2005-2

綺麗な風景

やっぱり?トラブル発生。

ここから、稚内までますます民家が無くなってくるので、このトラブルはこれで終わりにしたい。
昼過ぎには天気は快晴に近く、バイクを直せたのもあり、気分はとても良くなった。気温はマイナス7度ぐらい、順調に手塩まで進めた。
ガソリンを入れ、今年も僕のゴールデンタイムがやってきた。
古い呼び名で道道909号線、なーんも無い道、歌の歌詞で言うと、「そこにはただ風が吹いていたー」で、場所で言うとここらへんのことかなーと思う。そんな場所。
今年はアスファルトの部分が無く、道も雪で真っ白けで、いい写真が撮れる。
なーんてなんやかんや理由つけて毎回写真ばっかりとっている。利尻富士が裾だけ見える、
波しぶきが後ろ側から太陽を浴びて、黄色く光っている。トイレで休憩したあとから寒くなってきた。
時間は2時すぎ、太陽は出ているけれど、この時間から気温は下がり始める。
ストリームは調子よく、アイスバーンの上を45キロほどのスピードでキープ。
トイレで休憩していたBMWとオフ車が抜いていった、スピードの差がかなりあり、すぐ見えなくなった。
この道は幹線道路ではないので通行量が少なく、原付スクーターの浮世離れしたスピードでの中、この景色を独り占めできる贅沢な時間。
太陽が傾いてきて、雪の凹凸からできた陰が増えてくる、不思議なことに陰は黒ではなく青色、白黒の世界ではなく、青白の世界。空の色が映るのか、、。
ストリームの風防は、頭の高さまであり、顔に直接風が当たらないので、快適。
日も傾き、寒さも増してきた3時過ぎだったか、今年も稚内の「樹 いつき」に到着した。ガソリンも丁度なくなった。
「また今年もよろしく」ということで、バイクをバイク用ガレージに入れる。
今日の朝はすったもんだあったけれど、今回は自力でこれた。ここにあるガレージが最北でのベースキャンプ、この宿のおかげで最北端の安全マージンが上がり、今回のようにぼろスクーターでも何とかなる、とても重要な宿なのです。
今晩はジンギスカンパーティーを宿でしてもらえる、メンバーは涼さん、いーびーさん、風呂上がっての地元のジンギスカンと炊きたてのご飯、テレビをみながら歓談しているとここがどこだかわからなくなるぐらいリラックスできた。
去年の今頃、ジャイロの引き上げでパーティに参加できなかっただけに、30日予定通り稚内まで進めてほっとした。
本日の走行140キロほど、6時間

30日

「樹」で、おにぎりをもらい、宗谷テント組のライダーを午前中に見送った。
ガレージで昨日不具合の出たストリームをもう一度ばらしてみるが、特に悪いところはなく、元に戻す。
不思議なもので出発前は、風邪、歯痛、であまり体の調子よくなかったのですが、 北海道に来てから、調子よくなってしまった。
やはり規則正しい旅のリズムがいいのか。
夕方コーヒーを飲みに行ったり、買い物したり、ゆっくりと時間が過ぎる。
思い返してみると、最初の頃、稚内にいるとき、絶えず「最果ての町に来ている自分!」という緊張感があったのだけれど、今はよく知った安心の町に変わった。
立ち寄ったショッピングセンターの靴修理コーナーに靴底にねじ込むスパイクビスが1個150円で売ってあったので、試しに買ってみた。
バイク走行中、よく足を着いて走っているので、すこしでもこけそうなときの支えになればいいな。
ジャイロよりもストリームの方が、こけそうになることが多くあり、幾度か重いきっり足を出して立て直すことがあった。
タイヤのサイズも8インチ、元々ゴミ処理場から拾ってきたスノータイヤで、7部山。何かの弾みでフロントが時々グリップせずに流れてしまうことがある。
夕方、コンビニで年越し用のソバと天ぷらセットを買ってきて「樹」風呂上がりに昨日のジンギスカンの残りの材料で食べながら、紅白歌合戦の気志団を見て、deeさん運転の豪華ハイエースで最北端の様子を見に行く。
なんだか、役場のお偉いさん視察のようで、とても気分がよろしい。
途中の道は風もなく穏やかであった。
最北にはすでにテントを張っているライダー達がたくさん集まっていた。
去年と同じぐらいで、ざっと40台ほどあるだろうか、、、、各都道府県に一台まではまだいかないな。特に地元北海道は(笑)
今年のライダー鍋は地元の人が炊き出しようで用意してあったプレハブの建物を利用させてもらえたようで、蛍光灯の明るい中の宴会になっていた。
知った顔、初めての顔、色々。
去年から新しく移動した、宗谷神社でお札など買う。
なにやらテレビ局がきていて、岬でのカウントダウンはお笑いタレントの人を全面になにやらわからないうちに、テレビ向けの演出バージョンとなった。
いったい何の企画だったんだろう、、、。

元旦 マイナス6度

6時すぎに「樹」出発、もう明るくなっている。
しめ飾りをワイパーに付け、走り初め。
CD90の山本さんと同時出発となる。
風もなく、降雪もない、快適走行。
ストリームの少し後をCDが付いて走っている、ストリームのスリップストリームを走るのが、CD90
この稚内から宗谷岬までの35キロの道のりはこのツーリングのハイライト、車に次々抜かれながら、自分はバイクを選んでここまで乗ってこられた今この瞬間、今年も最高の気分で走れた。
なんとかこのぼろスクーターをここまで自走で走らせてこられた。
最北端には7時頃着き、もう記念品をもらう行列が長くつらなっていた。
丁度花火が上がり、地元のよさこい踊りが始まった。
稚内市は最北のおみやげとして、干支のキーホルダーと、最北端到達証明書を配っているのですが、このキーホルダーが干支12士全部揃う年が今年で、全部集めた人は市長から表彰されるという噂は以前からあったのですが、噂は本当で、このイベントで、十数人が実際に全部持ってきていた。
びっくりしたが住所を見るとだいたいが近くの人だった。
後で自宅に記念品が届くそうだ。見てみたい!これがまた干支だったりして、これをまた12個集めようものなら、、144年ごし!先祖代々の目標となったりするのも面白いなあ。思考脱線。
去年最北端に埋めたタイムカプセルを探すも、やっぱり土が凍って、あるのかないのかさえ、わからなかった。
今年も初日の出は見られなかった、けれど来ているライダー達はほとんどそんなこと気にしていないと思う。
何年かぶりに会うまっちゃんのバギー?に乗せてもらった。
モヒカンにしていた、アホ! お互い結婚など、環境が変わってもここに、こられている事がうれしい。
バギーは350Mで4駆ではないので、アクセルとステアリングだけで簡単にドリフトできて面白かった。
けれど、実際車体が大きいので公道で遊ぶには少し怖かった。
正直ちょっと欲しくなった。
ここから折り返し地点、あとは安全に小樽まで帰るのが任務。
「樹」に荷物を取りに帰ったら、丁度昨日のテレビ番組の放送がされていた。
カウントダウンの時の映像に「???」てな間抜けな顔して自分が映っていた。
なんでも日本の様々な場所にある神社のお札をどのお笑い芸人が最初に元旦のスタジオまで持ってこられるかという内容だった。
これで昨日の「???」が納得できた。もう東京のスタジオにお笑いの2人が、戻ってきていて最北端でのVTRを放送した。
早い!稚内から千歳までタクシーに乗り、そこから飛行機に乗れば元旦の午前中には東京に着くのだ。
僕は今から、原付でとぼとぼ帰るのだけれど、、、、。
京都に帰るのは、3か4日の夜かなあ。
アナログとデジタルの違いぐらいあるな。
重要ベースキャンプの「樹」のDEEさんに見送られて、CD90山本さんと再びサロベツの道へ、国道40号から帰ってもいいのだけれど、なんだかこっちの海沿いを選んでしまうのだなあー、好きだねえー。
天気も良くあちこち写真取りながらゆっくり帰る。
快晴の青い空、白い地平線、青い影、そこに唯一動いているのは、宇宙船のようなフォルムのストリーム号、いつもは荒々しい海岸も、今日は凪いでいる。
雪が音を吸うのでエンジンを止めると無音の世界。遠くを走る車の音がわずかに聞こえる。
手塩に入り燃料補給と、昼飯、コンビニに入る。
焼きそばパンと、コーヒーを買う、コンビニの姉さんがすまなそうに、「すみませんこのパンは賞味期限が切れていたので、お売りできないです」パンが時間切れのようだった、焼きそばパンが食べたかったので、期限切れててもこっちはかまへんから売ってよ、って言うと「それは、、、、」「じゃあ、ただでもらえたりしてー」言ってみると「は、はい、暖めますか?」「はい、そのゴミ温めてください!」ってな訳でゴミ温めてもらって食べた。ただパン、うまかった。
コンビニといえども、ファジーな対応が、うれしい。こういうのも北海道限定?!
手塩から前方の雪雲の中に入った。
ここからアップダウンがあり、バイクのスピードにムラが出る。
今日は気温がだいぶ低く、しびれた手を温めるのに、コンビニの陳列ケースに手をつっくけて温めた。しばらく付けていてもあまり暖かくないなと思ったら冷蔵庫だった。ボケ。
昼からバイクのアイドリングがなくなっているので、少し気になっていたが、写真をしつこく撮っていて、天気が悪くなってきていた、路面に雪が積もってきている。
雪でタイヤ取られるのか、バイクに力がないと思い始め、気のせいだったらいいのにーとの思いもむなしく、だんだんとパワーがなくなってきていた。
羽幌まであと数十キロ、町の灯りは雪の切れ間から近くに見えるのに、、、。
あたりが暗くなり始め、ばらすなら今がラストチャンスか。
枝道にバイクを止め、山本さんに、手伝ってもらいながら、キャブをばらすが、素手では工具がくっつき痛い、
手袋だと作業しにくいし、、。ガスストーブで暖ををとるにも、もうマイナス10度では点火しなくなっていた、寒冷地用なのに、、。
凍ったキャブは解氷剤で溶かした。こんな場所であまり異物をエンジンに取り込みたくないけれど、気のせいかこのアルコール系の薬でもエンジンかかりそうな感じで、もっと実験したかったが、助っ人の山本さんも不安そうだし今はそんな場合ではないな。
3−40分ぐらいで修理?は完了。
これ以上かかるようなら手が動かなくなる、丁度の時間だった。
その後のエンジンは快調で暗い中走っていると、もう夜かと思うが、吉里吉里に付いたのは、まだ5時頃だったか。
手がしびれていてストーブでもあまり暖まらないので、洗面所のお湯で温めた。
「て、て、が、し。し、びれるー」
熱いコーヒー飲んですぐに町営温泉に行った。露天風呂に入って、体を解凍させる。
この落差がきもちいい、ってことは冷凍食品をレンジで温めているあの瞬間、やつらは気持ちいいのか!?
吉里吉里で夕食目の前にして、思うことは、バイク乗る仕事を終えて家に帰ってきた感じ。
そしてお正月料理、最高にうまい、もうなんにもしなくていい。爆睡。
本日の走行170キロほど。8時間
つづく




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