2007-1
「2007
元旦初日の出」
29日
晴れ時々曇り、手塩から海沿いの道道に入る。
ここは除雪ランクが下がっているために、道路に雪が残っている、矢吹ジョーのように、両足だらり作戦で転倒を防ぎ、20−30キロのスローペースで景色を楽しみながら、ゆっくり進む。
発進時タイヤが空転、ハンドルも思うように切れないので、この時はスパイクがいいと思った。
でもこれはこれで、ドラッグレースのスタートの様で、いいではないか!マイティダックス150馬力!ってな感じ。
サロベツの景色を楽しみたいのだけれど、実際、路面8、景色2ぐらいの割合で目線は常に下。
時々対向車にすれ違うのだけれど、その地元と思われる一台の車の窓から腕が出て親指差し出し、「がんばれ!」の合図。
この自然の景色と、人間のパフォーマンスで最高の気分になった。嬉しいじゃないか!このあともう一台同じ激励を受けた。思うに同じバイク乗りだと思うな。
利尻富士が真横に並ぶ辺りでで写真撮影、荷物降ろしたり手袋を外したりヘルメットのシールド開けたりと、一枚の写真撮るのにけっこうめんどくさいし鼻水が出て困る。風景も雲の流れですぐに変わる。
昼過ぎに稚内ドームに着いた。パクリさんや、クリさんに再開する。パクリさんは遊びバイク2台トランポに乗せて来ていた。
一台はカッコいいモンキー系チャイナバイク、トルクもあり遊べそう。ノーマル?なのに最初からいい音してました。
北海道の昼は14時過ぎると、夕方に入って行く感じ、
地元の風呂屋に入ったりして、時間をつぶしてDEEさんの経営している飲み屋に歩いて行く。
やっぱこの人の顔を見ないと稚内に来た気がしないわ。
30日
買い出しや、漁村など写真撮りに行く、出発前にマイティの錆び落とししたのに、再びあちこちサビが出てきた。これじゃただのボロバイクじゃないか。古いバイクは汚れていると、ホントみすぼらしくなる。
帰ったら気合い入れてきれいにするから、あと半分がんばれ!
31日
利尻へのフェリーターミナルの売店で、メニューにほっけのハンバーガーがあった、昼飯として食べようと思っていたら、昼過ぎに店が閉めてしまった。残念。どんな味だったのだろう。
夕方最北端に向け出発、すぐに暗くなり、6Vの暗いライトで進む。「いけ!マイティよ」海沿いの道はいつもきつい風なのだけれど、今回は無風。黒い海も凪いでいる。追い越して行く車が「がんばれ」のクラクションを鳴らす。夕方のニュースでは暴走族対策でどこかの道路が通行規制を出しているそうが、心意気としては同系列かもね。
18時頃、雪も風もないからいつもの感覚よりも早く岬に着いた。
アスファルトの出た駐車場にバイクは20台弱か、聞くところによると太平洋のフェリーは低気圧の影響で、船に欠航が生じたようで、そこで淘汰したようだと。それでも関越道から新潟経由で渡ったライダーもいたとか。
風もなく、外で普通に話ができるぐらい今年は、岬も穏やかだ。道もとても走りやすかったのに、来れなかったライダーは残念でした。
今年はぎりぎりまで屋久島あたりでのんびりしようかと思っていましたが、この穏やかな天気はそう毎年ある訳でもなく、最北選んで正解でした。大晦日の過ごし方は、途中から荷物運んでもらった車の中で、紅白歌合戦のラジオ聴きながら、身欠ニシンをガスであぶり、海苔と筋子をミックスさせ、濁り酒で一杯。たまらんですわー
ゆく年来る年まで聞いて、カウントダウンは岬の方で、地元主催の人達と新年を迎える、そのあと花火。
打ち上がってすぐ開く、ちょっとせっかちな花火が、寒い最北らしくていい。
その前後R&Pが駐車場を行ったり来たり、おおーっ仲間だ!なかま。嬉しくナンバー見ると、稚内。「?」その横に見慣れた人が、現地の案内人こまこまさんでした。
「見つかっちゃいましたー」なんて言ってましたが、そら目立ちますよ。タイヤは10インチの軽トラのスパイクタイヤですもん。それに同行の旧車の師匠さんにも会え、盛り上がりました。この最北端に来るライダーは道外率100%、そんな中、地元の人がわざわざここにカウントダウンしにくる人が僕にとってはとても珍しい出来ごとです。
だって地元じゃこんな時、家で酒飲んでテレビ見ているのが一番普通でしょう。でもこまこまさんは、地元参加としては残念ながら2番ですね、すでにDEEさんが何年か前にスクーターでやっています。
今回はお店が忙しくて来られませんでした。車中泊。
1月1日
6時頃岬ではよさこいをやっていたようだが、眠くて起きられず。
7時に目が覚めた、いい天気、青い空が出てる、「もしや?!」一気に目が覚めた。なんということ!雲がない!!
すぐ飛び起き、明るい空の下に出る、ホントに太陽がでてきそうやで!えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!
カメラを持って再び、海岸へ、ホントは岬ではキーホルダー貰う人の行列ができているのですが、
殆どの人が日の出を見ようと、岬の反対側の高台の上に上がっていて、イベントの岬には人が殆どいない。
こんな風景も始めて見た。高台の塔に鈴なりに人がいる、日の出の時間、7時12分に花火が上がる、しばらくして雲と海の間からオレンジ色のまぶしい太陽が見えた。
「初日の出が見られたやんか!」じわーっと嬉しさが込み上げて来た。こんなすばらしい日の出は僕にとって始めてす。
今年ここに来て良かった。しみじみ。
きれいな初日の出も見たし、朝飯のお汁粉も食べたし、帰りの道も、天気も、恵まれた状況で、マイティも快調、最高気分の正月走り初めです。
青い空と雪景色、温かいし、早く進もうという気分もなく、ゆっくり走りを堪能する。
稚内市街に入る、空港付近の直線道路で市街地後方に雪山が見える、「?」あれっ稚内にこんな高い山があったかな?
えーっとないよな、と思いながらも写真を撮った。この山は利尻山が空港から市街を越えて見えていた事が分った。
こんなのも初めてだ。そこからサロベツの道へ、来たときは道に雪が残っていましたが、今は完全にドライ状態。
路肩の雪も少なく、道から外れても苦労しないで歩けるので、写真も撮りやすい。今年は海岸まで歩いたりした。
ずっと先まで続く、雪と流木と泡の海岸線、原生林の海版というのか、人を寄せ付けない崇高な感じだ。
この抜海から、手塩までの50キロ程の道、ただの直線だけの様に思えますが、何度も通っているうちに、ポイントや、場所の違いが分るようになりました、海岸との距離と高さ、アップダウンの有無、防護壁の有無、そんな環境の中写真を撮るのはおのずと、決まってしまいます。
今年は利尻山が頭から海まで見えていて、空もくっきりと晴れたまま、こんな写真日和の日はそうない。(まあ吹雪や、曇りでもそれなりに絵になるときもありますが、、)
思う存分サロベツを堪能し、手塩大橋を渡るため大きく左カーブし、東に向いた。それまでの右から来ていた海風が追い風となり、風が止んだ。橋の上で数分間無風の中、マイティのエンジン音がダイレクトに聞こえた。とても静かないい音でした。14時頃手塩に着いた。やっぱり道の駅は閉まっていたが、横のトイレのスペースで、昨日の残りのパンを食う。しばしコーヒータイム。ホッとしてちょっと疲れたかな?!ここで燃料を入れないと、次まで保たなかったのですが、ちょうど一軒営業していました。燃料積んだサポートカー呼ばなくて済んだ。
2リッターばかりしか入れられなかったけれど、とても有難い。これで羽幌までつなぐ事ができる。満タンにしても300円ぐらいのガソリンですが、この時ばかりは安いと思ってしまいます。しばらくするとプスプスエンジンが止まってしまった。
タイミングからしてガソリンスタンド出てから数分後だったので、さっきのスタンドで何かの原因が起こったのかも。まさか軽油入れられたとか?!
燃料系を見ても、トラブル無し。一服しながらあちこちチェック入れると、この当時ホンダのレジャーバイクに採用されていた、燃料キャップにある、空気穴のコックがオフに回っていた。
スタンドの人が親切にキャップ付けたついでにこいつもねじってたことが原因でした。元に戻すとすぐにエンジンがかかった。トラブルでもなかった、こんな事ではネタがないままのツーリングレポートになりそうだなと、落胆?しつつ、淡々と進みます。天気は曇りとなり、そんなに止まる事なく、のんびり国道を南下する。
3時過ぎに吉里吉里に着いた、部屋に荷物を置いて、スートーブに置いてあるドリップコーヒーおかわりして、今日の走行はおしまい。近くの町営温泉に入る、露天風呂の雰囲気が前とちょっと違う、何だろうと思って良く見ると、LEDの光が3色時間をおいて変化していく、どーでもいいような、どーでもよくないような、、、、これもサービスなのか。旅行者としてはくどい演出です。この晩はおいしいワインをしこたま飲み爆睡。久々に布団で寝た感じがする。
1月2日
今日も晴れ、オーナーに恒例の写真を撮ってもらったあと出発、今年は車で来ていた山本さんが抜いて行った。
留萌ー旭川経由で少しだけスノーボードしたり、ラーメン食ったり、1月5日の船に乗る。この日まで殆ど雪は降らず、舞鶴までの船旅も快適でした。海からの空や雲が陸上からのものとは違う、日頃山国に住んでいるので面白い。
6日普通に帰って来た。
すぐに錆び取りするが、引き上げて来たときぐらい錆びていた。また一日かけて錆び落とし。
今年はこのバイクに乗ってやろう。
この暖冬は異常気象のせいだとか言っているが、地球規模の異変?ホントにそうなのだろうか。
振り返ると、このツーリング始めてから18年が過ぎた。途中何回も抜けましが、今までで最高の初日の出だったことは間違いなし。この頃涙腺弱くなっているのですが、目やにの奥から涙がちょびっと出ました。
実際ここまで最北アタックが続くとは思わなかったです。これからまだ続けたとしても、もうウケ狙いだけの企画をするパワーはないような気がします。厄年越えた自分は、お気に入りのちょっと古いバイクで、トコトコ北海道をマイペースで走ればそれでいいです。
今年の天気がそんな気分にさせたのか、それはまだ時間が経たないと分りませんけれど、、。
2007年は無事終了した訳ですが、だるまのように着膨れしてダックスに乗っている自分をみて、バイクに乗りたかった高校生の時の事を思い出しました。
当時通っている工業高校は3ナイ運動まっただ中で、学校に近い僕はバイクの免許を取る事は出来ずに、
ひたすらノートにかっこいいバイク(ヤマハミッドナイトスペシャル)の落書きするか、河原や農道で友達のバイクを借りてうっぷんを晴らすのが関の山でした。
そんな冬の事。隣街に住んでる同い年のいとこが働き出し、みぞれの降りしきる寒い日、自慢のバイク見せに、バイクで遊びに来ました。まさしく今年のマイティの自分の様な格好で、、、。
先輩から5000円だかで買ったと言うそのダックスは紫メタリックに塗り替えられ、生ゴムグリッップに、ダウンマフラー、ブリーザーパイプと一通りの当時の改造。
パンチパーマのいとこは自慢のダックスをうちの家のガレージにつけて、バイクで走る苦労と楽しさを語りました。鼻水垂れたサングラスの奥の顔はとても嬉しそうでした。
そんな自分は2年後、高校3年の終わりに車の免許を取った、公安試験受かったその日は大雪でした。
免許即日交付して、電車で家に帰り、家の車ではなく、友達のRD50を借りて雪道を国道に出た「これで堂々と走れるぞ!!」と今までの我慢を爆発させるかごとく走った。行き先は峠、公道でバイクを全開で走らせたかった。道にはどんどん雪が積もってきている中、シールドに積もった雪を手で払いのけながらバイクのリアタイヤは蛇行して空回りする、夜の国道の雪道を足て漕ぎながら進んだ。
これから先いつでもバイクも車にも乗れるのに、今こんな雪の中わざわざ走らなくてもいいではないかという考えも浮かんだが、その時はただこれから先バイクと自分の間にどんな楽しい事が待っているのか?新しい世界に踏み出したこの夜、「免許とったらすぐ走る」と決めていた事をやらなくては気が済まなかったのだ。でもその時のいとこも僕も、やっぱり寒かったのだろうか?免許取った始めての夜、今から25年前の事をふと思い出しました。
end