草木染め体験

身近な草木を使って染色に挑戦

 9/6

「草木染め」は、人間が自然と仲良くつきあっていた時代からの染色法です。
 何がきっかけで染色(草木染め)を発見したのか?
 薬草を煎じて、その煎じ汁を布に付けて湿布したり、患部を拭いたりした時に、 繊維が染まっていったことで草木の煮汁で染まることを発見したと考えられます。
 使う材料(植物)の種類によって様々な色が出ます。
 また、昔の人たちは赤い色等、ある種の色を魔除けの色として衣服を染める習慣を 持っていたようで、いろいろと草木染めが発展していったのではないでしょうか。
 身近な裏山にもいろいろな色に染まる材料がいっぱいあります。
これまでの経験からだいたい染まる色はわかっていますが、材料を採る時期や媒染剤の 種類などによりいろんな色が出るので、やってみないとわからないということもあり楽しみです。
 今回は葉っぱの模様を出すのと、絞り模様に挑戦しました。
 今年の合宿ボランティア作業の二日目(7月26日)に行った草木染めの様子です。

簡単な手順
1 煮汁を作る(染める材料(布)の重さの20倍。但し布がしっかり浸る量が必要。)
2 染め液に、先に濡らした布を入れ約30分煮る。
  その間十分布にまんべんなく液が染みるように何度か揉む。
3 布を取り出し媒染の必要な物は媒染液につけてしっかりと揉んで液がまんべんなく染みるようにする。(約30分)
  媒染の不要なものは水洗して干す。
4 媒染が済んだら、一度水洗し、そのまま干す方が良いものと、もう一度染め液に入れた方が良いものとあるので、試して下さい。

媒染について
媒染剤とは、布と染料をしっかりと結びつける働きがありますが、組み合わせによっては色を離してしまう場合もあるので、これも試して下さい。
種類は鉄、銅、クロム、アルミ等の金属系のものや灰や石灰等もあります。
この媒染の種類によっても色が変わってきますので、いろいろやってみるのもおもしろいです。
しかし、容器がこの系統の金属だと、それが媒染の働きをするので、影響のない、ステンレスやホーローをの鍋を使いましょう。


少し時間がかかるかもしれません。ごめんなさい
模様付け

 木綿の薄手のハンカチ(染色用に売ってある)を使いました。
 ハンカチに葉っぱの形を出すため、葉をハンカチにセロテープ等で固定しラップを当てて、 上から金槌で叩き、葉の汁を染み込ませます。
 余り水気の多い葉はにじむので注意です。
 今回は、カエデやナンテン、クリ、アオキ等をしてみました。
 輪ゴムで絞り模様を付ける人もあります。

ビワの葉の煮汁

ビワの葉を煮ると、こんなに赤い色になるなんて、びっくりしました。
今回の中では、一番濃い色になりました。
ただ、普通の野山で採取できる葉ではないので、少し趣旨に反しますね。
でも、もし、身近に手にはいるのでしたらお奨めです。

ソヨゴの葉の煮汁

6月の初めにも、ソヨゴでやったのですが、 その時はもっと濃い色が出ていました。
今回したのは、前回よりも葉の勢いが少し弱い感じがしました。
やはり、染料の元になる植物の勢いが一番旺盛なときが、 草木染めの材料に適しているのでしょうね。
但し、枯れたものを使う場合もあるので、必ずしもそういうものではありませんが、 生きたものを使う場合に言えることでしょう。

キハダ樹皮の煮汁

キハダは「黄膚」と書くように、樹皮の内側は、真っ黄色です。
漢方薬に黄檗(オウバク)というのがありますが、このキハダ樹皮のことです。
かじると非常に苦いです。胃薬になります。
このキハダを染料にする場合は、媒染はしなくて良いのですが、初めに葉っぱ模様を入れたので、 それを定着させるために、酢酸銅溶液で先媒染しました。
そのためか、逆に染まり方がとても薄くなってしまいました。鍋の中に見えている、濃い黄色で染まっているのは絹の布です。

ビワによる作品(絞り入り)

染めが濃いので、絞り模様がしっかり見えて良い作品になりました。
葉っぱ模様もしっかり出ています。
右端に見えている黄色が、キハダで絹の布を染めたものです。
草木染めは木綿や化繊等より、絹やウール等のタンパク質を含むものの方が染まりやすいです。

ソヨゴによる作品

前回にやったときより少し薄いですが、紫色に染まります。
これも、絞り模様が生きていますね。ちょっと落ち着いた渋さがあると思いませんか?

キハダによる作品

ちょっと薄かったです。先媒染が良くなかったのでしょう。
これも経験で、先が良い場合、後が良い場合、いろいろとやってみないとわからないこともあります。
だから、いろいろと試す楽しみがあります。
薄かった分、葉っぱの形がしっかりと出ていますね。

前のページに戻る