hurt
満天の星と
紅のリングを湛えた月の下
命の海の波が打ち寄せる砂浜で
少年は体を起こす
目前の水面に浮かぶのは
蜃気楼の様に揺らめく二人の幻
傍らに目を向けると
所々に包帯を巻いた
傷つきやつれた少女
少年は少女にまたがり
其の罪深き両手で首を絞める
強く 強く 強く
少女は虚ろな瞳を開く
そして
少年の頬を一度撫で
互いに傷付け合う事だけが
不器用な二人に出来た唯一無二の愛情表現
其の壁を初めて乗り越えた瞬間だった
だが
少年は涙を流しつつも
首を絞める力を一層強め
少女の腕は力無く地に堕ち
瞳の色は失われ
そして胸の鼓動は止まった
少年はふらつく足で立ち上がり
彼の右に在った血色の槍を手に持つ
そして
少年は壊れた機械に槍を突き刺した
鉄錆にまみれたそれは 一瞬にして
半透明の液体へと弾ける
さらに少年は
己の胸を槍で穿つ
しかし
不思議な事に少年の体は
先程の機械の様に弾けず
そのまま槍にもたれ掛かる様に倒れ
やがて永遠の静寂が訪れた