be 動詞の疑問文−語順の指導−
兵庫県豊岡市
谷口 裕「be動詞を述部として扱っている英文を疑問文に変える」ことは、英語をある程度理解している学習者にとっては、非常に単純なことと感じるであろう。しかし、決してそうではない現状も見逃してはならない。
中学校で英語を学習し始めてまもなく、be動詞を用いた英文に出会う。教科書によって初出の英文はさまざまであるが、概ね次のようなものである。
You are Ms. Tanaka. This is your bike.
その次の段階は、それらの疑問文とその応答文である。(上記例文2番目の場合)
Is this your bike? Yes, it is. / No, it is not.
この段階では、生徒たちにとって疑問文をつくること(語順)に関して難しいと感じることは少ない。
ここで疑問文をつくる簡単な説明(ここでは「語順」のみに焦点を当てる)として、次の2通りが考えられる。<方法1>
This と is を入れ替えます。 <方法2>
is を文の先頭に持ってきます。 方法1、方法2のどちらの説明でも、生徒たちの理解に大きな違いはない。しかし、長い目で見た場合、方法2の方がより効果的かと思う。それは次の理由による。
この段階では主語が1語なので語順が明白である。しかし、主語に修飾語句等がつき、主語(正確には主部)が2語以上となった場合、語順の入れ替えに戸惑いが起こりうる。
This bike is new. (主語が2語で構成された文) 方法1の説明がしっかりと頭に入っている生徒の中には、上記の英文を疑問文にする場面で、戸惑う生徒が見られる。(直前の"bike"と"is"を入れ替えるのか…?それとも…?など。)
<指 示>
is を文の先頭に持ってきなさい。 この一言でたやすく疑問文に変えることができる。
<指示は言い換えない>
授業の基本であるが、指示は言い換えてはいけない。生徒たちがいらいらとする原因のひとつである。私自身の反省点でもある。「"is"を文の先頭に持ってきなさい。」という指示を通すべきだと思う。(方法1を持ち出さない。)
<説明は少なく>
英語学習の入門期であるため(入門期でなくてもそうなのであるが)、説明はできる限り少なくするほうがよい。ここで述べたものは、あくまでも補足的に説明を加える場面、復習としてドリル学習等を行っている場面で有効である。
<補 足>
"This bike"がひとまとまりの語句であると理解できてないことが大きな原因のひとつでもある。その指導も必要である。