音楽を用いた dictation (2)
兵庫県豊岡市
谷口 裕
英語の歌を用いた、手軽なディクテーションである。しかし、楽しみながら文字を頼らず英語に耳を傾ける姿勢を持たせるには適した活動であると思う。授業のウォームアップによいであろう。3年生2クラスで実施してみた。
<準備物>
歌の入ったCD、CDプレーヤー、ワークシート←クリック、歌詞を印刷したプリント
まず、ワークシートを配布した。
<説 明>
これから英語の歌を流します。途中にポーズを入れます。
ポーズの直前に聞こえた単語を、(1)から(8)の中に記入してください。
いつもの「音楽を用いたディクテーション」とはパターンが違うため、不思議そうな表情をしている生徒たちが見られた。
「先生、ポーズってなに?」という質問があがった。「ポーズ」という言葉を使わず、「歌を途中で止めます」などという表現にした方がよかったかと思われる。
<指示1>
では、歌を流します。
歌に耳を傾けているようすがはっきりとうかがえた。ポーズのあとではペンを走らせる音がしっかりと聞こえてきた。生徒たちのようすを見ながら、ポーズと歌の再開を繰り返した。
歌を一通り流した後、次の指示を出した。
<指示2>
8つすべて埋まった人?
7つの人?6つの人?
このように挙手をさせていった。8つすべてはいなかった。7つが最高であった。
ここで答えのチェックをしようと考えていたが、生徒たちのようすから判断し、もう一度同じことを繰り返した
<指示3>
答えをチェックします。
全問正解者はいなかった。7問が最高であった。
ここで、歌詞を印刷したプリントを配布し、それを見ながらもう1度曲を聞かせた。
<使用した曲について>
"The Brothers Four"の"Try To Remember"を利用した。
聞き取りに使った単語は次の8つである。
(1) slow (2) green (3) yellow (4) September (5) nice (6) snow (7) made (8) December
(5) nice と (7) made の正答率が低かった。(4) September と (8) December の正答率が高かった。
生徒の間違いに次のものがあった。
(1) slow を so (2) green を dream (3) nice を incide
どれも、熱心に聴き取ろうとする姿勢がうかがえる間違いである。
(1)は/l/が聴き取れてないためである。
(2)は、"was green "となっていたため、弱く発音される"was"と"green"が1語のように聞こえ、それを"dream"と聴き取ったのであろう。
(3)は、"it's nice"の/i/と/ai/のみをしっかりと聴き取ったためであろう。
<ポイント>
英語の曲の選択と、その曲のどの単語を聴き取らせるかが大切である。
- 比較的ゆっくりと明瞭に歌われている曲。
- 聴き取らせる単語の前後にリエゾンのないもの。
- 聴き取らせたい単語が複数回あらわれるものを含んでいる曲。
今回使用した"Try To Remember"の中で"September"と"December"を入れたが、曲の中での入れる箇所を工夫をした。上記3の観点からである。
"September"はこの曲の中に4回あらわれるが、聞き取りはその最後の4回目にした。"December"は3回あらわれるが、これも最後の3回目にした。その理由は、それらを聴き取って書き入れるまでに、それらの単語を複数回耳にしているため、ディクテーションが容易にできるための配慮である。
<活動をやってみて>
ウォームアップという観点で考えると、10分以内が適当であると思う。今回は、曲を3回(1回2分54秒)も聴かせたため、合計約15分になってしまった。曲の選曲と単語をしっかりと吟味する必要がある。