私の農作業日記 1999年(上半期)

1月9日(土)
 この冬一番の寒波が襲来して、一昨日の夜より雪が降ったりやんだりしている。今日も朝から激しく降っていた。 多いところでは60cmは積もっているだろうか。除雪に忙しい1日だった。
 この雪では鹿も里へ降りてはこられないだろう。 鹿よけの網を張った畑も雪に埋もれている。
 昨年まで暖冬続きで、真冬でも鹿に作物を荒らされるのを心配したが、しばらくは安心である。
 暖冬のせいで年々頭数は増えるばかりであった。この寒さがしばらく続いて、 鹿にも試練の冬になると、数も減り、われわれ人間と共存していけると思うのだが。




1月23日(土)
 「ファーマーズマーケット運営準備委員会」なるところから、 自家製農林産物販売に参加を呼びかけるチラシが入っていた。
 というのも、この春に夜久野高原に温泉施設等がオープンするので、それに合わせ、来町する人に 農産物等を買ってもらい、我々の生産活動の創出と、所得の向上を目指すのがねらいのようである。
 大いに興味はあるが、本業が大切なので、これは定年後の楽しみにとっておこう。

3月10日(水)
 ここ数日肌寒い日が続いているが、雪がとけて、畑の土も乾いてきた。週末が待ち遠しい 時期になってきた。
 園芸店に寄り、春蒔き野菜の種子を買い求めた。大根、キャベツ、つるなしインゲンの三種類で、 いずれもタキイ種苗の種子である。
 蒔きどきは3月下旬から4月下旬にかけてである。
 タマネギの苗に油粕をふりかけている人を見かけた。見習わねばならない作業だと 思った。

3月14日(日)
 朝から晴天で、暖かく過ごしやすい一日だった。
 午前中にタマネギ畑を鍬で耕して、そのあと油粕をかけておいた。去年秋に定植してから三度目の施肥である。 これを止め肥にするつもりである。以後肥料をやると、茎ばかりに肥料が効いて、タマネギそのものが 太らないからだ。
 畑もよく乾いてきているが、機械を入れて耕すにはまだ早いようである。ジャガイモや春野菜の植え床 を作りたいのだが、来週まで持ち越しとしよう。
 また、これからは田んぼも忙しくなるので、 家の周りをトラクターで走り、エンジンの調子を確かめた。今日はあちこちで畔焼きをしている人を見かけた。

4月1日(木)
 暖かい日だった。今日は遅出の日だったので、午前中、耕耘機で畑を耕し、整地してジャガイモを植えた。 1.5aほどの場所にメークィーンのたねいも10Kgを植えた。

4月3日(土)
 風が冷たかったが、天気の良い一日だった。きょうは、畑仕事がたくさんできた。
 まず、キャベツの種をポットに植え、ビニールで覆いをかぶせた。一月ほどして苗が育ってから、定植するつもりである。 ただ、夏に収穫するのであるから、害虫の対策をどうするのかを考えなくてはならない。
 次に人参、カブ、大根、レタスの播種をした。人参は以前に買っていたのがあったのでそれを使った。 しかし、種の袋をよく見ると、92年に採取したもので発芽してくれるか心もとない。
 サトイモ、ヤマノイモも植えた。ヤマノイモの栽培は初めての試みである。うまくいけば、そば粉 と混ぜ、自家製のそばを作ってみたい。ネギ苗も植えた。
 明日は、関係者が出役して鹿よけの網を張る予定である。
 来週からはいよいよ田植え準備にかからなければならず、忙しくなってくる。

4月25日(日)
 この土日は、終日、田んぼで仕事をした。今朝、目が覚めると体の節々が痛かった。昨日の仕事疲れ である。年をとるにつれて、疲れが出るのが遅くなるというけれども、齢50を迎えた体にしては、 時をおかずに痛みが出てくるのが嬉しかった。
 2日間とも田んぼの畦付けをした。今では、「アゼシート」という便利なものがあり、それを使えば 作業も短時間で済むのであるが、塩化ビニールでできているため、使用後の処分に困る。焼却すれば ダイオキシンが発生し、健康が蝕まれる。また、シートをしているとあぜ草が刈りにくい。
 山水を引いているため、わずか3畝ほどの田んぼでもなかなか水があたらない。


 5月5日(水)
 今日でゴールデンウイークも終わりである。今年は、4日を除いて、天気に恵まれて仕事がよくできた。 周りの水田では6割方、この連休で田植えが終わってしまった。我が家の田植えは15,16日の予定である。 田んぼに水はあたっているので、今週の土日に代かきをするつもりである。今日は、あぜ草を刈って、 そのあと、元肥に燐加安を反あたり20Kg散布した。   

 5月9日(日)
 昨日、きょうの2日間で、総面積3反足らず、5枚の田んぼの代かきをした。 来週は田植えである。今年はキヌヒカリを作る予定である。
 トラクターを洗い終えてほっとしているところへ、ものすごい夕立がきた。晴天が続いていたので 野菜にとっては良い雨になった。

 5月16日(日)
 昨日で田植えが終了した。13,14日は夕方1時間ずつ、15日は午後3時間ほどかかって全部植え 終えた。代かきをして5,6日後の植え付けで、圃場は最高の状態であった。
 今日は補植をしたり、冷たい水が直接苗にあたらないように、浪状シートを圃場に巡らせた。
 野菜苗が元気がなく気がかりだ。通りがかりの近所の人が、ナスが根腐れを起こしかけていると教えて くれた。日照りが続いても、1週間に1度位の灌水で十分であるとのことであった。
 午後はジャガイモの芽かき、土寄せをして、その後肥料をやった。これから花が咲き、 それが枯れるころには収穫できる。
 3畝ほどの休耕田には何を作ろうかと迷っている。

 5月23日(日)
 本日から製茶工場が稼動するので、朝一番に私が茶を刈り、妻が選別し、工場へ持って行った。 製茶工場で働く人の高齢化が進み、来年も同じように製茶を引き受けてもらえるのか、心配である。
 午後にトマトの支柱を立てた。その後、3度目となるニンジンの播種をした。というのも、 これまで2度種を蒔いたのだが、いずれも芽を出していない。「三度目の正直」となってほしい。


 6月4日(金)
 夏に向かい、植物の成長が目に見えてきた。我が家の食卓にも自家製野菜が並ぶようになってきた。 ちなみに今朝は、カブと鶏肉の煮物、カブの葉の炒め物、ビタミン菜をゆがいたもの、大根のみそ汁で あった。

 6月13日(日)


 この土、日は土手の草刈に精を出した。6〜7枚の棚田を2枚に整備した田んぼであるため、土手 が高くて傾斜が急である。土手の面積が広く、耕作面積の三倍以上はある。
 スパイクのついた長靴をはいて、バランスを崩さぬように作業するのは、足腰に負担がかかる。 何とか刈り終え、刈った草は集め、積み重ねておいた。堆肥にして稲刈り後に鋤きこむのである。
 午後は夏大根と秋どりキュウリの播種をした。そのあと、田んぼへ行き、イモチ予防の農薬、 『オリゼメート粒剤』の散布をした。

 6月26日(土)
 キュウリ、ナス、トマト、ピーマンが順調に育っている。しかし、我々が食べる前に、カラスが 食いちぎって、あたり一面に散らかしている。特にキュウリの被害が大きい。たまりかねて、今日は 防鳥ネットを張った。
 シカやイノシシによる農作物への被害が年々拡大する中、夜久野町では23、24両日開かれた6月定例議会の 一般質問で、5人の議員がこの問題を取り上げ、町に抜本的な対策を求めた。一般質問でこれだけ多くの 議員が一度に同じ獣被害を取り上げるのは異例で、改めて被害の深刻さを物語る形になった。町も「従来 の電気柵などによる防除中心の対応では被害は食い止められない」として、野生動物保護の必要性は認め ながらも、ある程度個体数を減らす必要があるとして、府などと協議したい考えを示した。(地元紙 による)

 我が集落にも、村を囲む形で、山のふもとに沿って総延長3キロメートルほどの金網が張り巡らされ れている。それでもなおシカやイノシシは毎晩のように出没して、農作物を荒らしている。それぞれの 農家では、今年になって、自分の畑、田んぼを網で囲うようになってきた。しかしながら、獣は入りやすい 個所を見つけては、植えたばかりの黒豆を食べたり、収穫間近のジャガイモを掘ったりしている。
 精魂込めて作った農作物を収穫することなく、鳥獣に食べられてしまうのは腹立たしい。ここまで 防除しても効果がないのなら、ものを作る意欲が失せてしまうのは当然である。作物の世話よりも、網張り などの作業に時間を使っている昨今である。