Eメール or 手紙?
ここ数年、インターネット、携帯電話などのメディアの発達と普及が急ピッチにすすんできています。私の周囲の友人たちを見回してみても、その多くが毎日のようにそれらのお世話になっているというのが現状です。私自身、携帯電話は使用しませんが、パソコンを利用してのEメールはよく利用しています。そんな社会の中、コミュニケーションをとる手段が多様化していると同時に、何か忘れ去られているものもあるような気がします。
つい先日、街でばったりと友人に出会いました。「おう、谷口!久しぶり!元気しとる?メール見たぞ。悪い、悪い、ちょっとパソコンの調子が悪くて返事を出してないんだ。」そんな言葉のやりとりで久々に会った友人と話しがすすみ、そのあと喫茶店でコーヒーをすすりながらお互いの近況を報告しあい、いろいろな話に花を咲かせました。そんな中でEメールと手紙についての話題が出てきました。
「なあ、谷口、Eメールっていうのは、何か素っ気ないと思わないか?ぽつんぽつんと要件だけを書いて終わり、っていうのはメールとはいうものの、電話といっしょだわ。俺、やっぱり手紙がいい。封筒を開けて、その中から手紙を取り出すときのこと!それに文字を見たら、相手の様子がようわかるし。今日は疲れとるな、なんてようわかる。やっぱり手紙だぞ。」
そういわれて、私にも手紙に関する思い出がいくつかよみがえってきました。大学生になって間もない頃、住み慣れない下宿で寂しく暮らしているとき、親戚の叔母から「大学生になったね。おめでとう。がんばってね。」というような内容の手紙が届き、とても心が温まったことがありました。また、数年間会ったことのない教え子から突然手紙をもらい、「先生、お元気ですか。先生が私たちの担任だった頃はまだ中学校1年生でしたが、今は高校3年生です。今は大学受験をめざしてがんばっています。私も教師になろうと思って、今精一杯がんばっています。」という手紙をもらい、懐かしさがよみがえるとともに、私自身、教師としてさらにがんばらねば、というやる気を起こさせてくれたこともありました。
Eメールでも素っ気ない内容ではなく、しっかりと心のこもった内容のものもあります。でも、私個人としては、やはり封筒の後ろに書かれている差出人を目にし、わくわくしながら封を切り、手紙を取り出し、書いている相手の顔を思い浮かべながら手紙を読むことが好きです。
物が豊富で便利な世の中、そしてスピードを要求される世の中。そんな中でパソコンや携帯電話を用いたEメールは大変重宝されます。しかし、何でもかんでもスピードと効率を優先する最先端メディアを優先するのではなく、時には手紙を自筆で書くのもいいのではないでしょうか。これからの世の中、本当の意味でコミュニケーションを深めるにあたっては、時と場合、TPOなど適切に使い分けてコミュニケーションをすることが重要なのではないかと思います。たまには手紙を書きませんか。
平成12年3月7日(火)