英語の歌で歌詞の読みとりを!
兵庫県豊岡市
谷口 裕
中学生の多くは英語の歌が好きである。私自身、授業のウォームアップとして、また言語活動などで英語の歌を利用することがたびたびある。ここでは、英語の歌を利用し、その歌詞を読みとることに焦点をあてた。
<選曲について>
@明瞭に発音されているもの。
A比較的歌詞が平易な英語で書かれているもの。
B状況の描写が具体的でわかりやすいもの。
<読みとりの観点>
@登場人物・・・・・・・・・・・人物の名前、登場人物の人数など。
A場所の状況・・・・・・・・・どんな場所、時間帯など。
B登場人物の状況・・・・・どのようなことをしているのか、どんな境遇にあるのかなど。
<手 順>
@ dictation ・・・・・・単語10語程度。1〜2語聞き取りの難しい語を入れておく。それ以外は聞き取りやすいもの。
A dictation のチェック・・・曲をかけながら、聞き取れた単語の発表。
B ワークシート・・・・・・・・・歌詞の内容についての設問。日本語で答える。
最初に dictation を行うことによって、集中力が高まる。
☆授業の実際☆
So Much In Love を利用して
Art Garfunkel が歌う、"So Much In Love"を利用して行ってみた。3年生が対象である。
<ワークシートの設問>
@ この歌を聞いたことがありますか。
多くの生徒が「聞いたことがある」と答えていた。
A この歌を聞いてどんな印象を受けましたか。
「メリーゴーランドに乗るときかかっているような感じの曲」、「ゆっくりした感じ」、「おだやか」、「いい曲」など。
B この歌にでてくる登場人物は何人ですか。
歌詞の中に "We" がでていることから、一人ではないことを補足した。
「2人」を正解とした。ほとんどの生徒がそう答えていた。(しかし、最後のスタンザは結婚式の場面であるため、それ以上の人数でもとらえることができる。)
C 第2スタンザの状況について。
a 場所はどこですか。
b 一日のうちでどの時間帯ですか。
c bのことはどのフレイズでわかりますか。
aの解答は「海のそば」である。"As we stroll by the sea together"から。
bの解答は「夜」である。
cの解答は"Under stars twinkling high above"である。
D この歌の感想を自由に書きなさい。
「ゆっくり」ということがいくつかあがっていた。しかし「もっと聞きたい」など肯定的なものがほとんどであった。
歌詞にでてくる"what to do"(疑問詞+不定詞)、"stars twinkling high above"(現在分詞の形容詞的用法)などは既習事項ではないため、軽く説明を加えた。また、"stroll"と"walk"のニュアンスなども説明した。
本来なら、この歌の歌詞はもっと深い意味を含んでいるのではあるが、歌詞読むことによってその場面(男女が手をつなぎながら星のきらめく海岸線をぶらぶらと歩いているところ)を理解させることにつとめたため、「登場人物」、「時間帯」などを読みとらせることに重点を置いた。歌詞に歌われている「具体的な事柄」がわかることで、歌詞を読みとることに対する動機づけになると考えたからである。