の頭の中に今までに起こった様々な光景がグルグルと思い浮かばれる。

 吹き飛ばされて来た弐号機の首。その下敷きとなった人々の躯。逃げ惑う人たち。

 そして、片腕しか無いのにも関わらず自らの命を賭けて飛び込む零号機。



(誰のせいだ!、誰のせいだ!、誰のせいだッ!!

 綾波が・・、何で、あんな事をしなくちゃならなかったんだ!!)




 シンジは、何もできない自分が歯痒い。その歯痒さが彼の心をえぐる。




『どうして、どうして、こんなことに・・・・・・』


(なったんだよ・・・。)


 消え入りそうな声を発した彼の脳裏に、先の第壱拾参使徒戦の事が思い起こされる。




 






 目の前に現れるエヴァンゲリオン参号機。

 誰かが乗ってるハズのエヴァ。

 綾波もアスカも誰が乗っているのかを知っていた。知らないのは自分だけだった。



 それでも、彼の父親は、彼に「アレを殺せ」と。

 使徒だから「殺せ」と、命令した。


 彼はそれを拒否した。

 嫌だった。自分は何も知らない、みんな知っていたのに。知らないのは自分だけだった。

 それなのに殺せと命令する父親に、彼は『嫌だ』と言った。

 それを見た彼の父親が下した決断は、強制的に任務を全うさせる事であった。





 そして、全てが終わった後、エヴァンゲリオン参号機から出てきたのは、彼の親友であった。
















 あの時起きた事象を思い出し、彼の心の中にフツフツと憎悪が蘇る。

 目の前で起こった惨劇に対して、何も出来ない自分のフラストレーションと罪悪感のはけ口を、彼は憎むべき、自分の父親に向けた。

 
(そうだ・・・、そうだよ。そうだよ!、みんな父さんが悪いんだ!!

 あの時、僕を使った様に父さんは!!、綾波を!!

 父さんだけじゃない、ネルフのみんなもだ!!、あいつら、あいつらは・・・・

 ミサトさんやリツコさんまであの時、何も教えてくれなかった。

 その上、人を殺せだなんて、そんなの許せなくて。

 だから・・僕は・・・、僕はエヴァを降りた!!!もう二度と乗らないって決めたんだ!!)
















しかし、目の前で起こる惨劇を見て、彼の顔色が変わってゆく。








(でも、なんでこんな事に・・・、僕はこんな事、望んでない。

 こんな事になるなんて・・・

 綾波が、アスカが・・・・、だけど、これは僕が望んだ結果なのか?

 綾波やアスカが目の前で倒れて行くのが。)




(違う!!僕はこんな事を望んでいない!!!

 でも、これは僕が選択した行動・・・の結果なのか?

 あの戦いでも、もし―――――、)



 
 答えは、今、目の前で起きている。



 苦しみ、逃げ惑う人達。

 恐怖に悲鳴を上げる声。

 避難を誘導している人達もその立場上悲鳴を上げることなく指示を出しているが、その顔は明らかに焦燥と恐怖に引きつっている。


 それとは関係なしに破壊させられてゆく建物。

 その巻き添えとなる人達。

 それがさらなる恐怖と悲鳴を呼び、負のスパイラルを作り上げる。





 あの時、彼が逃げ出す事によってみんな死んでしまったはずだ。アスカもレイも。

 そして、今、目の前で行われている事が起こったハズである。

 自分より、あの時殺戮に走った初号機の行動の方が余程マシであった事が解る。




 あの時、自分がした行為は何を示すのか。

 何に対して怒っていたのか。




 分かっていた事。

 でも実際に目の前でみるまで、納得できなかった自分。



 そして彼は目の前で起きるその光景に耐えることが出来なかった。


 目の前で繰り広げられる一つ一つの光景が彼の胸に突き刺さり・・・そして、彼は先の使徒戦で犯した自分の間違いと罪深さに気付いた。



(もし、あの時に父さんが何もしなかったならば、

 もし、あのままトウジの乗っているエヴァ―――、いや、使徒に殺されて、

 そしたら・・・。)




 隣で目を見開いたまま固まり、無意識に呟いていたシンジ。

 それを横目で見守っていた加持は、もうそろそろだろうと見計らって、最後に一押しをしてやる。



「シンジ君、俺はここで水を撒くことしか出来ない。

 だが、だが君には、君にしか出来ない、君になら出来ることがあるハズだ。

 無理強いはしない。自分で決めろ。自分が今何をするべきなのか。

 まぁ・・・、だが、後悔の無い様にな。」

 


 シンジは何も言わずに踵を返して駆けていった。


 そして、彼の向かった先はネルフ本部であった。
 




「死ぬなよ・・・、シンジ君」





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     あとがき




すいません。ちゃちぃプロローグです。

とりあえず、自分がどこから物語を再構成して行こうか・・・・と言う事から述べる必要が

あったので・・・・・。読んでくだされば解るかと思いますが、アニメの第19話の

「男の戦い」からの分岐となります。そして、とにもかくにもシンジ君を中心としたお話に

する為、彼が、NERVに帰ってきた経緯を、彼の心の葛藤を通じて描きたかったのです。




小説なんて書くのは始めてです。エヴァ小説を読みだしたのも、ここ3ヶ月以内の事です。

ですが、私にもエヴァを見ていて納得のいかなかったコトいろいろあったんで、ここにそれを

記そうかと思い、PCと対峙しています。誠に勝手な理由ですが、少しの時間ばかり付き合っ

ていただいて有難うございます。



分岐物の小説だけに、少しづつ話が変わって行きます。次回の第一話がはっきり言って

ターニングポイントです。それは、僕自身が、ホントは始めに製作者側は・・・・・・という

コトになる様には考えていなかったのではないか。この事件を通して、シンジをまた一つ成長

させるのが当初の意図ではなかったのか。という風に考えたからです。

(・・・・・・・)の部分は次回のネタばれですのでご勘弁を。でも解ってしまいますね。(^^;


 とにもかくにも、少しでもこの小説をより良いものにしたいと、少しはエンターテイメントとして

楽しんで頂ける様に工夫致しますので何卒宜しくお願い致します。






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