“会社法”Q&A |
Q1.株式会社の設立手続が緩和されたのは、どの部分ですか。
A1.具体的には次の部分です。
@ 最低資本金の制度がなくなりました。以前は、最低資本金として1000万円が必要でした。
A 機関は、株主総会と取締役1名でもOKです。
B 類似商号禁止制度がなくなりました。従って、同一市町村内において、同一営業・同一商号の会社を登記することが可能となりました。しかし、まったく規制がなくなったわけではありません。商業登記法では、同一商号・同一本店の場合は、登記することができませんし、会社法でも、不正目的の類似商号の使用については禁止しています。
C 現物出資も、500万円までは検査役の調査を受ける必要がなくなりました。
D 金銭出資でも発起設立なら払込金保管証明制度がなくなり、残高証明や通帳の写しに発起人代表の払い込みを証する書面を添付する等の方法によって、払い込まれた金銭の額を証明することにより、設立手続を行うことができるようになりました。
Q2.株式会社の取締役・監査役等、機関設計のポイントは何ですか。
A2.機関設計には次のルールがあります。
@ 株主総会(最高意思決定機関)は、すべての株式会社で必ず置かなくてはならない。
A 取締役(業務執行機関)は、すべての株式会社で最低1人は必要です。但し、取締役会を設置する場合は、3人以上が必要です。
B 取締役会(業務に関する意思決定機関)は、株式譲渡制限会社では設置するかどうかは任意です。それ以外の株式会社では必ず設置しなければならない。
C 監査役(監査機関)は、株式譲渡制限会社では設置するかどうかは任意です。但し、取締役会を設置する会社では、原則として設置することになります。
D 監査役会(3人以上で構成)は、大会社(株式譲渡制限会社、委員会設置会社を除く)では、必ず設置しなければなりません。
E 委員会(指名委員会・監査委員会・報酬委員会)は、監査役を設置する会社には設置できない。また、会計監査人を設置しない会社には設置できない。
F 会計監査人(公認会計士、監査法人)は、大会社では必ず設置しなければならない。大会社以外の会社では設置するかどうかは任意です。
G 会計参与は、すべての株式会社で、設置するかどうかは任意です。
Q3.取締役、監査役、会計参与、会計監査人の任期は何年ですか。
A3.それぞれ次のとおりです。
@ 取締役は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。但し、株式譲渡制限会社は、10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長が可能です。
A 監査役は、原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです。但し、株式譲渡制限会社は、10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長が可能です。
B 会計参与は、取締役に関する任期と同じです。
C 会計監査人は、原則として選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。
Q4.特例有限会社とは、どんなカタチの会社ですか。
A4.会社法の施行により有限会社法は廃止されましたので、既存の有限会社は会社法の規定による株式会社として存続します。
しかし、既存の株式会社や会社法の規定により設立した株式会社と異なり、整備法によって従前の有限会社法の規律が実質的に適用されるため、特例有限会社と称し、商号中に「有限会社」の文字を用いなければなりません。
特例有限会社は、商号変更によって株式会社に移行することができます。