続・平成最初の初日の出の旅


■1月4日(広野記)
 太陽が道に反射して、道路の状況がよくわからない。すごい、いい天気。
 道の、乾燥した所と、アイスバーンの残っている所とが、形も色もよく似ているので、何度も見間違えてコケそうになる。
「今日中に小樽まで行ける!」と思っていたら、滝川を過ぎたら、あれよあれよという間に雪の世界。
 道は最悪のコンディション。車の量も正月だから多く、流れも早い。
 イヤな雰囲気がして後ろを振り返ると、VFがひっくり返っていた。
 すぐに親切な人が車から降りてきてくれて、伴走してくれると言う。寒い中、車から針金を出して、VFのチェーンの補強までしてくれた。
 家族全員乗っている車で、ハザードランプをつけて、3台で路肩をノロノロ運転。江別のはずれまで付き合ってくれた。
 なんとかVFが進めそうになったので御礼を言ったら、缶コーヒーまでくれた。
 もう、ただただ感謝あるのみ。ずっとこの家族に幸運が訪れるようにと、車を見送りながら神に祈った。
 江別に住んでいる、デリカの白、函館ナンバーのお父さん、うれしかったです。結局今日は30kmを残し、手前の札幌まででストップ。そう言えば昨日、ガソリンスタンドで休んでいたら、客のオヤジが僕らをTVで見たと言っていた。イヤッホーッ!

 本日の走行→約170km

■1月5日(広野記)
 今日は、もう小樽。明日はフェリーに乗るだけ。
 もうほとんど今回の作戦は終了しかけている。結果は大成功。
こんなにうまくいってしまって、なんか後でシッペ返しが来そうだ。でも、それでもいい。
それでおつりがくるぐらい満足した。  やっと元気が出てきた。
 旭川では体を動かすのがだるく、服を半分脱ぎかけて、そのまま眠ってしまったくらいだったけど、さすがグロンサン。
たて続けに飲むと、なんとか3日目の今日は、峠を越したみたいだ。
 今日は札幌から小樽までだったけど、参った。路面は海沿いに出ると氷の、深くて、それも細いわだちが四方八方に広がり、手に負えない。
 それまでは「もうあと少し」と気を許していた事もあり、スピードを出していたので、車の前で大転倒。
 滑ってやっと止まってモンキーを起こすと、車から若い男の人がおりてきて「大丈夫ですか」。
 ほんと、北海道には親切な人がたくさんいる。
 モンキーに異常はなく、そのまま進む。
 それにしても大塚君のイビキはうるさい。


 本日の走行→約40km

■1月6日〜7日(広野記)
 フェリー、10時出航。
 2等船室は足の踏み場もないくらいの混雑。
 その中に、おとどし小樽の待合室でいろいろ冬の北海道のアドバイスをしてくれた人がいた。
そのXLRの人は、今年は開陽台で初日の出を拝んだそうだ。
 「来年は○×で会おう!」と言ったその○×を僕は忘れてしまったのだった。悲しい。
 夜になると、かなり海が荒れ、リゲインを飲んだせいもあってか眠れなくて、小樽を出発した時からの出来事をいろいろと思い出していた。
 海のしぶきが泡になり、その泡が国道をぷわぷわと飛んでいた事。どこまでも続くアイスバーン。
もうダメかもしれんと思った吹雪。初日の出を受けた宗谷でのみんなの顔。
ひっそりとやってたYHと、そこのかわいい白い犬。ほとんど車も通らない、何もない、VFとモンキーだけの白の世界。
 外が寒く厳しい分、人のハートはあつく感じた。
 なぜかその時、胸が熱くなってきた。そして「ああ終ったな」と思った。
 フェリーは、7日のPM5時に着いた。すぐ本屋に寄り、M・Bを探した。あった。
 中を見た、あった。前回のレポートが採用されていた。
大塚君はオレの転倒回数が違うと怒った。冗談の分からん奴だ。
 彼は明日仕事なので、そのまま大阪へ帰る。僕は実家の綾部に行くので、そこで別れる。
 VFとモンキーは、久しぶりのアスファルトだと喜んでいた。

 本日の走行→約40km

 今回のツーリングは、驚きの連続だったけど、中でもVFが宗谷岬まで行けたというのはヒット。これはひとえに大塚君が、VFを信じ続けた結果と言えよう。
 それと、彼が冬以外の北海道を知らないというのも驚きだ。北海道にいる間は、僕はVFに触れる気にもなれなかった。
モンキーを走らすのにも苦労したのに、それをVFでなんて…。彼はやはり、すごい…バカだ。これを機会に、彼はますますVFへの狂信的信頼度数を高めていくのだろうなぁ。
今度はVFで林道を攻めるとも言っていた…誰か彼を止めてくれぇー。  それにしても、モンキーとVFはよく走ってくれた。VFはタイヤにロープとチェーンを巻いただけ。
モンキーは1年間パンクしたままの放たらかしを、オイルも何も変えず、ダメな時は途中で捨てるつもりで出発したのに。  これを書いている時、宗谷で会った、真冬のGパンチャリダー・スドー君ことオーモリから「M・B見たゼ」と手紙が来た。それには「年末岬で再会しよう」と書いてある。
 「うーむ」うーむなのである。
そうなのである。実は、来年も行くかどうか、今から悩んでいるのである。来年の元旦は、最南端にしようか?ガンバって海外?などとも思っていたからなのである。
だから、もし僕が来年北海道にいなかったら、別の所でバカやってると思って下さい。
 最後に、北海道でお世話になった枝幸YOUの人、吹雪の中、声をかけてくれた人、パッシングや手をふって応援してくれた人、ピースしたチビ、みなさんありがとうございました。
国道で危なっかしい思いをさせた車、ごめんなさい。
 今回いろんな場所で会った人、2人は無事大阪に戻り、牛丼を食べ、満足しました。ご心配なく。


感動の旅の記録
期   間:1989年12月24日〜1月7日
使 用 車:HONDA VF400F
      HONDA モンキー
総 費 用:1人8〜9万円
総走行距離:約1100km
総転倒回数:VF400F→15回
      モンキー→3回
使用
ドリンク剤:グロンサン→3本
      リゲイン→2本
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