"It is + 形容詞 + for 人 + to _."の導入場面
兵庫県豊岡市
谷口 裕
"It is + 形容詞 + for 人 + to _."の構文を、生徒たちがよく知っている詩を用いて導入してみた。
<導入の流れ>
金子みすヾとういう詩人を知っていますか。
生徒たちからは、「知ってる」、「国語で出てきた」などと返ってきた。小学校の国語の時間に学習済みである。こちらもそれをねらった。しかし、この名前にぴんと来ない生徒も見られた。
金子みすヾの有名な詩に「わたしと小鳥とすずと」というものがあります。
ここまでくると、ほぼ全員がピント来たようすであった。
これからこの詩の一部を読みますから、しっかりと聞いておいてください。
このように前置きをしておいて、次のところを2回読んで聞かせた。
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面をはやく走れない。
わたし自身、英語の時間に日本語の詩を朗読したことは初めてであった。何となく新鮮に感じた。
そして読みあげた後、次のような展開で導入していった。
教師: Can Misuzu fly in the sky?
生徒1: No, she can't.
教師: Misuzu can't fly in the sky.
人間が空を飛ぼうと思ったら、飛行機に乗るかパラグライダーに乗らなければできないね。
So it is difficult for her to fly in the sky.
これはどうかな?
Can Misuzu run fast on the ground?
生徒2: Yes, she can.
教師: Misuzu can run fast on the ground.
So it is easy for her to run fast on the ground.
<板 書>
It is difficult for her to fly in the sky.
It is easy for her to run fast on the ground.
"It is + 形容詞 + for 人 + to ___."
(人)にとって___することは〜。
金子みすヾの詩はわたし自身大好きである。彼女のやさしさと素直な目が詩に表現されている。教育で利用するには大変意味のあるものであると思う。これまでに彼女の詩を学級指導で何度か利用したことがある。今回、英語の授業で利用することができた。しかし、この詩中の「わたし」のことを取り上げただけであり、他の2つ「小鳥」、「すず」を出せなかった。3つとも取り上げて、"It is easy for _ to ... It is difficult for _ to ..."で表したかったが、新文型の導入としては煩雑になるため断念した。別の機会にやってみたい。