日本語アクセントの基礎知識

但馬のアクセント
兵庫県豊岡市
谷口 裕
1 日本語のアクセント
 日本語のアクセントは、相対的に高く発音するか、低く発音するかを語の弁別条件とする、高低アクセント(ピッチアクセント)と呼ばれているものである。英語などの強弱アクセント(ストレスアクセント)とは異なる。
2 全国のアクセント
 全国のアクセントを分類すると、大まかに次の3つとなる。
東京式アクセント  東京方言と同じ系統のアクセント体系を持ったもの。共通語のアクセントと考えてよい。日本の幅広い地域に分布している。
京阪式アクセント  京都市を中心に四国、北陸などに分布しているアクセント。いわゆる、関西弁のアクセントである。また、京阪式アクセントの一種ではあるが、各語の始まりが、高く始まるか、低く始まるかの区別のない垂井式アクセントと呼ばれるものもある。
一型アクセント  この中には、尾高一型とよばれている、型の区別がなく文節末の音節を高く発話されるもの(宮崎県都城市付近)とアクセントの型がなく平板に発話されるもの(仙台市、山形市、福島市、水戸市、宇都宮市、福井市、延岡市など)がある。
3 日本語のアクセントの変遷
 日本語のアクセントの起源は、平安時代の京都のアクセントであるといわれている。つまり、京阪式アクセントが日本語のアクセントの起源ということである。
 中央の京阪神がそのアクセントを現在でも保持していて、そこから離れた地方へ行けば行くほどそのアクセントから遠ざかっていくというものである。柳田国男氏の「蝸牛考」であらわされている「方言周圏説」(京都の語彙が新しく、そこから円を描くように外へ行けば行くほど古い語彙となる、という説。)とは逆である。語彙については、京都が新しく、アクセントでは京都が古いという学説が現在の言語学では主流である。