2004
「プロジェクトX 2004」
2003年秋のうららかなある日。
知り合いからジャイロいらないかと打診が、、。
「ジャイロのX?ノンスリ?いるいるいる!」三つ返事。
あんまり元気ではないと言うこのジャイロ、
初めての三輪原付。大きなキャリアに、二代目デリカのようなジープぽい形。
これって働く原付でないの。長く乗れるように、ちゃんと手入れをしてみよう。
そんな訳でタイヤを買いに部品屋へ。
店の親父が「スノータイヤだったら在庫品安くしとくで」
スノーか、、、溝が深いから長持ちするか、、、。
と言う訳でジャイロにスノータイヤ履かせて「あれっ?」これって雪道強いのではないの?雪道と言えば最北端。これって再び神様からのメッセージ?!
去年は年越しライブでそれはそれで充実したものだったけれど、、、今年はやらないし。
そんなこんなで、気持ちは大きく最北端へ傾く、
早めに周りに言っておかないと、ごちゃごちゃややこしくなる。
「僕は今年正月北海道に行きます」と宣言。
このジャイロ、最高速が45キロってのがちょっとひっかかる。
ジャイロは3輪、でも構造は普通のスクーター、本で調べるとベルトやローラーってのが、重要らしい。
中身を見たいのでばらしてみた。ノンスリらしいクラッチ板がシャフトの奥に収まってる、頼もしいやつだ。駆動系では
ウエイトローラーと言うものがかなり減っていた。ベルトも数ミリ細くなっていた。
スクーターのチューニングというのも奥が深いようで、色々速くする社外品が出ているが、どうも一長一短あるようで、変な迷路に入らないようにそのままノーマル品に交換した。最高速は約5キロほど上がって、50キロ少し出るようになった。
あと、寒冷地対策として、ケーブル類にグリスたっぷり吹き込み、破れていたワイヤーのブーツなど、ゴムボンドで穴をふさぎ水が入らないように気をつけた。
タイヤはその後3輪とも中古だけれどスパイクタイヤが手に入れられ、これでかなり
完璧に近づいた。最北仲間のVFの塚ちゃんより、電熱入りグローブも借りられ、元々このジャイロには大きな風防が付いているので、寒さ対策としても十分だ。
出発の1週間前に、ジャイロのだいたいの事はできた。
ちょうど、こちらでも大雪が降り、これ幸いと北海道での予行練習として2日間で100キロほど走り込み、燃費やノンスリの効き具合を確かめた。
こちらの雪はベチャベチャ雪で、北海道のようなフラットのアイスバーンはないけれど、雪の上でわざと滑らすと、片輪しかタイヤは回っていない!急な坂道ではむなしく片方のタイヤが空回り、こんなので回らなかったらいつ両方回るんじゃい!
このジャイロのノンスリ壊れてるやんか。
後日あちこちからの
話をまとめると、どうもこのジャイロのノンスリは評判悪いらしい。ジャイロのお尻に大きく「ノンスリップデフ」って書いてあるのが腹立ってきた。
そんなら最初から書くな!もうバラしてどうのと言う時間はないし、そんなものなら仕方ない。
ヘルメットは、買って20年は経つと思うメット工業のジェットヘルにする。
これはインナーが完全にへたっていて、毛糸の帽子つけたまま被れる。
12月27日
出航日、広島から最北端にバイクで挑戦する、つっしーさんと涼さんと言う人がここの作業場にバイク積んだトランポを置きに来た。
これは最北端掲示板を見て舞鶴に近い僕が声をかけて、こんな事で喜んでもらえるなら使ってもらうことにしたのだ。
偶然に行きも帰りも同じ船のようで、道中の連れができた。
つっしーさんは今流行り?!のモトラ、涼さんは新しめのセル付きDT125、どちらも今回初挑戦と言う事。
ガレージで最終準備チェック、見送りにディトナティさんやKAZZEEさんがシティで来てくれた。船着き場に行くまで国道脇から出ている消雪パイプから水をかぶりかなり濡れてしまった。モトラも水をかぶったためにかエンジンの調子が悪くなり、スピードが上がらない。早々からやな予感?
予定通り23時30分に出航。
12月28日
夜中に多少揺れたが、昼間は冬にしては揺れてない。
快適、デッキに出てラーメンなど食べる。
12月29日
AM3時
岸壁に接岸した船から暗い外の状況を見る。
なんだか暗い、道路が黒く光っている。
どうも雨のようだ。うれしくない。
気温+2度 プラスだって!!
AM4時過ぎに船を出て、とりあえず霧雨の中、国道を走り出す。
初日の雨って何年ぶりだろう。
気温プラス2度。
国道は濡れていて雪もなく、石狩を抜けて海沿いの国道を進む。
なんだか拍子抜け。途中のコンビニで朝飯を食う。
海沿いを走るようになってから、あたりが明るくなってきた。
やっぱり雨が気になるので、合羽を着るが、防寒着の上から着るとなると、
かなり動きにくい、が、このまま服を濡らすことは絶対避けたい。
所々山道にはいると、道は圧雪になるけれど、3輪ジャイロにとっては特に問題なし。
走り出して4時間ほどし、一休み。でもまだ9時。
その後いくつかの峠を越えたあたりから、上り坂で力がないな、それが気のせいでなく平地でも30キロを切るとこれはやはり何かのトラブルかも。
下りでも、スピードは出ず、次の長い坂道で時速十キロを切ると、これはやはり雨のかからないところで点検しないと、、、。
トンネル内の大きなスペース、方向転換所でプラグなど点検しても特に異常はなさそう。
トンネル内ににバイクの音が反響して転回所に入ってきた。モトラのつっしーさんが心配して止まってくれた。当初心配していたモトラの不調はプラグをノーマルに変えたら良くなったそうだ。これで乗り物の不安要素は消え、タイヤだけに集中できる。「ほんとよかったね」
でも人のこと心配してる余裕などなくなった。
再び走り出すも、少しずつ症状は悪化していく、これは寒さによるものか、そうでないのか?第一、今回自分なりにかなり気合い入れてメンテナンスしたのに、なんなんだ!
いよいよどうにもならなくなってきた。歩くようなスピードで直接雨のかからない場所にバイクを避難させ、キャブなどばらす。
しかし雨がずっと風で吹き込み、とてもやりにくい。
目の前の海の色と同じようなどんよりした気持ち。
ジャイロの方はキャブの中は特に異常もなく原因はいったいどこにあるのか?!
外した部品が雨にかかり、それを拭いながらむなしく組み立てる。
こんな雨のような気温ではアイシングは考えられないし。エンジン自体がダメなのか、ベルト、ローラー関係で、組み付けミスがあったのか、、、。
エンジンの調子はそれからも少しずつ悪くなり、ついには前に進まなくなった。
症状としては、エンジンのアイドリングまでは問題なく、アクセルあけると、全く吹け上がらない。足で蹴ってバイクを進ませた。「かっこ悪るー」出発して100キロ。
つづく