私の農作業日記 1999年(下半期)

7月4日(日)
 天気予報によれば、きょうは、「梅雨の中休みで、晴れる」とのことであったが、終日曇り空で、 肌寒い一日だった。午前中には、一時、霧雨が降った。
 午後になって天気が安定してきたので ジャガイモを掘った。4月1日に植えつけてから、約3ヶ月後の収穫である。これなら豊作だろう。
 その後、大根、ニンジンの土寄せと施肥、ナス、トマト、ピーマンの施肥、消毒、キャベツの消毒、 地這キュウリの定植、タナバタマメの植えつけ。いろんなことができた。


7月10日(土)
 梅雨の中休みで、朝から晴れていた。ねぎを引いて、荒縄にはさみ、乾燥させるため、日当たりの よい場所に吊るしておいた。1ヶ月ほどして再び植え付けるつもりである。


 7月20日(火)
 朝から蒸し暑く、昼前には雨が降り始めた。予報によれば梅雨明け間近である。
 今が小豆の植え時である。3畝の休耕田に早く植えるよう、家人に急き立てられるが、今年は ソバを作ろうとひそかに思っている。小豆を植えたとしても、獣対策に金網を張らねばならない。 シカやイノシシはソバを食べに来るのだろうか?試してみよう。
 ソバは小豆より遅く、8月に種を蒔くのである。

7月24日(土)
 梅雨が明けて夏空が広がってきた。ソバを作る予定の休耕田をトラクターで耕して整地した。 もう一度耕して、溝を切り、8月上旬に種を蒔くつもりである。
 稲の様子を見回ると、出穂を約3週間後に控え、しきりに肥料を欲しがっているようだったので、 穂肥(ほごえ)を撒布した。

 7月27日(火)
 今朝5時半ごろ、田んぼの様子を見回りに行くため玄関の戸を開けると、足元をフクロウの雛が 歩き回った。5月ごろに、蔵の屋根裏に巣を作り、毎晩、親鳥が近くの電線に止まって、 えさを与えたりして、大きくなるのを見守っていたのだ。きょうは巣立ちを前にして、舞い上がる 練習をしていたのであろう。まだ10メートルほどしか飛べずに、もたもたしていた。

 稲は、ほぼ順調に育っているが、山の陰で日当りの悪い水田では、イモチが発生している。 夕方に農薬を撒布する予定にしていたのだが、雨が降ってできなかった。

8月1日(日)
 この夏で一番暑い日だった。朝から仕事をしようと張り切っていたけれども、暑くて長時間続けることが できなかった。
 去年の種が畑に残っていたのだろう。かぼちゃ畑に「ソーメンかぼちゃ」(写真左側)を見つけた。 皮をむいて湯がくと、ソーメンのように糸状になる。三杯酢で食べるとあっさりしておいしい。今夜の 食卓に上った。

 8月8日(日)
 連日、30度を越す猛暑が続いている。山水が涸れ、田んぼが乾いてきた。穂を出すのに、水が必要な時期 だけに気が揉める。
 暦の上では、今日が立秋である。農協に注文していた秋冬野菜の種子が配布された。大根、白菜、 ブロッコリー、ニンジンである。今月末には蒔かなければならない。植え床を作るため、雑草の生えかかっ ていた畑に耕運機を入れて耕した。10日ほど後にもう一度鋤いて、畝立てをするつもりだ。

 8月12日(木)

 この暑い時期、昼間から田畑へ出て仕事をする人は見かけない。去年までなら、朝夕の涼しい時間帯には、 刈払機のエンジンの音が、あちこちから聞こえてくるだけであった。しかし、今年は、エンジン音に まじって、杭を打つ音が聞こえてくる。
 毎夜、イノシシは田んぼに出没し、穂が傾きかけた稲をしごいて汁を吸っている。我が田もイノシシの 入った跡が見つかった。夕方、田んぼの周りに杭を打ち、頭を針金でつないで、そこに網を垂らして おいた。電気柵よりも効果があると、ある人がアドバイスをしてくれたので、やってみたのである。
 またある人は、トタン板をつなぐために、別の人は基礎工事用の鉄筋で障壁を作り、それを固定する ために杭を打っている。
 どの方法が有効なのだろうか。

 8月25日(水)
 土曜日(21日)の午後3時過ぎ、雷を伴って大雨が降った。30分ほどして小降りになったので、急遽、秋冬 野菜の種まきをした。当初、本日(25日)の予定にしていたのだ。というのも、22日から2泊3日の予定で 旅行を計画していたので、雨が降らなければ、せっかく種まきをしても、芽を切らずに枯れてしまう恐れが あったからだ。 しかし、日曜日の雨はおしめり程度ではなく、土にしっかりと沁み通った。
 畝は立ててあったので、溝を切って、種をまき、その上から籾殻をかぶせておいた。
 22日の早朝、 夫婦で韓国旅行に出かけた。韓国では3日間とも好天に恵まれ、快適に過ごすことができた。
 日本では、特に西日本の日本海側は、連日ぐずついた天気が続いていたようで、家に戻って畑を見ると、 先日蒔いた大根、白菜、カブ、レタスはすでに芽を切っていた。
 本日は、3畝の転作田にソバの種を蒔いた。初めてのことなので、どのように管理すればいいのか 少々不安である。しかし、専門家に聞くと、ソバほど簡単に作れるものはないそうである。


 


9月2日(木)
 一週間前に蒔いた蕎麦が芽を出し、もう10cmほどの長さになっている。弱々しく,風が吹けば 倒れそうである。(写真左)

 9月15日(水)
 種を蒔いてから20日ほどで40cmほどの長さにまで成長し、ところどころ花をつけていたソバが、昨夜来の 台風16号の大雨でほとんど倒伏してしまった。支柱を立て、ロープを張って保護すればよかったのだが、 こんなになるとは思わなかった。(写真右)

 9月24日(金)
 今年の米つくりが終わった。19日(日)に稲刈りをし、23日に玄米になって倉庫におさまった。 耕作面積2反6畝で、8石8斗の収穫があった。反あたりの収量は 3石4斗である。私にとって、過去最高の成績である。
 自分の腕を自慢したくなるのだが、今年は天気に恵まれ、病気の発生もなく、どの田んぼも豊作である。
 稲刈り前1ヶ月は、毎朝5時30分に起き、田んぼを見回るのが日課となっていた。シカ、イノシシが入って いないか、祈るような気持ちで畦を歩いた。幸い、1度だけ、イノシシが、他の田んぼに入るため、私の田を 横切っただけであった。
 これから、来年に備えて、土手の草を刈り、堆肥と共に田んぼに入れ、トラクターで鋤いておかなければ ならない。

 10月17日(日)
今年初めて蕎麦つくりに挑戦したが、台風に見舞われて、ほとんど倒れてしまった。 倒れたところからまた伸びて、まっすぐなのは1本もなかった。それでもたくさんの実をつけている。 種まきをしてから2ヶ月足らずではあるが、刈り取りをした。2束ずつ紐でくくり、稲木に架けた。 十分乾燥させて、石臼で挽いてみよう。

 10月30日(土)
 午後、十分に乾燥した蕎麦の茎から、私が横槌を使って実を落とし、妻が竹箕に入れ、それを振ってごみ を取り除いた。計量すると、5升余りあった。初めてのことなので、よく出来たのかどうかはわからない。


 11月13日(土)
 親戚の法事に出かけた。読経、墓参り、食事と型どおりの勤めを終え、”粗供養”と書かれた品をもらって 帰ってきた。私の経験では、その品はたいてい鍋が多い。今回もそのようなものだろうと、大して期待も しないで包装紙を開けた。
 顔がほころぶのがわかった。何と、写真のようにソバ打ちの道具だったのだ。 こんな気が利いた品をもらったのは初めてだ。
 取入れをしたソバは、1週間前に粉になっている。一日も早くソバ打ちがしたかった。でも、道具が なかったのだ。あちこちのホームセンターへ行き、写真のような品を探していたのだ。

 11月21日(日)
 きょうはそば粉を使った食べ物を多く摂った。昼食は「天ぷらそば」、農作業の合間に食べたおやつは、 「そば粉のヘルシー焼き」(そば粉を使ったお好み焼き)と「そばかりんとう」であった。
 天ぷらそばは私の手打ち、おやつは妻の手作りである。

 11月28日(日)
 11月も終わりになってようやく本来の寒さがやってきた。午前中に保存用の白菜を収穫した。2〜3日蔭干しをしてから、 新聞紙に包んでおけば、来年の3月頃までは食べられる。

 12月12日(日)
 地域の公民館の催しで、先日から炭焼きの講習を受けている。第1回目は作り方を講義形式で教えてもら った。
 本日は釜の据え付けをした。その後、竹を切る場所へ下見に行った。今回作るのは、竹炭である。