発音から綴りを類推−クロスワードパズルの利用

兵庫県豊岡市
谷口 裕
 1年生の授業でクロスワードパズルを指導しているとき、偶然思いついたアイディアである。

 クロスワードパズルは、単語の復習などをかね、授業のウォーミングアップなどで利用できる。生徒たちも楽しみながら取り組める。しかし、生徒たちの既習の語彙には限りがあり、市販の教材などを使用すると未習の語彙に出会う。
 クロスワードパズルは、マスの数と文字数が一対一に対応している。こちらから答えの単語を正しく発音してやることによって、綴りを類推するのに適した教材である。
例:□□R□□□("PURPLE"が入る)の場合
ヒントとして"Grapes are _ _ _ _ _ _."が与えられている。
<発問1>
 "Grapes"って何かなあ。
 ほとんどの生徒が、「ブドウ」と答えた。続いて、その色をたずねると、「紫」が多くあがった。
<発問2>
 「紫」って英語でどういうか知ってますか。
 それほど多くの人数ではなかったが、"Purple."という答えが返ってきた。
<指 示>
 そうです。"PURPLE"が入ります。では、今から"PURPLE"という単語を正確に発音してみますから、それを聞いて"PURPLE"の綴りを想像して書きなさい。
 このあと、"PURPLE"をゆっくりと正確に3回発音して聞かせた。
<考 察>
 このクロスワードパズルは□□R□□□である。"R"が生徒たちにとって大きなヒントとなったであろう。ほとんどの生徒たちが何らかの答えを記入していた。机間巡視をしながら生徒たちの答えを確認してみた。
 "PURPLE"という正解を書いていた生徒の他、"PARPLE"、"PERPLE"などがあり、解答はかなり多様であった。一番多かったのは"PARPLE"であった。正解はの"PURPLE"はごく少数であった。しかし、"P
ERPLE"の/ER/は発音から類推することが可能である綴りである。「この間違いはよい間違いです!」と全体で褒めてやった。また、"PARPLE"の/AR/にについては、この場合アクセントのある音節であるため、口の開きの大きい音になることを簡単に補足説明してやった。
 その他、"BROWN"も同様に指導した。この場合、/R/と二重母音の/OW/を大げさに発音して示した。生徒の解答は正解の"BROWN"の他に、"BROUN"、"BRAUN"、"BLOUN"などが見られた。

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