2005-3
完走に向けて、、、。
1月2日
曇り マイナス2度
今日の目標は小樽港
残り200キロほど、寒さで電池の弱っているMDだったので、ふところに入れて聞いていた。マービンゲイとビギンが何とか聞けた。
目の前のなんでもない雪景色が音楽でとてもドラマチックに見える。
海沿、集落、トンネル、山、と変化のある道が周期的に長く続く、予想していたとおり2日の留萌から先には営業しているガソリンスタンドがなかった。
去年の同じ日に開いていたスタンドも今年は雪に埋まっていた。やっぱり去年開いていたからと言うだけの理由では、あてにしない方がいいな。この日本海沿いの集落は変わらない景色。
暖かいトンネルの中で予備のガソリン入れる。
今回予備燃料使ったのはここでのこれ一回であった。
去年休んだバス停や、トンネルで同じペースで休憩し、昼過ぎに観光客あいての大きな看板出している食堂に入る。
名物らしき、北海道の海の幸の入ったラーメンを店主に勧められ食べるのだか、普通なのだなあー。それよりも今回うまいーと思ったのはDEEさんところで食べた、ニシンの漬け物?だったりするのだ。
なんだか、気温が上がってきて道が少し弛んできた。
車のしぶきがスクリーンに付く。まだワイパー使うほどではないけれど。
厚田村出てから、少しづつ景色が旅モードから、日常モードに戻ってきた。
気分もただ寒いだけの移動となってきた。どこのコンビニで休もうかなあ、でも止まるのもめんどくさいなあ、と何に我慢しているのかわからないけれど、我慢して走る。MDも電池切れて退屈。だんだんと暗くなってきた。
道はシャーベット状になってきていて、足下、バイク下回りは濡れている。
石狩から、定規で引いたような無機質で真っ直ぐの2車線道路になる、小樽までガソリンもたないので、最後になると思う今回最後の燃料補給。
小雨、乗用車が多くなり、広い道、横からゆっくり抜かれる。パチンコ屋、前方にスキー場のナイターの灯りが賑やかに点いている。
気持ちとしては、今回のツーリングのエンディングテーマが流れ、今回のツーリングの回想シーンの途中なのに、突然エンジンが止まった。「??????」そして「!!!!!」
気温もプラスだし、場違いなエンストだ、全く。せっかくの気分も台無し。
小樽までまだ20キロほどあるし、、、
あと一日予備日はあるので、そんな慌てることもないが、暗くなってはやりにくい、適当に場所見つけてばらした。
もうこのバイク過去何度路上でばらしたのだろう、通勤前、雨の中、これで最後にしたい。
プラスの温度でもこんなべちゃ雪の空気を多量に吸えば不調になるのだなあ。ジャイロではこんなことなかったのに。
解氷剤使って30分ぐらいで復活、
何事もなかったように国道5号線をひた走り、マイカル小樽の綺麗な観覧車が見えてきた。その横の凸凹道をカタゴト抜けて、フェリー乗り場に着いた。
やれやれ、とりあえずトランクから手持ちのストーブセットを出し、ドリップコーヒー沸かす。
今回コーヒーいっぱい持ってきていたのに、トランクキーが凍っていたり、ガスが寒くて出なかったり、水が凍っていたりと、一度もできる環境になかった。そんな悔しさもあって2杯続けて飲んだ。
うまい!「ダバダーゥーダバダー」「違いの分かる男のゴールドブレンド」ここはインスタントコーヒーははだめですよ。
そしたら同じ京都のANDOHさんに出会った。
今年はランクルできて家族で楽しんだそう。
フェリーは今日から初便であるけれど、今夜帰るのももったいないし、明日の夜にした。新ダイヤになってから、船の時間帯には多少不満あるけれど、年始年末の運行が増えた結果、予約なしでのれるので、それはうれしい。
ぎりぎりまで、マイカルで暖をとって、夜、健康ランドで自分だけの宴会をする。
タオルのはちまきで、長テーブルの上に餃子定食、缶ビール。
部屋は必要以上に暖かく、うるさい酔っぱらいが大声で話していたりして、隣の席の同年代のおっさんはエロ本片手にビール飲んでいる、
そのうちそのままだらしなく仰向けになり、財布も広げたまま、口をぽかんと開けて大きないびきかきはじめた。完全無防備な寝顔。
なんだかこの緩みきった光景でこのツーリングが終了したなと思った。
1月3日
早く起きて地元の天狗山スキー場に行った。
ここは僕が初めてスキーをした場所、この場所に行くまでは急勾配で、ストリームのパワーでは限界近かった。
小雨になり、パウダースノーでもなくなったので、スノーボードはやめにした。
レンタル料4000円も、少し高いかなと思ったし。
小樽の市街地をあちこち探索する。路地や飲み屋さんがおおく、うろうろのし甲斐いはある町だが、雪かきしていない場所がたくさんあり、とても走りにくい。
かなりの凸凹。
昼は路地裏のラーメン屋さん。醤油ラーメンを頼んで、つけっぱなしのテレビを見ていた。新春演芸寄席で、日頃はテレビ出ない昔からの芸人さんが一生懸命漫才をやっていた。
他にだれも客はいなく、店の夫婦も少し無愛想で、居心地がよかった。
そんなことしていたら、涼さんから電話があり、バイクが不調でかなり手こずったよう。
ショップの力を借り、とりあえずはターミナルにたどり着いたということだ。
すぐにターミナルに行ってみると、
原因不明のエンジン不調に声も枯れていて、いつもの涼さんの元気さはなかった。
最後の晩餐は、バギーのまっちゃんモヒカン、ひげ面、2人組と一緒に近くのスーパーに買い出しに行った。
なんでも閉店近くのセール「おつとめ品」を狙う作戦。まだ少し時間があり、2割引までしか下がっていない、これを半額まで待とうと、
むさ苦しい男3人が、寿司の前で順番に自分らの獲物を守った。
僕らの値引きのやりとりをこっそり聞いていた、ちゃっかりおばはんが同じ寿司を狙っていたからだ。
そんなにせかした訳でもないけれど、時間より早く半額シールを貼ってくれた。
特上寿司やその他つまみを買い込み、フェリー待合室で今晩の船で帰るライダー達と豪華なディナーを食べ、小樽での最終日を締めくくることができた。
雨を避けて軒先ででコーヒーを沸かしているうちに乗船の時間がやってきた。
フェリーの人が、待機場所で濡れるのかわいそうだからと、少数派のライダーを最優先に船へ導いてくれた。
やっぱり北海道の観光業だなあと思う、ちょっとうれしい配慮だ。
出航0時30分
雨の夜景に光る小樽港を出た。
船に乗ったらすぐロビーで宴会?船に酔う前に、酒に酔え。
まっちゃんからおつまみウニをもらい、ビールを飲んだ。
少し酔っぱらって、船の後ろのデッキに出て、小樽を見送った。
寒くなったので、船室に入る。
夜に少し揺れたみたい。
昼間もあまり動くことなく、ずっと寝ていた。
4日 22時 舞鶴入港
着いたもののけっこうな雪、北海道のとは違って湿った雪。重い。
ここから綾部までトランポの置き場までの道案内しながら、一緒に帰る。
船の中のスロープで涼さんがこけて、ほぼ自走不可能になり、船内で広島のライダー3人が県民会を作り?帰り道をまとまって帰ることになっていた。
国道27号線を綾部に向かうも、けっこうな雪。スクリーンについた雪をワイパーで拭いながらひた走る。
今回初登場の大活躍!でも地元だけれど、、、。
しかし遅い原付で早いバイクを先導するには疲れる。そのうちだんだんエンジンが吹けなくなってきた。
しばらく休むと、また復活するのだが走り出すとその繰り返し。
気温は0度、道はかなりの雪水で、タイヤの抵抗がかなりある。
トランポの置き場まであと十キロぐらいなのですが、道にどんどん雪も積もってきているし、広島まで帰る県民会をこれ以上つきあわすわけにも行かず、ストリームでの道案内を諦め、途中の道で県民会を見送ることにした。
お互いヘルメット越しだったので、大した声かけもできないまま、雪の国道に連なって走る2台のバイクを見送った。心残り。
さて自分はこれからどうしよう。
こんな地元で夜バイク直すのもバカらしいし、バイクは置いておいて友達に車で迎えに来てもらうか、、、。
それもつまらんなー。
しかしまあ今回のツーリングは最後の最後までどうなることかわからんもんですわー。
5日 晴れ
結局自走で走り友人の所に泊めてもらい、次の日帰った。
昨日の雪もほとんど無くて、喫茶店よったり寄り道しながら昼前にスタート場所の置き場に着いた。
すぐにリアにくくっていたアルミの箱を外した。
やっぱりこのストリームのフォルムには、この無骨な箱は似合わないとずっと思っていたから。
検証
再び、ジャイロ、ストリーム、それぞれに元通りの形にする作業中に気が付いた事がありました。
基本のレイアウトはほとんど変わらないこの2台だけれど、
ストリームの空気取り入れ口は、下向けでそれも高さが道から20センチほどしかなく、雨水をまともに吸い込みそうな場所なのに対し、ジャイロは上向けで、それもエンジンカバーの形に合わせて、より綺麗で安定した空気を取り入れるように工夫してあった。
普通ならまあデザインの一つかと思えるような思わせぶりのレイアウトだけれど、今回のツーリングではこの差が大きかったのではと思われた。
今回この部分もストリームに使っていればトラブルは起こらなかったかもしれないな。
この2台の当時のテレビCMを見る機会があった。ストリームはブリッテッシュテクノっぽいBGMの中
都会のガラス張りのビル街を2台のストリームが車体を左右に揺らせ抜きつ抜かれつ軽快に走っている、コピーは「第3の乗り物」
一方ジャイロは、マルボロのCMっぽく、カウボーイ風の男がウエスタンハットからヘルメットにかぶり直し、雪道を雪かき分け、馬と一緒に坂道を上っていくという、かなりワイルドで、オフロード指向の乗り物にしてあった、コピーは「俺は北で生まれた」でした。
なーるほど、実際こちらで再び雪道乗比べると、ジャイロの走破性はすばらしいものがあります。最初はストリームのフォルムのままで最北端に立ちたい思いが強く、ストリームの細いノーマルタイヤで行こうと考えていたのですがやはり無謀でしたな。
さてさてそんなこんな2005年でした、去年とあまり変わらない展開、正直、去年ほどの感動は得られなく終わってしまいました。まあこんなもんでしょうね。
第一の目的はバイクを無事に走り切らすことなので、あまりみち草もしませんし、スノボードなど遊び道具も持っていきません。ちょっともったいないけれど、こんな変なスクーターで行くことのリスク考えると、両方楽しむことはやっぱり無理だな。
今年は強風を利用して「最北端で凧揚げをしよう」と呼びかけがあったようで、涼さんなどは洋風凧を持っていってて高くとばしていた。余裕だな。
余裕と言えば、30年以上前の未再生ハスラーレアな185で来ていた八王子のおじさん、乗っていたバイクも、服装、装備すべてが70年代!普通のツーリングの一こまのように、荷物全部ネットに押し込み、普通に最北に来ていました。
かっこえーな。
今回冬の事考えてバイク特別いじりましたか?って聞くと、「いつも俺は調子よく乗っているから、そのままでも大丈夫だと思って来たんだよー」途中のトラブルなんか無かったということです。
他にも旧車を持っていると言うこの人、その後小樽のフェリーターミナルのベンチで寝ておられるのを見たので、無事にお帰りになったと思います。ちなみに元旦テレビのインタビューはこの人でした。
ストリームのスクリーンがとても快適で、このツーリングが終わっても格好悪いと思いながら、これだけは外せずに真冬でも乗っています。やっぱり第三の乗り物といってもいいかな。その後気温も暖かくなり、2度とエンジン不調はなく、あのトラブルはアイシングだったのだと確信しました。
主な記録
総走行距離 900キロ オイル1.2リッター 燃費20−25?
ガラムタバコ 5箱 バーボンウイスキー半分
今回バイク本体から始まり、各絶版部品の提供、資料、など今回のツーリング計画に多大な協力してくれた、でいとなてぃさんに感謝。
原付3輪編 完結