真性多血症(PV)とは何ですか?
真性多血症は骨髄増殖性疾患(MPD)の一つです。この病気では成熟赤血球の生産が抑制できず、高ヘマトクリット(Hct)、高ヘモグロビン(Hg)、高赤血球容積につながります。それに伴い血液の量と濃度が増し、抑制されない場合、血栓や出血の症状を含む合併症を引き起こす可能性があります。
MPDには他に原発性血小板血症(ET)、一次性骨髄線維症(AMM)、二次性骨髄線維症(MF)、慢性骨髄性白血病(CML)があります。これらの病気それぞれに明らかな特徴があり、もっとも顕著な関連を示す血球のタイプによって病名がつけられ鑑別されています。
これら数種類の症候群は重なり合うところが非常に多く、ある病気から別の病気への移行がよく見られます。このことは後に詳しく述べます。
PVはかなり稀なので希少疾患(orphan disease)と考えられています。その稀なことと多くのPV患者が長期間生存するという事実のため、メジャーな病気のようには研究されていません。誰を、何を、なぜ、どのように治療するかの専門家のコンセンサスもないのです。
地域の一般的な血液専門医、がん専門医はPVの治療経験がほとんどありませんし、PVの治療に使われている主要な薬もPV専用に認可されたものではありません。
私たちはこのFAQ、MPD-NET、MPDホームページ、MPD
VOICEの情報が新しくPVと診断された患者さんの病気の理解に役立つことを願っています。
MPD(慢性骨髄増殖性疾患、Myeloproliferative
Disease)とは何ですか。
“Myelo(マイエロウ)”とは骨髄をあらわすギリシャ語です。
“Proliferative(プロリフレイティウ゛)”は成長または再生を意味します。
“Disease(ディジーズ)”はある器官の機能異常のことです。
MPDは文字通り”Marrow Proliferative Disease(骨髄の再生の病気)、つまり、骨髄器官の機能異常のことです。
骨髄は血液を造る(hematopeitic,造血)器官です。「造血前駆細胞 または 幹細胞」と呼ばれる造血細胞から成り、重要な機能が2つあります。
(1) 今後の増殖または成長にそなえ、幹細胞の蓄えを一定に保つための自己再生
(2) 骨髄を離れ、血液循環に入っていく成人血球細胞に成熟する能力
前駆細胞は赤血球(RBC)、数種の白血球(WBC)、そして血小板といったいくつかの血液細胞を造りだし、その多能性ゆえに「多能性造血前駆細胞(PHPC)」と呼ばれています。ひとつひとつのPHPCは自己再生(clone,クローン)でき、多くの娘細胞(blast,ブラスト)を作り出すことができる幹細胞なのです。正常な骨髄は、すべて自己再生をし、順に赤血球、白血球、そして血小板になっていく娘細胞を形成する造血クローンから成り立っています。この献身的な娘細胞は繰り返し分裂し、その増殖で骨髄は異なったタイプの未成熟な、または発育中の細胞でいっぱいになります。正常な骨髄はまた異なった細胞タイプの生産のバランスをとるので、適切な割合で血液中に現れるのです。
MPDでは、1個の異常なPHPCクローンが成長の優先権をにぎり、正常なPHPCクローンを犠牲にして、異常増殖してしまいます。このPHPCクローンは「異常」なのですが、それでもまだ自己再生をし数種類の血球を作り出すことができます。異常なクローンから作り出された細胞と異常な細胞から作り出された細胞を識別するのは困難かもしれません。 しかし、私たちがMPDで経験するのは、特定のタイプの細胞の増殖過剰か減少なのです。したがって、MPDは異なったタイプの血球の生産のバランスが正常でなくなり、作り出されたすべてのタイプの血球が異常になります。
真性多血症の概要は?
先に述べたように、PVではPHPCクローン(造血を司る幹細胞)が赤血球を過剰生産し、患者は文字通り「血が多すぎる」ことになります。その結果、血液量と濃度が増し、この病気に起因する合併症がおきることになります。合併症の危険性は適切な治療によって減らすことができます。
誰が真性多血症になるのですか?
真性多血症は本来、中高年の病気です。しかし、若い患者も見られます。 「20年間追跡された1,231人のPV患者の遡及研究」では、PVの最も大きな集団は41〜80歳のグループで、その中でも最も多いのは51〜75歳のグループです(患者の年齢は10歳以下から90歳以上にわたっています)。
参考文献:Polycythemia Vera: The Natural
History of 1213 Patients Followed for 20
years, Gruppo Italiano Studio Polycythemia,
Annals of Internal Medicine, Volume 123,
Number 9, 1 November 1995.
症状と危険因子は何ですか?
PVは最初、潜行しています。医者にかかって1〜2年の間に現出するかもしれません。この無症状期の間に、定期検診でヘマトクリットが上昇していることが明らかになり、真性多血症が見つかることもあります。真性多血症(赤血球が関与する唯一の慢性骨髄性増殖疾患です。)は赤血球体積の増加をもたらします。この“血が多すぎる”という特徴はユニークな症状と合併症となって現れます。基本的に、患者は血液量過多と高濃度によって血が固まったり、出血したりする危険性が高くなります。血栓と出血は発病時、特に診断前には大きな問題ですが、適切にコントロールされれば、危険性は減少します。
ヘマトクリットが上昇して起きる症状は30〜50%の患者に最初から見られ、患者は多血症、頭痛、めまい、視覚障害、集中力の低下、しびれなどの症状で医者にかかる場合もあります。診断時の関連所見には、高血圧、高心拍出量、血管系の病気の明らかな証拠などが含まれることもあります。顕著な動脈血栓、静脈血栓が無治療の症例の1/3〜1/2に起こります。心臓発作、脳卒中、肺梗塞、門脈(肝臓につづく静脈)血栓、などが診断前に起こることもあります。
真性多血症の診断方法は?
血球数だけで診断されたケースも聞いていますが、ほとんどの血液医はPolycythemia
Vera Study Groupガイドラインにしたがって、確定診断のための検査を行います。このスタディ・グループの所見がある場合は、診断は確実性をもって行うことができます。したがって、確かな内科的所見や検査所見は真性多血症の診断をするのに決定的だということが多くの医者によって確信されています。赤血球生産というよりも脱水などの、血漿量の異常で起こる相対的多血症との鑑別診断には、赤血球体積や血漿量の直接測定による絶対的多血症の証明が必要です。一度、赤血球体積の上昇が立証されれば、真性多血症は赤血球増多だけを生み出す疾患とははっきりと区別されなければなりません。
合併症の原因は?
前述したように、真性多血症がコントロールされていない場合に経験する症状や合併症は血液容量の増加と循環赤血球体積の増加が主な原因です。よく見られる合併症は血栓と出血です。血栓は動脈(冠動脈、大脳動脈、末梢血管)にも、静脈(末梢、肝静脈、門脈)にも起きる可能性があります。小血管の機能不全はチアノーゼ(皮膚が、わずかに青白く、または灰色、または深い紫色に変色すること)、肢端紅痛症(手の指や足の指の痛み)、はては、手や足の指の明らかな壊疽をも引き起こします。鼻血、歯茎からの出血、出血傾向などの軽い出血現象がよく起こります。下血(黒いタール状の便)、うっ血(血が停滞し、循環しない)、月経過多(過度の経血)、喀血(口、喉頭、気管、気管支、肺などから出血した血を吐き出すこと)などのより重い出血が、患者の10%に起きます。けれども、いいニュースがあります。多くのPV患者は、今行われている治療で、健康な人と同じ寿命を享受しています。
真性多血症では他にどんなことを経験しますか?
PV患者を含めたMPD患者に起きる他の代謝異常が数多くあります。手短に言うと、PV患者を含めたMPD患者は、関節痛や痛風に結びつくことがある高い尿酸値(高尿酸血症、50%)、低いコレステロール値(低コレステロール血症)、高いヒスタミン値(高ヒスタミン血症)、高ヒスタミン尿症が3分の2のMPD患者に起こり、かゆみ、胸やけ、おくび、消化性潰瘍、小腸の運動亢進、紅潮、血管神経性浮腫などが起きる可能性があります。代謝亢進は多くの場合、虚弱や疲労としてあらわれ、貧血のないMPD患者に起こります。
真性多血症の治療法は?
瀉血は、最も一般的な初期の治療で、多くの患者さんが受けていますし、実績もあります。目的は赤血球体積(RBC
mass)〜循環赤血球細胞の総数〜を減らすことが瀉血の目的で、特に初期でヘマトクリット(Hct)が高いときには、早めに行われます。
正常な循環中の血液は、赤血球と血漿からできています。赤血球容積が40%〜45%、血漿が60%というのが正常です。ヘマトクリット(Hct)は、血液中の赤血球の割合で、血漿と相関関係にあります。循環中の正常な赤血球量は、女性で1,800cc、男性で2,200ccです。残りは血漿(液体)で、約2,400ccあります。
瀉血は、増加している赤血球を正常なレベルまで減少させます。一回の瀉血で約400〜450ccの血液が抜かれたとすると、その約60%、300ccが赤血球ということになります。赤血球は一日に17ccしか作られないので、正常な人の場合、瀉血によって失われた血液がもとに戻るには約1ヶ月かかることになります。この回復率は、個々の真性多血症患者によって様々です。
赤血球はゆっくり作られるので、血漿の変化が血液容量の急激な変化をもたらすことになります。血漿はほとんどが水なので、腎臓でコントロールされています。血液容量は、その場に応じた血圧を維持することで調節されます。出血で血液容量が急激に低下したとき、身体は循環中の液体の量を増やせというシグナルを受け取ります。血液が失われたときの最初の徴候として、のどが渇くのはこのためです。
瀉血をすると、血漿の量が増えてヘマトクリットが落ちるので、赤血球は薄められることになります。ヘマトクリットを減らす利点は、血液が正常な濃さになることです。心臓や血管は油ではなくて、水に近い液体を送り出し、維持するように作られているのですから。水のタンクや配管が水ではなくて、油で満たされているとき、何が起きるかは想像に難くないでしょう。
血液容量が充分で、血液濃度が正常になるとすぐに、赤血球は酸素を器官に届けるという働きをより発揮できるようになります。赤血球には多くの調節機構で酸素を運搬する能力を高めるという驚異的な能力があります。したがって、水分が増え血液が正常な濃さになれば、適切な循環や酸素供給が行われます。
瀉血の後で、何を経験しますか?
PVになると、Hctが上昇します。集中的な瀉血をすると赤血球体積と血漿容積は正常域まで減っていきます。その後は、赤血球生産の割合によって、つまりどのくらい早く赤血球が作り出されるかによって、定期的に瀉血が行われ、Hctが正常域内に保たれます。しかし、瀉血の回数を減らしたり、または、瀉血をせずに、血球数をコントロールするには他の治療が必要です。最初の継続的な瀉血の後の、瀉血の間隔は病気がどのくらい活動的かによるので、患者によってまちまちで、患者自身でも異なることがあります。
瀉血は危険ですか?
ほとんどの患者にとって、瀉血は許容範囲内にあります。心臓などに問題のある患者には特別な注意が必要です。また、瀉血は一時的に血小板数の上昇をもたらすことがあります。
瀉血の副作用を減らすために何かできることがありますか?
はい、あります。 瀉血開始直後の時期に起きる疲労、頭痛などの症状は、血液容量の急激な変化によるものです。 瀉血直前と瀉血後2日間は水分をたくさん摂って下さい。 また、その時期は激しい運動をしないで下さい。瀉血前、瀉血後は低量のアスピリン(一日当たり81mg)を服用すると血小板がネバネバになりすぎないようです。アスピリンは瀉血後に血小板数が上がっても良好な血液循環を維持するのを助けますが、禁忌があるときは使ってはいけませんので、アスピリンを服用する前に主治医と相談して下さい。
瀉血が唯一の治療法ですか?
いいえ、ちがいます。多くの場合、瀉血は赤血球体積を速やかに減らすために使われ、その後、薬剤が治療計画に加えられます。赤血球の産生が急激すぎて必要とされる瀉血の回数が多すぎて、瀉血に耐えられない患者もいます。また、血小板や白血球などの多の血液系統が増加している患者もいます。最初は瀉血をするが、瀉血は消耗期への進行を早めると考えている専門家もいます。いろいろな理由により、瀉血は骨髄抑制治療と併用されます。骨髄抑制剤は非常に活動的な赤血球増多症、白血球増多症、骨髄様化生をコントロールするものです。今日最も多く使われているのはハイドレアやインターフェロンです。血小板の増加が問題の場合は、アナグレリドが使われることがあります。
他にどんな治療が使われてきましたか?
過去には、骨髄をオーバーレブさせず血球数を減らすために、以前からある化学療法剤がいろいろ使われてきました。例えば、血球数を正常にし維持するための32P(放射性リン)の投与、ある種のアルキル化剤の使用は、診断後8年目を境に、急性白血病の発症率が容認できないほど高く(いくつかの文献では20〜30%)なるという結果をもたらしたことが、過去の経験から明らかになっています。Polycythemia
Vera Study Groupによる、低容量の32P(一年に5mc)、制限のないクロランブジル、瀉血のみの比較では、急性白血病や血液以外の悪性腫瘍の発症率は骨髄抑制治療を受けた方が(瀉血よりも)4:1の割合で高かったのです。クロランブジル治療を受けた場合の急性白血病の発症はかなり高く、より早期だったということは、服用との因果関係があるということです。これに対し、瀉血のみで治療された患者の急性白血病の発症率は1%以下でした。しかしながら、治療開始後2年間のこのグループの血栓と出血の発生率はより高く、これが、上述の薬剤が注目された理由の一つでもあります。
ハイドレアはそれ以前の薬剤より安全ですか?
安心して使っている医者もいますし、長期間治療の必要な若い患者には使いたくないが、二次的な問題が発生するほど長く服用しなくていい老年の患者には安心してつかうと言う医者もいます。長期間のハイドレア治療に起因する二次性白血病についての報告では、その危険性は以前の薬剤よりも低いことを示しています。統計学的に明らかな差はないと主張している最近の文献の要約がありますが、瀉血の治療を受けている患者の数が他の報告よりも高いです。このことはあなたの主治医と話し合う必要があります。
ハイドレアをどのくらいの間飲まなければいけませんか?
あなたの主治医が他の治療薬に切り替えなければ、一生です。PVは慢性病です。投薬を中止するとすぐにリバウンドするので、継続的な投薬が必要なのです。
ハイドレアを飲んでいても、瀉血は必要ですか?
ハイドロキシウレアが赤血球産生を抑制する効果は、血小板や好中球産生を抑制する効果よりも弱く、最良のヘマトクリットを維持するためには補充的な瀉血が必要になることがあります。
他の治療法は何かありますか?
あります。インターフェロンは1980年代中頃から、真性多血症や他の骨髄増殖性疾患の治療に使われています。インターフェロンは瀉血よりも優れていることを証明しつつあり、骨髄の状態を改善し、PVやETの消耗期への移行を遅らせるか、または防止するには最善の選択肢であるかもしれないことから、PVや関連するMPDの最善の治療になるかもしれないことを示唆する文献もあります。しかし、全ての医者がこれに同意しているわけではありません。インターフェロンの大きな利点の一つは、患者が周期的に治療できると言うことです。この薬剤は実際にいく人かの患者の骨髄を改善し、その改善が持続するので、次回の治療が必要になるまで、数ヶ月から数年間治療なしでいける可能性があるのです。MPD−NETディスカッション・グループのある患者は血小板が上がり始めるまで3年間治療なしで済ますことができました。それでも、彼女の骨髄には今でも多くの改善が見られます。しかしながら、専門家の間で、期間も、容量も、インターフェロンを中止して、血球数が上がったり脾臓の腫れが多くなったときに再開するのか、それとも低容量の維持療法をずっと続けるべきなのかについても一致した見解はありません。
血小板数を下げる薬であるアナグレリドもPV患者に対して使われています。アナグレリドとハイドレアが併用されている場合もあります。
インターフェロンはどんな方法で投与されるのですか?
ミネソタ州ロチェスターにあるMayo ClinicのDr.
Murray SilverstainはMF患者へのインターフェロン経口投与の試験をしていますし、低容量インターフェロンの経口投与は肝炎などの疾患の治療に使われてきましたが、現時点では、骨髄増殖性疾患に対するインターフェロンは注射薬です。普通、患者は自分で皮下注射をします。容量と回数は主治医の見方によって異なります。効果がでるまでの期間は毎日、注射をおこない、その後、一定期間より少ない量に減らす血液/がん専門医と、週3回をずっと行う血液/がん専門医がいます。容量、回数、期間、維持のため低容量の注射を一生行うか、何回か繰り返すかについて一致した見解はありません。これは患者にとっていらいらすることですから、文献を参考に、治療方法を主治医と話し合う必要があります。一番大切なのは、その結論です。
どんな副作用が予測できますか?
最初はインフルエンザのような症状をほぼ全員が体験します。タイレノール(鎮痛剤:アセトアミノフェン)はこういった症状をを抑ますし、身体がインターフェロンになれてくるに従ってその症状も治まります。疲労感がでて、しばらく減薬しなければならなくなる人もいます。インターフェロンによりよく適応し、比較的正常な日常生活が送れる人もいますが、治療を中断する人もいます。MPD-NETディスカッション・グループにはインターフェロンで治療中の人がたくさんいますし、この件について進んで話し合ってくれるでしょう。あなたの主治医は印刷された副作用情報をあなたに渡すべきですし、薬品の添付文書にも、今までに報告された副作用がリストアップされています。
瀉血で治療された患者の鉄はどうなっていますか?
当然ですが、鉄は補充されなければ、減ります。実際、長期間にわたる瀉血の目的は鉄欠乏状態を作り出すことによって、赤血球産生を抑えることです。赤血球の産生には骨髄中の鉄貯蔵が必要です。この鉄がヘモグロビンに取り込まれるのですから、鉄がない場合は、赤血球親細胞(前駆細胞)はHGのすくないRBCになります。これが、赤血球のサイズが小さくなり、平均赤血球容積(MCV)が低いことの理由です。
PVが活動期であるうちは、鉄貯蔵の補充は適切ではありません。より多くの赤血球を作り出し、ヘマトクリットと血液濃度が上がり、元の木阿弥…最初と同じように頻繁に瀉血が必要になるからです。
鉄欠乏は体にどんな影響を与えますか?
ヘマトクリットが正常ならば、何もないはずです。瀉血直後に起きる虚弱、頭痛などの症状は、血液量の急激な変化によるものです。
普通は鉄欠乏状態は鉄欠乏性貧血を引き起こすので、ヘマトクリットが低いときは、虚弱や疲労を感じたり、頭痛や他の症状が出たりします。低いヘマトクリットで酸素の運搬が十分でなくなるからですが、鉄欠乏でヘマトクリットが正常になるPVには当てはまりません。
鉄は、様々な代謝作用には必要ですが、ヘモグロビン合成よりも優先されます。したがってたいていの場合、身体に残っている鉄で十分です。鉄を必要としない場合は、鉄を補充しない方がよく、身体の調子がよくなるばかりか、血栓や出血をひきおこしにくくなります。
専門家のDr. Harriet S. Gilbertによると、心強いことに鉄は血管性心疾患や冠動脈性心疾患の一因となるので、鉄欠乏は心臓発作を防ぐかもしれないという最近の報告があるようです。瀉血は血液濃度を是正するばかりでなく、実際に余命を延ばすのに一役買っているかもしれないのです。Dr.GilbertはPV患者はいろんな危険性があるにもかかわらず、普通の人と変わらない寿命を全うできるのは何故か不思議に思うことがよくあると言っていましたが、上記の事柄は、余命を延ばす要素が存在することを確かに示しています。
後多血症性骨髄線維症とは何ですか?
PPMMは“消耗期(Spent Phase)”とも言われています。機能亢進が何年も続いた後に、骨髄が、さらに線維化し、造血不全が起こり、末梢血球数が減少することがあります。骨髄は増殖期の細胞活動の亢進に反して、低下します。この病期の間は、造血は再生不良性貧血、鉄芽球性貧血、発作性夜間血色素尿症で見られるものと似ていることがあります。
進行を止めたり、遅らせたりする方法は何かありますか?
骨髄線維症を発生させやすくする成長因子をもっている患者がいます。インターフェロンはこれを遅らせたり、逆転させたりしますが、全ての患者に有効なわけではありません。いくつかの医療センターでは、骨髄線維症の治療のために骨髄移植が行われています。
骨髄移植については?
PV患者への骨髄移植についての文献はあまりありませんが、ワシントン州シアトルにあるフレッド・ハッチンソンがんセンターのDr.
Jeanne Andersonが最近、私たちMPD-NET グループに連絡してくれたところでは、現在、ハッチンソンではPV患者への骨髄移植のプロトコルがあるということです。Dr.Andersonは最近ハッチンソンを離れましたが、情報を見つける手助けができる他の医師がいます。私たちのホームページにはハッチンソンのホームページへのリンクがあります。
後多血症骨髄線維症(post polycythemic myeloid
metaplasia:消耗期とも呼ばれる)の患者には骨髄移植が行われています。MPD-NETには3歳のPV患者の親が参加していて、その子は父親をドナーとして骨髄移植が行われる予定だと報告しています。多くのPV患者は通常の寿命を全うするので、この病気がより攻撃的なものへ移行しなければ、現在の所、骨髄移植が最良の治療だとは考えられていません。CML
FAQには骨髄移植についての情報がたくさんありますが、この処置はMPDの一種であるCMLにはより多く施されているからです。
CML FAQの入手方法:
本文に一行で”get mpd-net.cml faq.” と書き、Listserv@listserv.acor.org までメールを送って下さい。
このなんとも言えないかゆみをどうすればいいですか?
かゆみに悩まされているPV患者もいます。Dr.ギルバートのPVに関する最も初期の調査研究の一つがこの問題を扱っています。「私は好塩基球が放出するヒスタミンがかゆみの原因であることを発見した。好塩基球は分節した白血球の一種で、骨髄前駆細胞から作り出され、PVにも関係があります。PV患者の骨髄が作り出すほとんどの細胞と同じく、過剰な数の好塩基球が生み出され、機能も保持している。多くの刺激に対して、好塩基球はヒスタミンを作り出し、放出する。PVにおける最もありふれた刺激は水に触れることである(温水か冷水かは患者によって異なる)。従って、入浴やシャワーのあとで、かゆみがよく起こるのである。服を脱いだ後などで空気に肌をさらすことは、もうひとつのありふれた刺激である。好塩基球が放出したヒスタミンと関連物質は、PVに見られる潰瘍や胃炎などの上部胃腸疾患の高発症率の一因となっているかも知れない(ヒスタミンは胃の中にある塩酸の放出を促す)。ヒスタミンは下痢と腸の運動性の増加を引き起こすかも知れない。」と彼女は書いています。
ヒスタミン関連性の症状に対する対処法は?
かゆみに対しては、ベナドリル(塩酸ジフェンヒドラミン抗ヒスタミン剤(あなたの主治医はより新しい薬を選ぶこともあります))などのおだやかな抗ヒスタミン剤から始めるとよいでしょう。かゆみを起こすものに肌をさらす30分前に服用します。入浴するなら、夜がいいでしょう。ベナドリルは眠気を引き起こすことがあるからです。セルデイン(テルファナジン)クラリチン(ロラタジン)、またはヒスマノールなどのI型ヒスタミン・ブロッカーに変えてみることもできます。これらは眠気を引き起こさないので、昼間に飲むことができます。それでも、かゆみがおさまらなければ、さらに強い抗ヒスタミン剤であるペリアクチン(シプロヘプタジン)夜に低容量で試してみてはどうでしょうか。これは眠気を引き起こします。MPD-NETのある患者は、アレルギー専門医から“ザンタック”をもらったと言っています。これはヨーロッパで試されていて、その患者にはよく効いたとのことです。胃酸過多にザンタック(塩酸ラニチジン)などのII型ヒスタミン・ブロッカーや制酸剤が効くことがあります。上記のかゆみや胃腸症状を抑える薬を使うにあたっては主治医と相談して下さい。
こういった薬の効果がなければ、かゆみは骨髄抑制治療へのサインとなります。好塩基球の産生が減少し、ヒスタミンの放出も減るからです。
PVは子供に遺伝しますか?
同一の家系でPVや他の骨髄増殖性疾患が複数発症した例についての文献がいくつかあります。あなたに子供がいる場合は、小児科医には、あなたの病気を告げるべきです。子供が成人している場合は、定期的に血液検査を受けて、彼らの主治医が家族歴をしっているかどうか確かめるようにすすめましょう。私たちのホームページには家族性の発症例がについてのDr.ギルバートによる記事
http://www.acor.org/diseases/hematology/MPDがあります。
ほかにどこで情報が得られますか?
・MPD-NETインターネット・サポートグループ
このディスカッション・グループ(1997年9月30日現在、30カ国575名以上のMPD患者がいて、急速に増えています)に加わるためには、
本文に “subscribe あなたの名前(英語)あなたの名字(英語)“と書いて、
mpd-net-request@listserv.acor.org までメールして下さい。
MPD-NETはACOR(Association of Online Cancer
Resources:オンラインがん対策協会)のメンバーです。
・ MPDホームページ
http://www.acor.org/diseases/hematology/MPD
私たちのグループの患者が作っているホームページには、豊富な資料があり、あなたが特に知りたいことに応じたさらに詳しい情報があるサイトへのリンクもあります。
・MPDニューズレター
MPD VOICE ニュースレターはMPDリサーチセンターが発行しています。このニューズレターに対する質問、意見は、編集者Joyce
Niblack JNiblack@aol.com まで。
・MPDアーカイブ
MPD-NETアーカイブは他の多くのがんグループのアーカイブと共に
http://listserv.acor.org/ で見つけることができます。
・現在利用可能なFAQの入手方法
Listserv@Listserv.acor.org 宛に
get MPD-NET.ET FAQ
get MPD-NET.MF FAQ
get MPD-NET.CML FAQ
get MPD-NET. PV FAQ
get MPD-NET.WESBSITES
と本文に書いて、メールを送って下さい。詳しい情報はJocye
Niblack JNiblack@aol.com へ
・ MPDホットライン
1-800-HELP-MPD (国際電話:英語のみ可)
このホットラインはDr.ギルバート主催のMPDリサーチセンターによって運営されています。