数年も前になりますが、日本数学教育学会第75回総会
全国大会算数・数学教育研究(滋賀)大会で発表させてもらったときのレポートです。貴重な体験をさせて頂きました。以下は、学会誌のp393に掲載されています。

9B-8 コンピュータを活用した授業の創造


1.研究のねらい

シミュレ−ションは、コンピュ−タのグラフィク機能を使い、動的で視覚的に理解しやすい形で画面に提示することができる。
また、導入の段階で、学習者の興味を喚起するのに最適と言えるし、また単元のまとめの段階では課題学習として発展させることもできる。
しかしながら、教材ソフトは大変高価であり、使ってみなければ良い物であるかどうかわからないし、プログラムの改良もできないという問題点を持っている。そこで、生徒に学習意欲を高めさせるためにも、自作ソフトを作ろうとした。


2.研究の内容

(1)基本的な考え方
コンピュ−タの機能を適切に使い、コンピュ−タでなければできないこと頭において作ろうとした。つまり、ソフト開発上のコンセプトとして、動きがあり視覚に訴えるもの、高速計算機能を持たせる、生徒一人一人に操作させるために入力が簡単なものなどを考えている。


(2)実践例1: 2年 資料の整理
@ソフトのねらい
新学習指導要領では、中学校2年生の確率・統計領域で、相関図・相関表の内容が新しく加えられた。データをX−Y平面にプロットして相関関係を調べるのであるが、それだけでは強い相関関係があるかどうか分からない。そこでコンピュータの高速算機能を用いて、数値的に解析する。
相関図相関図
r検定による相関検定r検定による相関検定

A考察
生徒に相関関係にある関係にあるものを考えさせ、その中の一つとして生徒の身長と足の大きさの関係を調べてみた。相関図だけでは、相関関係があるかどうか分かりにくいデータでも、r検定の方法で画面表示することによって理解を深めさせることができた。また、データをヒストグラムで表示することで、全体に対する生徒一人一人の位置が分かり興味を持たせることができた。


(3)実践例2 1年 正比例、反比例
@ソフトのねらい
水槽に水を入れる時の様子をビデオで撮影しておき、各自その誤差を含んだデータをグラフ化し近似式を求める。その後、コンピュータが算出した式と比較させ、関数の理解を深めさせる。
誤差を含むデータの近似式を求める誤差を含むデータの近似式を求める

A考察
実験のデータ解析の後、PC-SCAIを用いた、関数の復習コースウェアを取り組ませた。学習履歴はリアルタイムで回収され、個に応じた指導ができる。単元のまとめの段階で、コンピュータの活用は課題学習につなげることができ有効である。


3.研究のまとめ
コンピュ−タを使った授業の感想をアンケ−トにとると、予想以上に好評であった。操作においては、目を見張るほど習得が早く、抵抗を示す生徒はほとんどいない。
今後さらに、習熟度別、簡単な操作、人間的な暖かさの入ったもの、パソコン機能を生かしたものなどを十分に考慮して、ソフトの開発に力を入れたい。またコンピュ−タは万能ではなく、手作り教具と合わせて、必要に応じコンピュ−タを効果的に活用したいと考える。

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