数 学 科 学 習 指 導 案
                   指導者  吉 岡 久 幸
               

1.日時 平成10年10月7日(水) 第5校時
2.場所 コンピュータ教室
3.学級 2年1組(男17人女14人 計31人)
4.単元 数のいろいろな表し方(二進法)
5.目標
・十進法や二進法を通じて、記数法の基本的な原理についての理解を深める。

6.主旨
◇二進法は小学校以来使い続けている十進法に対して、二ずつで位を進める位取りによる記数法である。そして、二進法の考えは、コンピュータでの計算に使われる。ある電子回路に電流が流れていれば1、流れていなければ0を対応させて処理させているのである。この原理をしっかり理解することは、ブラックボックス化されたコンピュータを扱う時の基礎になる。
◇生徒は十進法に慣れているはずであるが、その原理自体をしっかり理解することが出来ていない。さらに、異なる位取りである二進法に変換するということは抽象的で難しいと考える。
 そこで、生徒たちはコンピュータ操作に慣れているので、シュミレーション化した自作プログラムを授業に取り入れた。
◇十進法で表された整数を二進法で表したり、その逆の書き換え練習を行うことで、記数のもつ特徴を明らかにしたい。また、課題の確認と定着は、コンピュータを用いることにした。
 さらに、生徒の興味・関心・意欲を引き出すために、二進法を盲人の方が使われる「点字」に応用して指導することを考えた。二進法を使った点字文は、地域の盲人の方への文化祭の案内状にしたいと思う。
 点字文作成は数学とは直接関係していないが、2002年から始まる総合的な学習に用いることのできる題材と考える。

7.計画(6時間)
  第1次  二進法    ・・・・・・・・・・2時間
  第2次 二進法と点字 ・・・・・・・・・・3時間
  第3次 問題     ・・・・・・・・・・1時間

8.本時の学習  (本時 第3次 1/3)
・目標
 盲人の方が使われる点字は二進法で表すことができることを知る。点字で書かれた文章を読みとることで、二進法の記数法の原理を知る。
・準備物
 自作ソフト(二進法って何だろう)、点字読み取りプリント、数あてカード

9.指導過程

学習活動指導上の留意点
1. 点字と二進法は密接な関係があることを知る。                         
 <例> 「し」
 C●  @●
 D   A●
 E   B●
 「 し」を 二進法では 111100で表すことができる。

・盲人の方が利用する点字は、@〜Eのポジションに粒があるなしで、1つの文字として判別されることを知らせる。

・粒は1、粒なしは0と約束すると、2進法で表すことができることを理解させる。

・十進法の位取りの違いを意識させるために、二進法を十進法に変換させ、点字と50音の文字が1対1対応していることを確認させる。

2. 配布されたプリントにある点字文を、コンピュータを使って解読する。

・盲人の方が読まれるのは左から右、点字を打つときは右から左であり、反対になることを注意させる。

3. 点字を読んで感じたことを発表する。
  目の見えない人は大変だ。
  読みとるのは難しい。
  二進法と関係があることが面白い。

・盲人の方の苦労を十分に感じさせたい。

4. 本時のまとめと次時の予告 ・文化祭への招待状を、点字版を用いて、地域の目の不自由な方に出すことを予告する。

<注>点字は3時間扱いとして、
@ 点字とは何かを知る。
A 点字を1と0の数字で表すことができ、二進法になることを知る。
B このソフトを使って、点字文章を五十音の文に変換する。
C ABの作業から感じたことを発表させ、盲人の方への理解を深めさせる。
D 文化祭への招待状を自作ソフトで点字印刷する。
E 点字版を使って、点字を打ち出す。


授業後の生徒のアンケートより

1.学習内容は理解できたか。
よく分かった まあまあ やや難しい  難しい  
30人59人2人0人

2.授業内容は興味が持てたか。
興味がある  まあまあ  あまり   全くない 
26人64人1人0人

3.楽しく取り組めたか。
 楽しい  まあまあ  あまり  楽しくない 
51人38人2人0人

4.コンピュータの操作は分かったか。
  簡単   まあまあ やや難しい  難しい  
30人57人3人1人


生徒の声より

二進法はとっても不思議だと思いました。なぜなら、二進法を使って点字で手紙がかけるからです。(石谷)

二進法は難しいと思ったけどパソコンでやると簡単に思えました。(国谷)

点字で手紙を書くのが面白かったです。二進法は難しいと思ったけど分かると結構簡単だなあと思いました。(衣川)

コンピュータはいろいろなことができることが分かった。数学の授業ではないことがあったりして面白かった。(成田S)

コンピュータを使ってやる授業がとても楽しいです。人の口では言えないことや説明できないことがコンピュータではとても簡単に分かります。(広岡)

二進法はよく分かり自分から取り組むことがよかった。(中島)

1と0で出来ている二進法がいろんな数字の意味があったのでびっくりしました。2で割ることによって2進法に変換できるのは楽しく簡単にできました。(佐藤)

最初は二進法なんて意味がぜんぜんなくてあまり面白くなかったけどコンピュータを使っているうちにだんだんわかるようになりました。点字などが分かって結構楽しかったです。(山崎)

二進法が点字に関わっていることを知って、とてもビックリしました。(谷垣)

前から点字はどうやったら文字に読めるのか不思議だったけど、それにも二進法が関係していることが分かりました。二進法は面白いと思いました。(田村)

2進法で点字ができているなんて知らなかった。0と1だけで難しい計算が簡単にできるなんてすごいと思った。2進法は10進法と違ってすこし難しいので覚えるのに苦労した。(北村)

二進法は難しいと思いました。初めは1と0を使って数字を表す所が全然分かりませんでした。そのうち授業が進んでいくと分かりました。(上田)

1と0とで字が書けるということが分かり、勉強になりました。目の見えない人はとても苦労しているんだなあと思った。(佐伯)

この授業は、興味がわく勉強でした。目の不自由な人に簡単にコンピュータで文章ができた。目の不自由な人と交流できると思いました。(小池)

二進法は今まで聞いているだけでは難しかったけど、一定の法則がちゃんとあることが分かったら結構簡単だった。(周籐)

コンピュータ操作は難しかったけど、楽しかったです。(竹中)

二進法の勉強は最初はさっぱり分からなかったけど、今は結構分かるようになって良かった。(岡本)

二進法がこんなに楽しくできるなんて知りませんでした。特に点字で文字を書くことが面白かった。文字が二進法からできるなんて不思議です。(西村)

自分たちが当たり前に使っているような数字にもいろいろな表し方や考え方があることが分かって結構楽しかったです。(川淵)

僕たちにとっては二進法がややこしいのにコンピュータはこの方が簡単なんて、やっぱりコンピュータと人間は違うところがあって、それぞれ良いところが発見できて良かったです。(前田)

初めは、二進法が全然分からなかったけど、コンピュータを使ったりしているとどんどん分かってきてよかったです。とても楽しかった。(西田)

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