教科書準拠ワークブックの指導法

兵庫県豊岡市
谷口 裕
 教科書準拠のワークブックを授業の中でしっかりと指導したい。できればすべてを。しかし、週3時間の中ではそれだけの時間を確保するのがむずかしい。基礎・基本を押さえる上での私の方法の一つを紹介させていただく。

<ワークブックの構成>
 教科書準拠のワークブックは、多くの教材会社から出版されている。それぞれのワークブックの構成には多少の違いがあるものの、各パートでは最初に基本文型のまとめがあり、そのあと問題が1ページ半あるものが多く見られる。問題は「易」から「難」へとスモールステップですすむように構成されている。
 私が現在利用させていただいている『ニュークラウン ワークブック』(三省堂)のシリーズは、各パートが次の構成になっている。(各レッスンの総合問題は除く。)
  1. 文の仕組みを理解しよう・・・基本文型のまとめ。
  2. POINT Warm-Up・・・絵を見ながら空所に適語を入れて基本文型を完成。
  3. 語句を覚えよう・・・重要語句の整理。
  4. これでPOINTは完全マスター!・・・基本文型についての知識の定着。
  5. 力をのばそう!・・・基本文型の応用問題、重要表現、日本文から英文へ、など。
 私は、教科書の各パートの指導が終わると、次のような指示を出してワークブックに取り組ませる。
<指 示>
 今からワークブックの「Warm-Up」と「これでポイントは完全マスター!」をやってください。
 それができた人は他の問題に取り組んでください。
 上記の指示を出したあと、机間巡視をし、全員のワークブック(指定した問題のみ)に目を通す。指定した問題はそのパートでの基礎・基本を含んだ重要なものである。つまずきのある生徒には適切な指導を入れる。その際、教科書やノートを開かせなくても、ワークブックの中の「基本文型のまとめ」がそのまま利用できる。
 早くできた生徒は他の問題に取り組んでいる。これは空白の時間をなくすための手段である。これも大切なポイントだと思う。
 数分後、指定した問題のみを全体で解答する。その際、生徒たちに指名して言わせる場合、こちらから簡単に答えを言って板書する場合がある。どちらにしても、くどくどと説明せずに淡々とすすめる。これも授業のリズムとテンポを維持する大切なポイントであろう。
 残りの問題については、宿題等になる場合が多い。しかし、やりっ放しにはさせず、定期的にワークブックを回収して生徒がワークブックに取り組んでいることを確認し、それを評価に加える。
<ワークブックの指導について>
 私自身、新任から6年間くらいは、ワークブックは生徒にただ「やっておきなさい。」だけのものであった。新文型などで押さえたいところは自作のプリントで行うのが常であった。しかし、これには大きな落とし穴があることに気づいた。「我流」になっていたことである。使用語彙や英文が似通ったものになりがちであったり、自分ではスモールステップの問題を作ったつもりが、実はそうではない場合があったりすることに気づいた。そこで、基本文型の基礎・基本の定着には客観的な問題が盛り込まれている市販のワークブックを利用するようにした。
 そんな観点から考えると、年度当初によいワークブックを選ぶことは重要なポイントであろう。私が現在利用させていただいているものは、問題の構成も質も大変よくできていて指導しやすい。 

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