数学科のティーム・ティーチングの指導法を探る

1.なぜ今TTなのか(ねらい)

2.TT指導は難しい、うまくいくのか(課題、問題点)

3.ティーム・ティーチングの効果

4.効果的なTT指導

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1.なぜ今TTなのか (TTのねらい)
(1)学校教育の質的向上をめざす。

「授業についていけない」という状態を作り出していることは、重大な課題である。 ある特定の「一人」の教師に指導を全面的に任せている体制では、教師は全権を握っていて、他人のいかなるアドバイスも届かない。
学校教育の質的向上を目指すとき、教師の配置について根本的に見直すべきである。端的に言えば、ある特定の「一人」の教師に指導を完全に任せるあり方から「複数」の教師による多角的・多面的な指導へと改めていくべきである。

(2)個に応じた多様な指導・学習形態を導入する。

「一斉指導」とは、わが国独特の表し方である。指導にさいして中位の児童生徒にねらいを定めて指導がなされる。一応指導が終わってから両端の子供たちの指導がなされる。つまり、子供たちは皆同じで違いはないという前提に成り立って来た.
しかし、子供達の間には、「違い」存在する。「一斉授業」というあり方は改革されねばならない改革である。「個に応じた多様な指導・学習形態」を創造するためには、以下の通りいろいろな側面を考えねばならない。
@新しい指導形態を考える。
「個別指導」、「到達度別学習」、「自由進度学習」、「課題学習」等多様な形態が創造される。
A学習スペース、学習時間、教材・教具といった要素を考慮する。
B教師をどのように配置するか考える。
教師も一人一人固有な「教授スタイル」を持っている。子供の学習スタイルと教師の教授スタイルが一致した時が最も効果的に学ぶはずである。さらに教師が自分の特性を生かし指導をする。コンピュータを得意にする教師、視聴覚教材を上手に作成する教師、評価活動に関心を持つ教師が協力することが意味を持ってくる。

(3)学校を現職教育の場とする。

校内で授業研究は少ないと言わざるをえない。教師にしてみれば、年に一度研究授業を引き受ければよく、あとは他の学級の授業を参観すればよい。校内で自分の職業上の技能を向上させる機会は決して多くない。
それに対してTT指導は、指導計画を立案することから、教材・教具を集め、評価することまで一緒に行う必要がある。その過程で他の教師の考え方や特性も分かる。対立と妥協を繰り返す中で教師は職能成長をとげるはずである。
(引用 国土社 ティーム・ティーチング入門 P49〜P58)

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2.TT指導は難しい、うまくいくのか?(課題、問題点)
以下に、TTという新しいあり方を阻止する要因を述べる。結局のところ教師がTT指導に「必要感」をもたなければ、これらの問題は解決しない。
(1)授業は自分一人でするもの!

長い歴史の中で、「授業は自分一人で」するものという文化がある。教師になった時から「教科の専門家」として扱われ、いつのまにか自分でも専門家だと思いこんでいる。そして、教師文化としての「孤立感」が確立し、「人とは組みたくない」という気持ちが出てくる。

(2)自分の教え方は人と違う!

10年もすれば「自分の教え方」が固まる。そして、人には授業とは「見せられない」「自分しかわからない」ものという「機密主義」の文化がいつの間にかできてしまっている。それは、教えることは「私的な、個性的」な仕事であるからである。人が人に対する場面はきわめて複雑である。

(3)人に気をつけるのはいやだ!

一人で教えておれば、「自己流」で気が楽だ。子供達は教師の教え方は適切であると考えるから批判もしない。人に気をつかいながら授業をするのは「大変だ」ということになる。

(4)あの人とは組みたくない!

「気の合う教師」もおれば「気の合いそうにもない」教師もいるものである。そこに「孤立主義」と「機密主義」がという文化が作用し、「どうして私だけが」とくやみたくなるのも人間であろう。

(5)学級は「分けられない」!

TT指導の授業形態の中で、クラスを分けて指導することがあるが、学級における教師と子供の人間関係は運命のようなものであり、2つに分けることは「分裂」をもたらすとも考えられ難しさがある。

(6)多様性に対応することは難しい!

個人差に対応するには学級が大きすぎる。そして、子供達一人一人を個性ある存在と認めて指導することはきわめて難しい。「個別に指導していては全体が把握しにくい」「多様な活動を組む」と学級がうるさくなったという声もある。

(7)加配教師の配置が難しい!

音、美、体など週時間数の少ない教科の教員が加配される場合はひと工夫する必要がある。例えば、選択教科を中心に担当してもらい、残りの時間は他の教科に加わるということになるからだ。
(引用 国土社 ティーム・ティーチング入門 P60〜P73)

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3.ティーム・ティーチングの効果
(1)準備物が豊富になる。

教材プリント、教具

(2)学習を楽しむ力が育成される。

キャラクターによる漫才型のTTで発表しやすい雰囲気にできる。

(3)個人差に個別に応じることができる。

小テストの○付けができ個別指導ができる。個人思考で悩む生徒が数人以上いるときは、ミニ授業も可能。

(4)スムーズな指導と評価ができる。

机間巡視とミニ授業、学級を二分化、○付けと個別指導、声かけ

(5)基礎基本の徹底をはかることができる。

(6)無駄を省くことができる。

板書と話の同時進行、○付けの長蛇の列の解除、欠席者へは別室指導ができる。

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4.効果的なTT指導
(1)形態
A:一斉指導1
(二人の教師で一緒に進める)
T1が全体指導をしてT2がキ
ャラクター。導入時に二人で劇
をしたり、教師同士で意見を 対
立させ、子供を身方につけて い
くことなどが考えられる。
B:一斉指導2
(T1がすすめT2が補助をす
る)
この形態は、指導する上で特
に配慮を要する児童生徒がいる
場合に有効である。T2の教師
は学習に対する取り組みがしっ
かり把握できる。
C:二人の教師が別々1
(興味関心によって課題を選択
させる)
コンピュータで学習するグル
ープ、プリントで学習するグル
ープなど個人の興味や学習する
スタイルで選択させる。同室の
場合もあるし別室の場合がある
D:二人の教師が別々2
(習熟度別に生徒を分ける)
評価テストや生徒自身にコー
スを選択させる。例えばT1は
基礎コース@、T2は基礎応用
コースA、応用発展コースBと
する。単元末で使える。
E:二人の教師が別々3
(学級集団を2つに分ける)
別々の教室で学習する形態で
ある。単元テストの後などに、
どちらのコースに進むのか選択
させる。


(2)授業の場面による分類

@導入(課題提示)

・二人の教師による寸劇や演示
・一人の教師が課題提示、一方の教師が観察

A課題解決

・個別指導が必要な生徒への支援(一人の教師は全体指導)
・二人で分担して机間巡視

B展開(練り上げ)

・一人の教師がよくある間違いや思考を戸惑わせる意見を言い、授業の質を高める。
・一人の教師が、自信のないグループや生徒を励ましたりヒントを与えたりして、話し合いに参加できるようにする。

C深化(問題練習、まとめ)

・一人の教師が全体指導、一方の教師が個別指導
・二人の教師で分担して支援を行う
・コース別に分けて支援を行う

(引用 中学校数学科のTT「根本博」著、心ひらく算数科のTT「手島勝朗・新井小学校」著)

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