但馬方言概説
但馬地方について
1 地理的な位置
兵庫県の北部で、旧但馬の国である。但馬は3市2町(豊岡市、養父市、朝来市、美方郡香美町、新温泉町)で構成される。東西約60q、南北約60qにも及ぶ。
東は京都府の旧丹後の国、南東には京都府と兵庫県の旧丹波の国、南から南西にかけては兵庫県の旧播磨の国、西には鳥取県の旧因幡の国に隣接する。北は雄大な日本海である。
2 面積、人口等
面積 約2,133平方q 兵庫県全土の約4分の1を占める 人口 約203,000人 兵庫県全体の約3.7%
3 地形等
全体的に山が多く、平地が少ない。日本海の海岸線ぎりぎりまで山が迫っている。平野部は円山川流域の豊岡盆地やその他の河川の流域に限られる。鳥取県と岡山県から中国山脈が但馬地方に続いている。そこには兵庫県最高峰の氷ノ山(標高1510メートル)など、1000メートル級の山々があり、それを境に北の日本海側と南部の播磨地方に分かれている。東には丹波高地があるが、そこへは比較的緩やかな傾斜で但馬地方とつながっている。交通網の発達する以前から人々の往来があったことが予測される。
4 気候
いわゆる日本海山陰型の気候である。
夏はフェーン現象で気温が上昇する。冬は晴れ間が少なく、曇りか雨がちの天候が続く。また12月から2月頃にかけては雪の降る日も多く、山間部では1メートルを超える豪雪となる。比較的平野部の多い豊岡市内でも毎年数10センチから1メートルの積雪がある。現在では除雪作業の技術が向上し、交通に関してはそれほど大きな支障はないが、以前は集落ごとの往来が寸断されたことも考えられる。
5 居住地
最近では、山を切り開いたり、田畑を埋め立てて作った、いわゆる新興住宅地も増えてきた。しかし、但馬地方全体を見てみると、昔ながらの町、山裾の集落、水の利便のよい谷間の集落で生活している人々が多い。山が多いのであるが、その地形を上手に利用して集落等が形成されたことがよくわかる。
6 農林水産業、地場産業
日本海沿岸は古くから漁業が盛んである。美方郡香美町香住区、豊岡市津居山をはじめ、いくつかの漁港がある。現在も漁業は盛んである。
山間部は農業、林業、畜産業などが昔から受け継がれている。ただし、専業農家は少なく、多くが兼業農家である。美方郡で行われている「但馬牛」の飼育は全国的にも有名である。
豊岡市はかつて柳ごうりの生産が盛んであった。それをうけて、鞄の製造産地となった。かつて、鞄製造の生産高は、全国シェアの80%を占めた。現在でも、代表的な地場産業であり、鞄製造の町工場があちらこちらに見られる。
7 交通網
バス路線
バス路線についてはバス会社が1社あり、但馬地方の主な集落沿いを営業している。また、各市町において市町営バスを営業している地域もある。
鉄道路線
JR山陰本線 京都府から朝来市山東町へ入り同市和田山町から北上し、豊岡市、同市城崎町、美方郡香美町香住区、同郡新温泉町浜坂を経て鳥取県へ抜ける。 JR播但線 姫路市と朝来市和田山町を結ぶローカル線。瀬戸内側と但馬を南北の最短距離で結んでいる。和田山でJR山陰本線と合流している。 北近畿タンゴ鉄道 豊岡市と京都府丹後地方を結んでいる。
但馬地方は面積が広いことに加え、数多くの谷間に集落があり、非常に複雑な地形をしている。そのため、鉄道とバスがすべての地域をカバーすることは不可能に近いことである。そのため、自家用車を使うことが必要条件となっている地域もあり、自動車の所有率は高いと言われている。
道路網
国道9号線 京都府から朝来市山東町に入り、養父市、美方郡を経て鳥取県へと抜ける。
丹波(京都府側)−但馬−因幡国道312号線 姫路市から北上し、朝来市生野町に入り、豊岡市を経て京都府の丹後方面へ抜ける。
播磨−但馬−丹後(丹後半島を東西に縦断)国道178号線 京都府丹後地方(丹後半島の海岸線経由)から豊岡市に入り、同市竹野町、美方郡新温泉町浜坂など日本海沿岸線を通って鳥取県へ抜ける。
丹後(丹後半島の海岸線沿い)−但馬(山陰海岸線沿い)−因幡国道426号線 京都府福知山市の国道9号線から北上し、豊岡市但東町に入り、同市出石町を経て豊岡市市街地へ抜ける。
丹波(京都府側)−但馬(豊岡市)国道427号線 丹波市から朝来市山東町へ入り、国道9号線と合流する。
丹波(兵庫県側)−但馬(朝来市山東町)播但連絡道路 姫路バイパスから北上し、朝来市生野町に入り、同市和田山町へ抜ける。
播磨−但馬(高速連絡網の一つである。北近畿豊岡自動車道、中国自動車道、山陽自動車道へ連絡。)北近畿豊岡自動車道 舞鶴若狭自動車道路(高速国道)春日インターチェンジ(丹波市)と但馬の養父市八鹿町を結ぶ高規格自動車道路。平成24年11月、和田山IC−八鹿氷ノ山IC間開通。
丹波−但馬(高速道路網の一つである。播但連絡道路とつながっている。)鳥取豊岡宮津自動車道 兵庫県では、佐津IC−余部IC間、居組−東浜IC(鳥取県)間のみ開通している高規格自動車道路。
因幡−但馬−丹後(将来的には鳥取県、兵庫県、京都府を結ぶ高速道路網。)県道大屋・山崎線 宍粟市から養父市大屋町をへて、養父市の国道9号へ抜ける。
播磨西部−但馬(養父市)
空路
豊岡市のコウノトリ但馬空港から伊丹空港までの路線が朝夕1便ずつある。所要時間は35分である。乗り継ぎをすると、羽田空港まで短時間で行ける。
8 レジャー
但馬地方へレジャーとして訪れる観光客も多い。
1年を通して温泉(城崎温泉、湯村温泉など)、夏には海水浴(竹野浜、気比浜など)、冬にはスキー(神鍋高原、鉢伏高原など)があげられる。その他にも、天然記念物「玄武洞」(豊岡市)、天然記念物「こうのとり」(豊岡市)などを求めて、また但馬の小京都といわれる、豊岡市出石町へやってくる観光客も多い。