支払督促など |
1 | 支払督促とは? |
2 | 少額訴訟手続とは? |
3 | 債権執行とは? |
Q1. 支払督促とは?
A1. 平成10年1月1日施行の新民事訴訟法以前は「支払命令」と呼ばれていました。これは、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に、債権者が一方的に申し立て、債務者の言い分も聞かずに、「債務者乙は、債権者甲に対し金○○○円を支払え」という支払督促を発する手続で、 次のような特徴があります。
@支払督促は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立により裁判所書記官が発するものです。申立に際しては、訴訟の場合の半額の手数料(印紙代)と若干の郵便切手が必要です。
A支払督促の申立が要件などを欠くとき、または請求に理由がないことが明らかなときは、告知をもって申立が却下されなす。
B債務者は、支払督促の送達を受けた日から二週間以内に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に対して異議の申立ができます。
C支払督促には、その二週間以内に督促異議の申立がない場合は、債権者の申立により仮執行の宣言をする旨が付記されています。
D適法な督促異議の申立があったときは、その請求額により、管轄裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。
E仮執行宣言付支払督促が確定すると、確定判決と同一の効力を有し、強制執行を行なうとき必要な債務名義となります。
Q2.
少額訴訟手続とは?
A2. 費用と時間と労力がかかりすぎのため、とかく敬遠され気味の裁判手続を、もっと身近で利用しやすいものにしようとする制度です。訴訟額が60万円以下のものであれば、今までよりはるかに簡単で迅速に解決をはかることができる手続で、次のような特徴があります。
@訴訟額は60万円以下のものに限られます。
A原則として即日判決となり、控訴はできません。不服がある場合のみ同じ裁判所に異議の申立ができます。
B証拠はその場で調べられるものにかぎられ、証人も当日法廷に立てることが原則です。
C申立は、同一の裁判所に一人年間10回までとされています。
Q3.
債権執行とは?
A3. 貸金返還請求事件につき勝訴判決を得、確定したが相手方が支払ってくれない場合、その相手方の預貯金や給料等から回収するような場合を債権執行といいます。 預貯金から回収をはかる場合を例にとりますと、
@債権者は「債権差押命令申立書」を作成し、これに手数料(印紙代)4,000円と郵便切手若干を添えて管轄の地方裁判所に提出します。これは、銀行等の第三債務者が債務者(預金者)の払戻請求に応じることを禁止するものです。この場合、当事者の表示、請求債権の表示、差押債権の表示は事務処理を迅速に行なうため、それぞれ「目録」を作成し提出します。
A添付書類は、執行力ある判決正本、同送達証明書、同確定証明書、銀行等の法人登記簿謄本などです。
B郵便貯金を差押える場合は、第三債務者は「国」で送達先は各都道府県の貯金事務センターの所長宛になります。
C請求債権目録には、請求権の根拠たる債務名義を記載し、請求債権の元金、その遅延損害金、この債権執行手続の費用を記載します。
D差押債権目録には、債務者が第三債務者に対して有する預金債権の種類と差押える順序を記載します。