上山高原に広葉樹林を取り戻そう!

32年生スギ林で帯状に広葉樹林の再生への試み


ここが上山高原の山頂のスギ林です。

 10/14

 美方郡温泉町の上山高原山頂付近に町有のスギ林があります。
 しかし、多雪地・風衝地ということもあり、32年経っても樹高は3m程度で将来的に立派な森林になる見込みがありません。
 そこで、町は前向きな試みとして、広葉樹に少しずつ変えていけないかということで、兵庫県緑化センターの指導の元、 帯状間伐をして、その後に広葉樹を植林することになりました。
 更に、北但馬地域に森林ボランティア活動を広げていくことを目的に、村岡林業事務所で「そこの植樹をボランテ ィア活動でできないか?」とひょうご森も倶楽部に提案しました。
 森の倶楽部でも「是非やろう!」ということになり10月3日4日の二日間で実施することになりました。
 両日、のべ22人の力で、5樹種(ミズナラ、ミズメ、クリ、シラカバ、ナナカマド)計140本を約300uの範囲に植樹しました。
 帯状更新とは
 この場所は標高が約950mで積雪3mに達することもあります。
 見てのとおり、山頂部ですので風が吹けばまともに吹きっさらしになるところです。
 このような悪条件の場所で森林を更新する事は非常に難しいのですが、前世のスギ林があることで、この植樹された苗木は風や吹雪から多少守られるわけです。  前世のスギ林を帯状に伐開することにより、残された杉木立が衝立となって苗木を守ってくれるわけですね。

 植え方
 ここの土壌は表面に約5cm程が黒ボクといわれる火山灰土で、その下には良く締まった褐色土です。
 あまり良い土壌とは言えませんが、植えるときの注意としては、苗木の根が広がって伸びやすいように30cm四方、深さも30cmの穴を掘り、穴の底から10cm程度の高さに 良くほぐした土を盛り上げて、その上にポットから出したポット苗を置きます。
 ポット苗の根元周りは良くほぐした土で埋め戻し、新しい根が伸びやすいようにします。その時、木くずや他の根を混ぜた土で埋め戻さないようにしなければなりません。
 ある程度土砂で埋め戻したら根元を踏みしめておき、その上から土砂をかけて根元は少し高盛りにして、周りは少し溝になるように(雨水が集まりやすいように)します。
 と、いう結構丁寧な植え方をしたので、二日目の昼過ぎまでかかりました。

 問題点
 いくら丁寧に植えても、ウサギやネズミによる食害を受ける可能性が非常に高いのです。
 周囲にネットを張ったりして防護する事にしていますが、何処まで守られるかが問題です。
 植栽区域の周囲は害を受けやすく、中央付近は残るだろうと予想されています。
 それは、天敵(トビやイヌワシ、フクロウ等の猛禽類)がいるからです。
 しかし、これらの鳥も住む環境が変化し減少しているため、何処まで効果があるのか?
 自然の中の生態系というのは重要なことだなあと、こんなところにも感じます。

そんな作業の様子を見て下さい。


少し時間がかかるかもしれません。ごめんなさい
植樹地の遠望

 上山高原の山頂です。右斜面は町有林のスギ林です。
 このスギ林内に、帯状に広葉樹を植えていきます。
 前日まで天気が思わしくなく、どうなることかと心配しましたが、爽やかな秋空の元、作業ができました。
 この画像は2日目で少し曇り空(ガスが出て小雨も降りました。)

植え方指導

 緑化センターのT研究員に植え方の見本を見せてもらっています。
丁寧な植え方なので、説明する方も汗びっしょりになって一生懸命説明していただきました。
研究者の多くの人たちからは、この悪条件の中森林の再生は困難であると言われたらしく、それだけに是非成功させたいという強い意気込みを持っておられ、参加者にもその気持ちが伝わったことだと思います。
20年後には立派な広葉樹林になっているかな?

作 業

 一日目の参加者は男ばかりで力強く?作業ができました。
と、言いたいところですが、結構皆さんへとへとになっていました。
でも、この苦労があるからこそ、きっと立派な森林になることでしょう。
 気が付かれたかも知れませんが、スギの切り株の切り口が全部同じ方向で横を向いています。
それだけ、ここのスギが横に這って生えていた証拠です。

1日目の記念撮影

 一日目の作業を終えて林道端まで下りてきたところで記念撮影。
 「ひょうご森の倶楽部」の親林隊と「ふるさと香住塾」そして、温泉町役場と村岡林業事務所の職員です。
 天気が良かったので、予定より1時間長く作業をしましたが、結果的にはそれが良かったようです。

2日目の記念撮影

 二日目は男手が減り二人の女性が参加してくれました。
 前の晩には村岡町の?柤岡のコテージに泊まり鍋で夜中の12時過ぎまで起きていたので、 ちょっとばて気味でしたが、暑くなかったので助かりました。

二人の記念撮影

 2日目作業参加者の女性二人の記念撮影。
一緒に写っている苗木が大きくなることを夢見て一緒に記念撮影です。
10年後にはどんなに大きくなっているかな?来年も草刈り作業にやってきます。
 作業の後に昼食をして、鳥取県境の尾根付近で水のわき出しているところで道具を洗い、その後近くのブナ林を散策しました。
 天然のヒラタケ、山ブドウにサルナシの実等秋の山の幸にありつきました。

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