(生態)

普通の平地から標高1800m位までの山地に多く見られるが、高山帯にもすみ、富士山の登頂に出没することもあるなど生息域は広い。
人家付近にもあんがい多くすんでいる。

主に夜活動する夜行性であるが、霧の深い日などは昼間も行動し、2〜3km四方から7km四方程度の行動圏内を徘徊して食物をあさる。

食物は、主にノネズミ類で、特にハタネズミ、ヤチネズミ類を好む。
ネズミを襲う際には、背伸びをするように高く後脚で立ち上がり、上方からかかる独特の捕獲行動をみせる。
大食で、1匹の狐の胃から48匹のハタネズミが出てきた例がある。
ほかに、ミミズ、カエル、カタツムリ、昆虫などの小動物から大きな獲物ではノウサギ、キジ、ハクチョウなどまで捕らえることがある。
余った獲物は穴を掘って埋め貯蔵する。貯蔵した獲物は食物が不足すると取り出して食べるが貯蔵場所は1ヶ月以上の長期間にわたって正確に記憶している。
秋には、果実などの食物質もかなりの量を食べる。

一方、天敵も多く、ワシ、タカ、フクロウ類の他は、オオカミ、オオヤマネコなどがキツネを捕らえる。
利口で、猟犬に足跡をつけられたりすると水にはいったり木に登るなどをして姿をくらませたりする。
鳴き声は、イヌより高く鋭い。

巣は、地中にいくつかの巣室のある巣穴を自分で掘って作るのが普通であるが、アナグマやアナウサギの巣穴を利用することや人家の縁の下を利用することなどもある。

普通イヌやオオカミのような群れは作らず単独で暮らすが、交尾期には雌の巣穴に複数の雄が同居していることがあり、しばしば雄は雌の育児活動を助ける。
また、ときに同じ巣穴で、2匹の雌が子を産むこともある。この場合、一つの巣穴に10〜13匹ほどの子が見れる。
交尾期は12月下旬から2月にかけての冬。
雌は、妊娠期間51〜52日で、4月頃普通1産3〜5子、ときには6子以上を産む

子は閉眼で生まれ黒褐色ないしくり色の毛で覆われている。
誕生直後の子は体重約100g前後のネズミ大・
10日ほどで目が開く。約1ヶ月間巣の中で過ごした後、ほぼ親と同じ体色になって巣から姿をあらわし巣穴の出入り口付近で遊ぶようになる。
固形食は、はじめ胃から吐き戻した半ば消化したものを与えるがやがて、口にくわえて巣に運んできたものをそのまま与えるようになる・。
しばし、雄が食物を巣に運ぶなど育児の手助けをする。
子がしだいに、1腹子相互の、攻撃性が高まり、また、親の子に対する攻撃性も高まって分散する。
冬は、性的に成熟する